15話:一か八か
宮ケ瀬がボールを受け取り、中庭を走り抜ける。
「驀進ですわー!」
他の生徒たちが4人に気がつき、それぞれ反応している。
「おい!あれ見ろよ!クイズ研究会の連中だぜ!」
「今度はサッカーか!見に行こうぜ!」
生徒たちが4人のもとに集まってくる。
(ちっ、人が集まってきたな…)
宮ケ瀬をマークしていた善永は、心の中で舌打ちをする。
「私をマークしてくださるなんて!感謝感激雨あられですわー!」
「うるせーな!俺のことが好きなんだったら、ボール寄越せ!」
「それは無理ですわ!でも、安心してくださいまし!この試合に私たちが勝てば、私たちは晴れてカップルですわ!」
「は!?聞いてねーぞ!」
宮ケ瀬は黒部にボールをパスする。
「しまった!」
「楽しみですわー!」
善永は恨めしそうに宮ケ瀬を見る。
(くそ!今すぐにでもアイビームでこいつの頭を貫きたい!だが、ここは!)
4人は校舎内の廊下を走っている。兆能力だの、部活狩りだの関係なく、校舎でサッカーなどもってのほかだが、通りすがりの教師は黙認していた。
「頑張れよー!クイズ研究会!怪我だけはすんなよ!あ、あと息子に…って、もう行っちまったか。」
教師の中にも、蛮行を楽しむ者がいた。そうしている間にも、下駄箱が見えてきた。その向こうには、立派な正門が見える。
(まずい!このままじゃ、負ける!)
そのとき、赤色のオーラが見えた。荘介がオーラを発していたのである。
「荘介!お前何を!」
「俺たちは押されているんだ!ここで勝負しなければ、負けるぞ!」
荘介は下駄箱を出た後、どこからか鞭を出現させた。荘介はその鞭で、黒部が持っていたボールを奪った。
『ハイパーウィップ』
伸縮自在な鞭を出現させる兆能力だ。荘介の華麗な鞭さばきが、試合の攻勢を変えた。
「よし!オーラ感知機も反応しなかった!今度はこっちのターンだ!」
荘介は天高くボールを蹴り上げた。ボールは、校舎の屋上の方に飛んでいった。
「荘介!どこ狙ってんだ!」
善永は困惑している。荘介は叫んだ。
「上から行くぞ!廊下は狭い!さあ、早く屋上に!」
荘介は校舎の中に入っていった。善永もそれについていく。校舎に入り、階段を上っていると、ドローンが飛んできた。
「うわ!なんだ!?」
『さあ!クイズ研究会による部活狩り5戦目!戦いの模様は、コンピュータ部に協力してもらって、ドローン映像で実況します!』
『指揮官として優秀なMFの黒部さんと、その強力なシュートが武器、FWの宮ケ瀬さん、どちらも兆栄高校サッカー部を代表する選手です!』
実況の二太郎と解説の河元だ。コンピュータ室で、コンピュータ部員が操るドローン映像を見ながら実況するようだ。
「すげーな…その執着…」
善永は呆れるばかりだ。そうこうしている間に、屋上に出た。
「あった!」
善永はボールを見つけ、一直線に走っていく。荘介はボールを通り過ぎて、裏門がある方角に向かっていく。
「奴らはまだ来てない!いくぞ!荘介!」
善永はインサイドキックで荘介にボールをパスする。
『善永さん、インサイドキックで見事なパス!』
『なんでもできますね!この人!』
「ナイスパス!善永!」
荘介はボールを足で受け止め、先に進もうとする。が、
「そうはさせない!」
近くにあった扉から、黒部が出てきた。屋上に繋がる階段・扉は2つあり、黒部は荘介たちが出てきたのとは別の扉に向かっていたのだ。
『おっと!荘介さんの前に、黒部さんが立ち塞がる!』
「まずい!パスだ!」
「無駄ですわー!」
善永は背筋が凍った。すぐ後ろに宮ケ瀬がいたのだ。
「ひぃっ!?」
荘介はパスを躊躇い、ボールを足で転がす。
「サッカー素人め!隙だらけだ!」
黒部は見事に足を差し込み、荘介からボールを奪った。
『お見事!黒部さん、荘介さんからボールを奪う!』
「ナイスですわ!こっちにパスしてくださいまし!ここから正門にシュートできますわ!」
宮ケ瀬が手を挙げている。黒部はボールを転がしながら、宮ケ瀬にパスしようとする。
その横で、荘介がオーラを出していた。
善永の挑戦状:漫画『キャプテン翼』の主人公・大空翼のモデルと言われている、サンパウロFCなどでプレーしたサッカー選手は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:宮ヶ瀬ダム




