34話:強襲
野球部との対決から2日…なぎさはあれから学校に来ていなかった。放課後、善永と荘介が廊下を歩いている。
「廃部の件もうやむやになったし、なぎさは今日も来てないし…」
「ああ。まだ引きずっているらしいな。これから、見舞いに行くか。」
2人は下駄箱に向かおうとしていた。が、
「荘介…何人だ?」
「2人だ。」
「全く…あんな派手な尾行があるかよ。」
善永と荘介の後ろに、青色のオーラを発した2人の男子生徒がいた。善永が荘介に耳打ちする。
「ここは二手に分かれよう。それぞれ撒いたところで、もう一度ここに集合な。」
「わかった。」
2人はそれぞれ別の廊下を歩き始めた。それを見た2人の男子生徒が顔を見合わせる。
「おい。こっちも二手に分かれるぞ。俺は川路の方を追う。」
「は?俺が川路の方を追う。」
「んだと!俺がやる!」
「いや、俺がやる!」
2人は掴み合いの喧嘩を始めた。しばらく口論を続けていたが、片方の生徒がはっとする。
「って、こんなことやってる暇じゃねえ!おい!武田!川路は任せたぞ!俺は三田の方をやる!」
「ああ!任せろ!永倉!」
ぼさぼさな頭が目立つ武田が善永、長髪が目につく永倉が荘介を追うため、それぞれ分かれて歩き始めた。
そんな2人の尾行を逃れようとしていた善永は、トイレの個室に隠れている。
(ここなら、安心だ。)
善永が一息ついていると、廊下に響き渡る足音が聞こえてきた。それは、こちらに近づいてくる。ついに、トイレにやってきた。善永は息を殺して、じっとする。
(…こいつ、尾行している奴だな…トイレに来た人間とは思えない…)
そのとき、
『こんにちは。善永さん。ご機嫌いかがですか。』
「なんだと!?」
aiboが勝手に話し始めた。善永はさすがに驚きを隠せず、つい声を出してしまった。
「んんー?そこにいるんだな?川路善永!」
「ぐっ!お前!俺になんの用だ!」
「何、ちょっとね。」
武田がそう言ったとき、トイレの水が流れた。善永は何にも触れていない。
「!」
さらに、ウォシュレットが勝手に動き出し、水を射出させる。それが善永の顔にかかる。
「あばばばばばば!」
善永は激情に駆られた。かけていた個室の鍵を解錠した後、ドアを蹴破った。しかし、ドアの前に誰も立っていない。善永は個室から出て辺りを見回す。
「学校の備品だよ。大切に使わないと。」
洗面台に目をやる。そこに武田が立っていた。「生徒会」の腕章をしているのが見えた。
「お前、生徒会の人間か!」
「いかにも。俺は、生徒会二年、武田博史。君を粛清する者だ。」
一方、同じく尾行を撒こうとしていた荘介の目の前に、永倉が立ちはだかっていた。
「い、いつの間に…!」
「生徒会の人間だ。近道なんて腐るほど知っている。」
「生徒会…なぜ俺たちを…」
「簡単だ。君たちクイズ研究会の部員を粛清するためだ。俺は、生徒会二年、永倉義衛。覚悟しろ。」
永倉は青色のオーラを発しながら荘介に近づく。荘介は対抗するように、赤色のオーラを発した。しかし、
「ぐっ!なんだ!?この臭いは!」
永倉はにやりとする。
「どうだい?鼻をつまみたくなるだろう?」
荘介は鼻をつまみ、その場でうずくまる。目からは涙があふれていた。
(くさい!なんだこれ!)
荘介は動けなくなった。永倉は着実に近づきながら口を開いた。
「筋書はこうだ。マッドサイエンティスト気質な化学部員がチオアセトンの蒸留を試みて、近くにいたお前を気絶させた…お前はしばらく学校を休むことになる…完璧だ!」
(こいつの兆能力は、あらゆる臭いを発生させる『スメラー』か!生ごみを凝縮したような臭いだ!)
荘介はなんとか立ち上がろうとするが、臭いが酷すぎて、それさえできない。永倉は腕を組みながら、うずくまる荘介を見下していた。
善永の方は、お互い黙って見つめ合っていた。その沈黙を破ったのは善永だ。
「粛清だと?」
「そうだ。安心しろ。大事には至らせない。」
そう言いながら、武田が制服のポケットから電動歯ブラシを取り出した。それを善永の方に放り投げる。すると、電動歯ブラシが一人でに浮かび、善永に襲いかかってきた。
「筋書はこうだ。電動歯ブラシで歯を磨こうとしたら、誤って目に入れてしまった…完璧だ!」
善永の挑戦状:1889年、これが蒸留された結果半径750m以内の人間が失神したり嘔吐したりした事例が起きた、非常に臭気が強い勇気硫黄化合物は何?
前回の『善永の挑戦状』答え:アメリカ




