103話:増える追跡者
センチュリーの中では、なぎさがサイコロを振っていた。サイコロの出目は3。運転している善永が強く念じる。
(頼む!味方であってくれ!)
ボードの上に文字が表示された。
『名前を言ってはいけないあの人』
「ごめん!絶対敵の方だと思う!」
なぎさの発言を聞いて、3人は顔を下に向ける。しばらくセンチュリーを走らせていると、その前方にある人物が立っていた。肌が青白く、鼻がつぶれている。その人物は細長い杖を持っていた。
その人物―闇の帝王と呼ぼう―が、何かを唱えながら、杖を振るう。すると、杖から緑色の閃光が放たれた。
「死の呪文だ!」
緑の閃光は、センチュリーのフロントガラスによって止められた。善永がアクセルを勢いよく踏む。
「あの野郎!轢き殺してやる!」
センチュリーが闇の帝王を轢こうとする。しかし、接触する寸前に、闇の帝王が姿を消した。荘介が振り返ると、闇の帝王が姿を現しているのが見えた。
「瞬間移動ができる『姿現し』だ!」
闇の帝王が杖を振るい、緑の閃光を発する。それが、センチュリーのタイヤに命中する。いつ、緑の閃光が、割られたリアウィンドウを通って車内に飛んできてもおかしくない、と考えたなぎさは、意を決して、センチュリーのドアを開けた。
「何やっている!なぎさ!」
善永が心配しているが、なぎさはお構いなく身を乗り出す。なぎさは魔法少女の姿になっていた。
「僕の防御魔法ではね返してみる!」
なぎさは、巨大な盾を出現させていた。
「あれ、おかしいな…刀がない。」
一方、雄康の車に乗せられて、善俊が町に到着した。雄康がごそごそしているのを横目に、善俊が車から降りると、2人組の首都警察官が近づいてきた。
「川路首都警部!ご苦労様であります!」
「ご苦労様であります!」
「ああ。ご苦労様。状況はどうだい?」
善俊が2人組に尋ねる。
「はい!大変な状況になっております!」
「おります!」
「それはわかるよ…」
善俊は辺りを見回す。あちこちで火が上がり、人々が逃げ惑っている。車から降りた雄康があることに気がつく。
「あれ?お前ら、アサルトライフルは?」
「はい!川路首都警部に渡したであります!」
「あります!」
「そうか。僕に渡したんだね…え?」
「…え?」
そのとき、善俊たちの目の前を車が急速度で通過した。とてもぼろぼろになっていたが、それが善俊の愛車・センチュリーであることは確認できた。
「あれって、善俊の…それに、乗っていたのは…」
「善永ああああああ!」
雄康と善俊が急いで車に乗り、センチュリーを追いかける。善俊は窓から身を乗り出し、トラメガで叫ぶ。
「そこの車あああああ!止まれええええええ!」
善俊の声を聞いて、善永が震える。
「まずい!親父だ!」
「今はそれどころじゃないよ!」
なぎさは一点を見つめている。追いかけてきている車の上に、闇の帝王が立っていた。闇の帝王が杖を振るい、緑の閃光を放つ。なぎさは巨大な盾でそれを防ごうとした。緑の閃光は、盾に命中して、上向きにはね返される。
(いける!これで、倒す!)
これには闇の帝王も驚いていたが、すかさず次の閃光を放った。なぎさは盾の位置を調整し、それをはね返した。はね返された閃光は、闇の帝王に命中する。闇の帝王は、無数の塵となって消滅していった。
「やった!やったよ!えいちゃん!」
なぎさは身を引っ込め、ドアを閉める。運転席の善永は冷や汗をかいていた。
「まずい…がちで怒られる…まずい…」
「おい!次、君の番だろ!しばらく直線だから、今のうちにサイコロ振れ!」
有賀が後部座席から怒鳴ってくる。善永はぶつぶつと何か言いながら、サイコロを手に持ち、振ろうとした。そのとき、前方から数台のパトカーがバックしてきているのが見えた。なぜバックしてきたのかは、さらに向こうにいる存在を目撃することによって知ることとなる。
「ティラノサウルスだ!『獰猛な肉食恐竜、どう思う。』で出現するのは、ヴェロキラプトルだけじゃなかったんだ!」
善永の挑戦状:インディー・ジョーンズのモデルになったとされている、マチュ・ピチュを発見した探検家は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:『桜』




