101話:その頃、三年生は
抹殺者に振り切られた三年生たちはグラウンドで立ち尽くしていた。あるとき、篠原が口を開いた。
「俺たちも、可能な範囲で善永たちを補佐しよう!」
「ああ!」
本田と八ッ場が同意して、グラウンドから離れようとしたそのとき、
「待てよ。お前らは、ここにいればいいじゃないか。」
「!」
何者かの声が聞こえた。本田が不審がる。
(おかしい!さっきまで、俺たち以外に誰もいなかったのに!)
本田が辺りを見回すが、誰もいない。
「誰だ!お前は!」
八ッ場が誰かに話しかけていた。篠原と本田が八ッ場の目線の先を見る。しかし、そこに誰もいなかった。
「八ッ場!何を見た!?」
「男がいたんだ!確かにこの目で見た!」
だが、何度辺りを見回しても、誰かがいる気配はない。篠原が首を傾げたとき、
「やあ。何か悩み事かい?」
篠原の目の前に男が突然現れた。篠原は思わず右ストレートを繰り出すが、男はふっと消えてしまった。
「乱暴だな。」
「!」
男は篠原の背後にいた。それで篠原は確信する。
「テレポートか!」
篠原はすかさず左フックで背後の男に攻撃しようとしたが、男は消滅していた。
「ご名答。」
男はグラウンド近くにある倉庫の屋根に乗っていた。3人が目をつむると、男は3人の目の前にまで迫っていた。3人は固まってしまう。
「俺は、No.3親衛隊の切り札。ミスター・ベック!お前らの話は聞いてある。命令は川路善永の抹殺だが、それに際してお前らは邪魔な存在だ。」
「善永の抹殺だと!?させるか!そんなこと!」
ベックと名乗る男の発言を聞いて、篠原が激昂した。その横で、八ッ場が釣り竿を振るう。それはベックを釣り上げ、動けなくした。
「おっと。」
「八ッ場!そのままで頼むぜ!」
篠原が拳を構えながら、ベックに向かっていく。本田は、手を餅のように伸ばし、ベックに攻撃しようとする。
「甘いな。これで動きを封じたつもりか?テレポートを舐めるなよ。」
「舐めてねえよ。」
「!」
ベックがテレポートで姿を消そうとしたとき、篠原が踵を返した。そして、右ストレートを繰り出した。そこには誰もいなかったが、数秒後にベックが姿を現した。ベックは慌てて篠原の右ストレートをかわした。
「こいつ!」
(テレポートは、向いている方向にしかできない。それと、移動できるのは兆能力範囲の端から端!それさえわかれば、こいつの移動は予測できる!)
ベックが消滅しようとしたとき、篠原はベックの移動先を予想して、そこに向かっていった。しかし、ベックは出現しなかった。
「いいね。テレポートの弱点を知っているか。だが、認識が甘いな。それは、レベル2までの話だ。」
「!」
篠原の背後にベックがいた。本田が手を餅のように伸ばし、ベックを捕まえようとしたが、テレポートでかわされた。ベックは、八ッ場の背後に移動した。
「レベル3のテレポートは、自由自在に移動できるんでな!」
八ッ場が振り返る間もなく、ベックは八ッ場に触れた。そして、八ッ場とともに姿を消した。
「まずい!テレポートは、触れた相手も一緒に移動させることができる!野郎!八ッ場をどこに!」
篠原と本田が辺りを見回していると、上空から声がした。
「さあ、ダイブだぜ!」
ベックは八ッ場とともに地上から20mの地点に移動していたのだ!
八ッ場はベックから突き放され、そのまま落下し始める。ベックはテレポートで地上に移動できるが、八ッ場はただ落下するだけだ。
「うわあああああ!」
八ッ場の悲鳴を聞いて、本田は手を餅のように伸ばし、八ッ場を受け止めた。
「大丈夫か!八ッ場!」
「助かった!本田!」
しかし、心休まる暇などない。ベックが本田の側にテレポートしていたのだ。ベックが本田の手に触れようとしたとき、
「させません!」
「!」
どこかから、泥と電気の塊が飛んできた。ベックは思わず手を引っ込め、それらが飛んできた方を見る。そこには、4人の生徒がいた。
「お前ら!」
「こうして揃うのも久しぶりですわ!三年生の皆さん!」
一太、早明浦、黒部、宮ケ瀬が、堂々とした様子で立っていた。
善永の挑戦状:『百列張りて』などの技を使用する、『ストリートファイター』シリーズに登場する力士は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:エドワード・スミス




