37話:部員の危機
善永と荘介は不思議がった。
「なんでこんなに人が?」
その人だかりの中には、いつもの部員や、一太の弟・二太郎がいた。二太郎に関しては、涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。
「うう…お兄さん…」
篠原が2人を発見し、駆け寄る。
「お前ら!何してたんだ!一太と本田が!大変なことになってんぞ!」
「どういうことですか!」
2人は動揺する。篠原は、とにかく2人に部室の様子を見せた。そこには…
「…斎藤さん…?本田さん…?」
一太と本田が焼け焦げた状態で倒れていた。息はあるようだが、重傷だ。救急隊員が緊急対応していた。
「これは酷いな!早く救急車へ!」
一太と本田は救急車に運ばれていった。善永たちは、それを呆然と眺めるしかできなかった。最初に口を開いたのは善永だ。
「こ、これは…どういうことですか…?」
それを聞いて、篠原がある紙を渡す。その紙には、こう書かれていた。
『クイズ研究会の諸君、これは、警告だ。君たちは直ちに解散し、普通の学園生活を過ごしなさい。』
その紙には、差出人と思われる名前が書いてあった。
「…生徒会長…有賀栄太郎より…か…」
「おい!善永!どうすんだよ!?」
早明浦が竹刀を地面に叩きつけながら、善永に尋ねる。
「どうするって、決まってんだろ…言うことを聞く。」
早明浦が善永の胸ぐらを掴む。
「なんだと!?友達がやられたのに、まんまと言うことを聞くのか!?」
「だって!2人も重傷者が出たんだぞ!それに、俺と荘介にも生徒会の刺客が襲いかかってきたんだ!いつお前らにやってくるか…」
「!」
八ッ場が口を開く。
「だが、きっかけを作ったのはお前だ。ある程度けじめはつけろよ。」
「けじめだと!?」
「そうだ。もともとは、部活狩りを始めたお前にも問題があるんだ。ならばいっそ、最後まで戦え。俺たちもついていく覚悟がある!」
「…!」
その場にいた部員全員が善永を見る。善永は下を向いた。何も言い返せなかった。そのとき、救急隊員の一人が戻ってきた。
「おい!この中に、川路善永ってのはいるか!?」
「はい!俺です!」
「来てくれ!お前に話がしたいって聞かないんだよ!早く病院に連れていきたいのに!」
「!」
善永は急いで救急隊員についていく。そして、救急車に乗せられた。そこには担架に乗せられた一太と本田がいた。善永は心配そうに2人を見ている。そのうち、一太が口をゆっくりと開いた。
「善永さん…」
「斎藤さん!俺と話している暇なんかないでしょう!早く…」
一太が善永を遮った。
「善永さん…私は、あなたの…どんな困難にぶつかっても…諦めない根性の強さに…心底惚れたんですよ…」
「斎藤さん…」
一太が続ける。
「善永さん…戦い続けてください…私たちは腐っていますが…生徒会はもっと腐っています…それを変えられるのは、一番腐っているあなただけなんです!!戦い続けてください!」
そう言って、一太は意識を失った。救急隊が焦る。
「言わんこっちゃない!さあ、君!早く降りて!」
善永は救急車から降りる。
(あの火傷…あんな芸当ができるのは間違いなく…パイロキネシスだ。つまり…)
救急車は急発進して、学校を後にするのだった。それを見守る善永のもとに、部員が集まる。
「で、どうすんだ?善永。」
篠原が尋ねる。善永は静かに、それでも強く言った。
「決めましたよ。生徒会を…そして、生徒会長・有賀栄太郎を…この手で俺が!!ぶっ倒す!!」
善永の挑戦状:16世紀の明で実施された、丁税と地税をまとめて銀納する税制のことを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:(山村)貞子




