表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/109

106話:ゲームの終焉

ホワイトと善永はしばらく見つめ合う。最初に口を開いたのは、善永だった。

「どうやったら、あの小惑星は消える?」

「さあ。それよりも、お菓子を食べませんか?」

ホワイトははぐらかす。善永がいらいらしていたとき、後ろから声が聞こえた。

「頭使えよ。善永。」

善永はびくっとなり、振り返る。そこには、黒部がいた。

「黒部!」

「三年生から話を聞いている。ルールを思い出すんだ。善永。ゲームをクリアしたとして、事態が収束するなんて文言どこにもない。現れた効果も消え去ることはないんだよ。つまり、ゲームにより現れた効果は全て、あの女の兆能力によるものだ。」

「それはおかしい!ゲームが終われば、兆能力は使えなく…はっ!」

「気がついたか?兆能力が使えなくなる…ただそれだけのことだ。ゲーム中に発生した効果が消えることを意味していないんだよ。発生した効果を消す方法はたった一つ、あの女を殺すことだけだ。」

「!」

ホワイトが瞠目している。

「ふふ。さすがですね。さて、後ろの小惑星を消す方法もわかったことですし、どうです?あなたに、私を殺す覚悟がありますか?」

善永は逡巡する。今まで多くの強敵と激しい死闘を繰り広げ、ときには「殺す」などと発したこともあった。そんな善永だが、いざ殺せと言われても、できないのであった。

「善永、無理なら俺が…がふっ!」

「黒部!」

黒部がその場でうずくまった。黒部の肩が出血していた。善永は慌ててハンカチを取り出し、それで止血する。善永は辺りを見回した。

「これで終わりだ!川路善永!」

ヴァン・ペルトがゆっくりと歩み寄ってきていた。善永はヴァン・ペルトを睨みつける。一方のヴァン・ペルトは笑っている。持っているアサルトライフルを構え、善永を今にも撃とうとしていた。

「やめときな。お前が俺を撃つ前に、俺がお前を撃つ。」

善永の発言に、ヴァン・ペルトは驚きの表情を浮かべるが、すぐに笑顔になった。

「善永、少しいい男になったじゃないか。」

「俺は生まれつきいい男だ。」

善永は目をつむる。そして、ヴァン・ペルトが発砲してくる前に、彼の左胸にアイビームを貫通させた。ヴァン・ペルトは、持っていたアサルトライフルを落とし、にやりとしながら消滅していった。

「…」

ヴァン・ペルトが消滅するのを見守った後、善永は改めて理事長の方を見た。小惑星は着実に迫ってきている。

「ついにやりましたね。今度は私ですか?」

ホワイトは常に笑顔をキープしている。そこに、恐れや動揺など見られなかった。善永は目をつむったままだが、なかなかアイビームを発射できないでいる。兆能力によって出現したヴァン・ペルトをやるのと、生身の人間であるホワイトをやるのとではわけが違うのである。

「あなたは本当にNo.3なのか…?」

「何を今更…綾小路レイ事件のこともご存じなのでしょう?あれは間違いなく私ですよ。あなたを抹殺するよう部下に命じたのも、間違いなくこの私です。」

善永はもどかしさを感じた。いくらなんでも潔すぎる。この人はただのいい人なんじゃないか、そう錯覚させられるほどだ。善永は拳を強く握りしめる。時間だけが過ぎ、小惑星の衝突も迫っているというのに、善永はアイビームを撃とうとしない。ホワイトは、じっと動かず、ただ善永を見つめていた。善永が躊躇っていたそのとき、


『頑張れよ。川路一族の意地を見せてやれ。』


「aibo…?」

善永のスマートフォンから声が聞こえてきた。aiboが勝手に起動して、善永の背中を押す。善永は少し戸惑ったが、目を強くつむった。


「わかったぜ…俺は、覚悟を決めた!」


善永は意を決して、和同文殊光線を発射した。

「あっ…」

それは、ホワイトの腹部を貫く。ホワイトに大きな穴を開けた。

「…そう…それでいいのです…あなたの攻撃は、決定打であって、とどめではない…法律や、神が許さなかったとしても…私があなたを許します…」

ホワイトはゆっくりと倒れていった。そして、爆発した。SOCIOLOGIの幹部は、他の構成員のように発火するのではなく、爆発するのである。迫ってきていた小惑星は完全に消え去り、きれいな夕日だけが窓から見えていた。

(これで終わった…全てが…)

善永はしばらくうつむいた。近くでは黒部が肩の怪我を押さえて、苦しんでいる。善永は、黒部を担いで、皆のもとに向かうのであった。


ところかわって、ある国、大きな高層ビルが立ち並ぶ大都市。あるビルの一室で、2人の男が何か話し合っている。

「…No.3が死んだか…これで、旧幹部は全滅してしまったわけだ。」

一人の男が口を開く。カーテンで隠れていて顔が見えないが、膝の上に白い猫を乗せていることだけはわかる。部下らしき男が嘆く。

「計画は失敗なのでしょうか…」

「いや。それは違うな。兆栄高校での計画は、No.3の死亡がゴールだ。」

「それはつまり…」


「ふふふ。言わなくてもわかるんじゃないか?No.3は用済みになった。ただそれだけの話だ。それに、No.3のバッジには細工をしてある。奴を殺した人間は、それに苦しめられることになるだろうな。いや、苦しめられるべきだ。あの細工にはかなり骨を折ったからな。二度とやりたくない。」

「そ、そうですか…」


男が猫を撫でながら、不気味に笑う。

「さて、No.3の計画も成功に終わったことだ。早速次のステップに移ろう。準備の方はどうかな?」

「はい。順調に進んでおります。来月には実行できるでしょう。」

「No.11、幹部になりたてだが、君は有望だ。これからの活躍に期待しているよ。」


「はい。SOCIOLOGIの名において、必ず計画を成功させてみせます…No.1…」


No.11の話を聞きながら、No.1のレオ・オーベルハウザーは猫を優しく撫でていた。


善永の挑戦状:主人公のハリー・スタンパーをブルース・ウィリスが演じた、小惑星の衝突を題材にした、1998年の映画は何?


前回の『善永の挑戦状』答え:アニマトロニクス

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ