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20話:エニィウェア・フィッシング

釣り上げられた荘介に、善永が気づいた。荘介は半身が池に浸かっている状態になっている。

「荘介!」

善永が向かおうとするが、生徒が、止まれ、と言ったのを聞いて素直に立ち止まる。その後すぐに、生徒が脅してきたからだ。

「近づくと、こいつがどうなるかな?」

「何をする気だ!」

「なんだい?僕の兆能力を知らないのか?」

善永はスマートフォンを取り出す。

「aibo!釣りに関する兆能力ってなんだ!」

『どうも、善永さん。釣りに関する兆能力としては、『エニィウェア・フィッシング』が挙げられます。自身の兆能力範囲にある物をどこからでも釣ることができる兆能力です。』

「もっと詳しく!」

『厄介なのは、リリースでしょう。同じく兆能力範囲であれば、どこにでも放り出すことができます。』

生徒が笑っていた。

「最近のAIは有能だねぇ。」

「ふざけるな!荘介を返してもらう!」

「だから、近づくなと言っているんだ。これ以上近づけば、こいつを女子更衣室にでもリリースするよ。」

「!」

善永はその場を動けない。だが、にやりと笑った。

「わかった。近づきさえしなければいいんだな?」

「?」

善永はテレポートビジョンを発動しながら目をつむる。

(さて、中庭を見下ろせる位置に設置して…と。)

同じく、釣り糸に絡まっていた荘介もにやりとしている。

「なんだ!何がおかしい!」

2人の様子を見て生徒が狼狽していたとき、釣り糸をビームが貫いた。アイビームである。

「釣り糸が!」

荘介は急いで池から上がる。糸は絡まっていたが、生徒から離れることができた。

「さて、もう一度俺たちを釣るかい?」

荘介が鞭を手に持ちながら言った。

「そうだな。お前たちを釣るのはやめにするよ。」

生徒の釣り竿が再生していた。生徒は再び釣り糸を垂らす。

(あの釣り竿!再生するのか!)

「ほらよ。これやるから、帰れ。」

生徒がぼそっと言った。2人は発言の意図を理解できず、ただ立ち尽くしていた。が、その真意に気がつくことになる。最初に気がついたのは、中庭を俯瞰していた善永だ。

「荘介!上だ!」

善永がそう言ったのを聞いて、荘介は見上げる。そこには、複数の机や椅子が浮いているのが見えた。

「!」

2人は落下してきた机や椅子をかわす。

「へっ!リリースが下手だな!」

善永は嘲るように言った。生徒は鼻で笑う。

「かわした程度でいい気になるなよ。」

落下してきた机がふっと消えるのが見えた。

(また釣ったのか!)

善永の思った通り、机が降ってきた。生徒は、2人がその机に気を取られている間に、再び釣り糸を垂らす。

「全く、外道もいいところだ。こいつで最後にしてやる。」

次にリリースされたのは、体育館倉庫から釣ってきたと思われるボールの数々だ。

(今度はボールか!)

善永は、ボールをかわしながら、どこかに向かって走っている。生徒は舌打ちをする。

「しつこいな…」


「悪かったな。だが、俺たちはそういう人間なんだ。」

「!」

生徒は、声のした方を見る。そこには、荘介が鞭で机を引っかけているのを確認できた。

「まさか!その机で俺を!」

荘介は持っていた鞭を思いきり振るう。すると、机が、鞭に引っ張られて、生徒の方に飛んでいく。生徒は目をつむり、身構える。しかし、机は生徒に届く前に、地面に落下した。

「ははは!驚かせただけか!」

「そうだ。」

「!」

生徒の背後に善永がいた。拳にはオーラを纏わせている。


(机で僕の気を引かせたのか!)

生徒は荘介の方を見る。荘介はほくそ笑んでいた。

「残念だったな。今日の成果はボウズだぜ!」

善永は壱極集中のアッパーを生徒にぶつける。

「ぐはあ!」

生徒は天に吹き飛ばされ、池の中に頭から突っ込んだ。それを見ながら、善永は吐き捨てるように言う。

「頭を冷やしな!この色情野郎め!」


善永の挑戦状:釣りの用語で、狙っている本命以外の魚のことを何という?


前回の『善永の挑戦状』答え:オウィディウス

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