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東の人質

「ショウ様、すこしよろしいでしょうか?」

「はい、なんでしょうか?」

「実は20年前に反乱を起こして鎮圧されたのですが、それ以降カソーピアから新たな命令を受けております。」

「どのようなものでしょう。」

「それぞれの長老家の中で最も美しくて賢い雌を5年に一度カソーピアの奴隷として差し出せという命令です。」

俺の目に火がついた。なんて奴らだ。

「そ、それに従っていたのですか?」

「恥ずかしながら、それ以外に道はありませんでした。来年がまた次の雌を差し出す年になっております。」

「それは、つらいことでしたね。」

「さきほど、長老たちで相談したのですが、来年はその命令を無視しようと決めました。」

「それはご決断されましたね。俺たちも支援します。」

「そこでご相談なのですが、5人の雌は最高の教育としつけを受けておりますが、幼いころからそのような使命を受けて育っております。なかなか畑の民の中で伴侶を見つけるのもむずかしい状況です。よろしければ奴隷で結構なので、ショウ様にお預けできないかと考えております。」

これは一人で返事すると、大変なことになるパターンや。

「そ、それは急なお話ですな。すいません、こういう話は一人で聞くのは色々障りがありますので、少々お待ちください。」

俺は全力疾走でエリーンとサイクスを呼びに行った。

「それはいままで奴隷にされた人たちはつらい目に合われましたね。」

ふたりともこれまで奴隷にされた雌たちに思いを寄せた。

「シンリアスの皆様と絆を深めるために、その雌たちを助けるのは良いことだと思いますが、奴隷というのはいかがでしょうか。」

エリーンは家族拡大主義者だから、話に食いついた。そして俺を横目で見る。視線が痛い。俺は悪くないぞ。

「そうですね、フィンゼィク様もご存知の通り、ショウさんは畑の民を妻にしておりますので。」

サイクスも俺をみる。見ないで~。

「いや、ショウ様の妻などと、そんな畏れ多いことは考えておりません。」

フィンゼィクは即座に否定する。俺が発言すると炎上しそうなので、ここは沈黙を貫いた。

「戻って他の家族とも相談してお返事をするということで良いですか、ショウさん。」

エリーンが助け舟を出してくれた。ありがたい。

「お、おう、そうだな。そうしよう。」

「ありがとうございます、よろしくお願いします。」

フィンゼィクが頭を下げた。


俺たち3人は宿泊棟に移動した。

「二人とも助かりました。突然あんな話が出るとは。」

「シュレンジュが妻だと言った時から、こんなことがあるかと思ってましたよ。」

サイクスが突っ込んでくる。

「そ、そうですか。」

「お嬢様がなんと言うか、楽しみです。」

エリーンが嬉しそうに言った。

「おい、楽しんでないで助けてくれよ。」

「さあ、どうしましょうか。」

こいつ、お仕置きだな。

「ショウさん、サフィアスから聞いたのですが。」

「なにか、気になるところがありましたか?」

「黒い波動は無かったんですが、セイトロバクス長老の波動が安定していないようです。」

「安定しないというのは、どういうことでしょう。」

「詳しくは分かりませんが、何かショウさんとの連携に心配事があるようです。」

「どうすれば、良いでしょうか?」

「本人と話してみるしか手はないですね。」

俺はビルブティネルの部屋に向かった。

「ショウ様、どうされました。」

俺の表情を見て、ビルブティネルが緊張する。俺はセイトロバクスの懸念を話した。

「それで、直接セイトロバクス長老と話をしたく、同席いただければありがたいのですが。」

「なるほど、それは急ぎで対応した方が良いですね。参りましょう。」

ビルブティネルは部屋を出て、そしてセイトロバクスの部屋に向かった。

「東の、ちょっといいか?」

「おう、西の、ショウ様まで、どうしました。」

俺たちはセイトロバクスの部屋に招き入れられた。

「申し上げにくいのですが、俺の家族には心の状態を見える者がいます。セイトロバクス殿の心に乱れがあるのを見つけました。何かお力になれればと思い参りました。」

セイトロバクスは少しの間息を飲んだ。

「そ、そうですか。そこまでお分かりになるのですね。ショウ様に指導いただきたいという考えに少しのぶれもありませんが、」

そこでまた少し沈黙が続いた。

「お恥ずかしいことでが、ふた月ほど前にカソーピアの一団が船で我々のところに来ました。そして私の家族を小屋に閉じ込めたのです。そして、長老会議での状況をすべて報告するように迫られたのです。私はその要求を飲んだふりをして過ごしてきました。そのことが心の乱れに繋がっているようです。」

「な、なんと、家族が人質にとられたのですか!」

ビルブティネルが目を見開いた。

「今でも100人ほどの騎士が小屋を取り囲んでおります。」

「そうですか、それではまずご家族の解放に向かいましょう。」

「そこまでご迷惑をかける訳にはいきません。」

「家族を助けるのが俺の生き方です。お任せください。」

今回は敵を殲滅するだけではなく、人質解放が目的だ。加速を集めよう。相手が人間だから夜襲だな。俺はエリーンの元に走った。

「すまないが、俺とメイガロマトン、セイトロバクス長老を乗せて海岸まで急いでくれ。」

「はい、直ちに。」

港でジェイパスを呼んだ。

「すまんが、俺たち3人を東の海岸まで運んでくれるか。」

「わかった、部下を何人か連れて行くか?」

「いや、3人で十分だ。ジェイパスが頼りになるからな。」

「そうか、任せるのじゃ。」

いちいちめんどうくさいが、大事なルーティンだ。

「エリーン、一度向こうに戻ってペルカとサフィアスも港に連れてきてくれ、ジェイパス、二人も東の港に連れていく段取りを頼む。」

俺たちは1日かけて東の港についた。凄いスピードだった、何度かみんな人魚の背中から落ちたが、すぐ拾ってもらい事なきを得た。サフィアスは大変そうだが。

「長老、どこかに空いている建物はありますか?」

「はい、直ぐに準備できます。」

「それとご家族がいる建物はここから遠いですか?」

「歩いて1時間ほどです。」

「そうですか、それでは今晩決着をつけます。安心してください。全員無事に保護しますから。」

俺は案内された小屋の空き部屋にマーカーをセットしてコンポロに飛んだ。向こうは早朝だ。

「ショウ様、どうしました。」

スティリアスが連結ドアから俺が顔を出すと、心配そうに聞いた。

「スティリアス、出番だ。助けてくれ。ロストリンとティティマオも呼んでくれ。」

「はい、直ぐに!」

スティリアスは嬉しそうに部屋から飛び出した。同じようにモウルに飛んでモウルとタンディにも召集をかけた。なぜかみんな嬉しそうだ。その後荘園に飛んでフォイヘスにシュレンモハンとファロメイリン、スリニーを連れてくるよう指示した。ゲートの回数回復のため下北沢で過ごすのがめんどくさかったが、2時間後には全員を東の小屋に集めることができた。サフィアスだけは船酔いでかなり弱ってたが。すまんな。

「今晩ここの長老の家族奪還作戦を実施する。まず、小屋が三つあるから家族の位置を特定する。これはサフィアス頼む。」

任せて、と言いながら、ゲロだ。

「外の見張りはタンディに狙撃してもらう。」

「はい。わかりました。」

「人質がいない小屋はメイガロマトンが銃で殲滅してくれ。」

「はい、そういたします。」

「人質のいる小屋には、加速持ちが突入して直ぐに人質を背にして戦ってくれ。モウルは短銃装備で頼む。」

「はーい。2丁拳銃で行く。」

相変わらず軽い。

「カソーピアの人質、絶対助けます。」

スティリアスのキャッツアイが燃えている。またキスしたくなるぞ。

「わらわの出番はないのか?」

「いやジェイパスは強すぎるから見ててくれ。」

「そ、そうじゃな。」

不満そうだが、皆殺しにしては困るからな。


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