ロンドビー山小屋へ
1週間後、主だったものを山小屋に集めた。ロンドビーも初めて山小屋まできた。フォイヘスに乗せたので、港から山小屋まで2時間ほどだ。あまりのスピードに目を白黒している。
「紹介します。空の民レンドル公爵リム、森の民モウル伯爵、谷の民スティリアス王、海の民ジェイパス総統、畑の民外交担当シュレンジュ、草原の民エリーン、霧の民サイクス、山の民ペルカです。こちらは新たに北半球船団を率いてもらうロンドビー船長です。」
「北半球に船団ができるのか?」
一同が驚いている。
「この前の戦いで捕獲した船を有効活用できるからな。北で15隻、南で20隻引き受けてもらう予定だ。」
「ますます物資の輸入が進めますね。」
エリーンが嬉しそうだ。
「みなさん、初めてお目にかかります。ロンドビーと言います。いままで物資の輸送などでショウ様とは商売をさせてもらっていましたが、これからはショウ様の配下として船を運用いたします。」
「いや、みんな、配下ではなく盟友だと思ってくれ。」
俺はロンドビーの言葉を訂正した。
「ロンドビー殿はシェイトン島の出身ですよね。私は青の渓谷なので、お世話になってます。」
「おお、ポポゼウル様の関係の方ですか。」
「はい、ポポゼウルの娘です。」
「あ、サフィアス様の母上ですね。それはお目にかかれて光栄です。今日はサフィアス様はご不在ですか?」
「いや、サフィアスは凄いんだが、こういう戦略会議には向かないというか、」
「シェイトン島は人間の島ですね。やはりカソーピアの影響を受けているのですか?」
スティリアスが訊いた。ロンドビーは、これが例のキャッツアイだと気づいたようだが、表情に出さない。さすがだ。
「いえ、カソーピアの力は北半球には及んでいません。我らの島は小さいので力がありませんので、目にはいらないでしょう。」
「シェイトン島とはどんなところなのじゃ。」
リムが訊いてくる。話の方向が良くないな。
「商売の島です。北半球の物資ならほぼすべて取り扱っています。」
さすが、ロンドビー船長、うまくあしらった。
「ロンドビー船長は物資のことなどよく知っているのでアドバイスをお願いします。」
あらぬ方向に話がいかないようにしないとな。
「今日はいくつか話をしたい。まずはジェローリアのことだ。リムの正式な公爵就任とかロルやテクの今後について、話をしたい。」
「わらわについては、公爵就任はいそがない。今の状態では破壊された町を復興するにもあそこだと守りにくいから、それもむづかしいのう。」
「お嬢様、公爵就任は急いだほうが良いと思います。この島に公爵がカソーピアの息のかかった一人だけというのは良くないです。」
エリーンが声をあげた。
「私もそう思います。すぐにでも就任されるのが良いと思います。」
シュレンジュが続く、主流派がまた手を組んだな。これで決まりだ。
「そ、そうなのか。」
リムが俺を見上げる。
「リムの思いもわかるが、それは急いだほうが良いな。手順とかはわかるのか?」
「それは侍従長が生き残ったから大丈夫じゃが。」
「つらいと思うが、ここは前に進んでくれるか。」
「わかった、皆がそういうならそうしよう。」
俺はリムを抱き寄せた。
「ロルやテクは何か言ってるのか?」
「いや、今は生きてることを明らかにしない方が良いというのは理解しているようじゃ。むしろここで世話になっていることが申し訳ないといつも言っておる。」
「当面、あちらの公爵領を再建するのもむずかしいでしょうから、モウル領やコンポロに行ってもらうのも手かもしれませんね。この前の戦利品で金がたくさん手に入りましたから、それをお渡しして一時的にそちらで独立して生活していただくとか。魔法職は防衛にも役立ちますし、迷宮にも入れますし。」
シュレンジュが提案した。いつもしっかり考えてるな。
「私は歓迎します。」
「私もうれしい。」
スティリアスとモウルが賛成した。
「リムはどう思う。」
「そうじゃな、ここだと我が領民に気を使うことも多いじゃろうから、それは名案かもしれん。」
「金を100キロずつ渡すので、どうかと聞いてくれるか?」
「わかった、わらわが二人と話をしよう。」
「宜しく頼む。次の話なんだが、これは俺も驚いたんだが、シンリアスの長老たちが俺に王になってくれと言ってるんだ。」
一同はあまりに想定外で口を開けている。
「たしかにコントルホーンさん、凄く驚いてたね。」
モウルがゆるく言う。
「もう少し説明してもらえますか?」
エリーンの問いに俺はシンリアスの状況とこれまでの関係を説明した。
「それならば、まずカソーピアから奪還するということじゃな。」
ジェイパスが口を開いた。
「この島とシンリアスは赤道を挟んで近いので、船で攻めるならいくらでも通してやるぞ。」
「お、おう、その時は宜しく頼む。しかし奪還はできてもその後守らないといけないからな。」
「でもショウさんは、何とかしてあげたいんですよね。」
サイクスが痛いところを突いてくる。
「そうですね。同じ人間の蛮行を止めるのが俺の役目だと思っているので。」
「ショウがそう思うなら、わらわは賛成じゃぞ。おもうままにするが良い。」
リムの言葉に一同が頷いた。
「みんな、ありがとう。慎重に進めないといけないので、すこし時間をくれ。一度シンリアスの長老たちと会ってくる。」
「それが良い。わらわが連れて行ってやろう。」
「ジェイパス、ありがとう。しかし向こうが怖がるから船で行くよ。赤道通してくれたらそれでいい。」
「そうなんじゃな。」
ジェイパスは不満そうだ。
「おれから最後のテーマだが、60階層の第二の扉だ。先日ポポゼウル殿がゲートで直接色々アドバイスをくれた。装備が整えばトライしたいのだが。」
「防具の方はずっと生産を続けてますので、魔法+10,物理+10が10人分できました。それ以外も全員+9,+9までは大丈夫です。」
ペルカが胸を張る。それ以上胸を強調せんでもいい。
「それは凄い。ご苦労様。」
「ファロピピンが状態異常回復2の調薬に成功したの。これだと頭からかけると石化も回復できる。」
「おお、よくやった!数はあるのか?」
「緑魔石使うので、まだ10しかない。」
「それでも、サフィアスに持たせたら結構いけるな。」
「うちのが古い文書から杖の強化法を見つけました。」
サイクスがフォンティオの発見を言い出した。
「さすが、お義父さんです。それはどんなですか?」
「技巧3であれば宝石があれば、火力を相当上げれるようです。」
「宝石ですか?どんなのがいるのです?」
「それが、結構大きなものが要るようです。」
「そうですか。鉱山に行って、あるか聞いてみます。」
「干し魚が好評なので、他の地区にも分けてやったら耳よりの情報が入ったのじゃ。」
「それはどんなの?」
「状態異常を3回まで防げるネックレスじゃ。」
「それもすごいな。材料はあるの?」
「黄魔石とルビーじゃな。ルビーは大きくなくともよいぞ。」
「それならいくつかあるから試してくれるか?」
「100%成功ではないが良いのか?」
「もちろん大丈夫だ。頼りにしてる。」
「そ、そうか任せよ。」
ジェイパスは嬉しそうだ。
今回新たに分かったアイテムを準備して二週間ほど後に第二の扉に挑戦することになった。
話し合いが終わって散会したあとロンドビーが残った。
「少し荘園を見て回りますか?」
「ぜひお願いします。それにしてもショウ様はすごいですな。あんな美人ばかり他種族を妻にしてしまうとは。うらやましい限りです。私など3人でも精一杯です。」
それでも3人いるのね。
「いえいえ、色々苦労はあります。」
「私もそんな苦労してみたいです。」
また二人で大笑いだ。
ロンドビーは仲間の船長を率いて赤道を渡ってモウル領に船を引き取りに行くことになった。




