モウル領奇襲2
ジェイパスとジェイローリアとサフィアス、ペルカを連れて港に出た。
既にカソーピアの船はその姿がはっきりみえるようになっている。
「すぐに来るようじゃ。」
「そうだな、ここにジェイパスの部下はいるのか?」
「いや、全員コンポロに行った。」
「二人はおおだこは持ってるんだな。」
「おう、持っておるぞ。」
「それなら、ジェイローリアのおおだことカニは敵の第一陣が接岸したら、一番後方の船に当ててくれ。おそらく、僧正がいるなら、第一陣にはいないだろうからな。」
「分かりました。」
「サフィアスは俺と一緒に、波動の強い船を探して欲しい。おそらくそこに僧正がいる。」
「私は何をしたらいいですか?ちなみに泳げませんが。」
ペルカが不安そうに涙目で言う。
「安心しろ、ペルカは最終兵器だからな。イルカを出してもらってその上で俺たちのそばにいるだけで良い。」
俺とサフィアスはジェイパスの上に乗り、ペルカはイルカに乗って海に出た。
「落ちたら死ぬから気を付けろ。」
「はいぃ!」
ペルカは必死にイルカにしがみつく。まあ俺たちも鎧を着てるから落ちたらアウトだけど。
日が昇り、明るくなり始めたタイミングでカソーピアの第一陣が接岸を試みる。沖からなので良く見えないが、陸からは光魔法が船を貫き、火魔法が船を炎上させている。船からも光魔法や雷魔法が放たれているようだ。しかし敵の魔法攻撃は徐々に減ってきた。うまくタンディが山の上から狙撃に成功しているようだ。リムとモウルにトランシーバーを付けさせている、防水のトランシーバーは高かったが。
「どうだ、光魔法が見えたが、僧正か?」
「いや、それほど威力はないぞ。5隻が大破しているが兵を降ろし始めた。」
「引き続きまずは魔法で攻撃を続けてくれ。」
「わかった。」
敵の魔法使いが殲滅されたので、ばらばらと上陸する敵兵はもろに味方の魔法攻撃にあい、射程が長い攻撃を受けてなすすべなく倒れていく。船は50隻はいるだろうか。第2陣は小舟を次々と降ろして上陸を目指している。
「うしろの船ほど波動が強い。」
サフィアスは波が高く口に海水が入っているが、なんとか喋っている。もうそろそろ酔いそうや。ジェイローリアの蟹が後方の船に登っていく。それぞれ1体ずつだ。船上は騒ぎになるが、結構短い時間で爆砕する。やはり後ろは強いんだな。
「これじゃ、どこにいるかわからないな。ジェイローリアおおだこを出してくれるか。」
ジェイローリアのクラーケンが最後列の真ん中の船にとりつく。大きな触手で船に巻き付いた。船上は大混乱だがこれはなかなか倒せない。その時だった、左の船から光の柱が出て、クラーケンを爆砕させた。あそこだ!
「ジェイパス、俺を蟹に乗せてあの船の上に運んでくれ。」
「そんなことしたら袋叩きで即死ぬぞ。」
「いや死ぬ前に飛び降りるから拾ってくれ。」
「みすみすそのようなことはさせられん。家族に怒られる。」
「いや、家族のためだ、頼む。」
俺は背中からジェイパスを抱きしめた。
「そこまで言うなら仕方がない、必ず生きて帰るのじゃぞ。」
「ありがとう、そうするよ。」
ジェイパスはサフィアスをジェイローリアに預けて、蟹を4体出した。クラゲも出した。
俺の顔だけ水面に出るような感じでジェイパスは船に近づいた。
カニ4体が俺とクラゲを運んで船にとりついた。船員は直ぐに気づいて攻撃を始める。
船上に着くとクラゲも雷攻撃をするので致命傷に至らないが、船上の騎士も麻痺が増える。魔法使いや戦士が襲いかかり魔物たちは次々と爆砕していく。俺は甲板の中央の橙の僧正を見つけた。目が合う。不敵な笑いを浮かべて杖から太い光が俺を貫く。95%の魔法防御でも一撃で400ダメだが、使い捨ての2000魔法防御が効くので、何発かは耐えられる。一撃で死なないのに驚きながら2発目、3発目が俺に命中する。その間に俺は僧正の防具を鑑定した。目的完了だ。俺は海に飛び込んだ。下ではジェイパスが待ち受けており、俺を抱きかかえて海の深いところに高速で潜っていく。そっちで死にそうや。水中まで光の魔法攻撃は追いかけてきたが、何とか逃げ切ったようだ。ジェイパスは俺に口移しで空気を入れてくれる。嬉しい。3分ほどして船から500メートルまで離れたところで浮かび上がった。
「あ、ありがとう。助かった。」
「もっと褒めてくれてよいぞ。」
「リム、攻撃はモウルとタンディに交代して海まで飛んできてくれ。それとジェイローリアに迎えに送るので、ファロリアスを海上に送ってくれ。」
「わかった、少し待ってくれ。」
リムが海を飛んで俺たちがいるところまで来た。ファロリアスも合流した。
「僧正の防具は、鎧が+6、兜が+2、盾が+2で魔法防御95%だ。それに俺たちのとは違う常時1000の魔法防御と物理防御のネックレスと人魚の涙をつけている。」
「それではファロリアスのバフがあっても800だから、攻撃が通らないのじゃ。」
「そこでペルカの出番だ。」
「えっ、私ですか!」
「僧正の盾を弾き飛ばしたらどうなる。」
「あっ、魔法防御が80%になるので、えーと。」
ペルカ、算数もっと勉強しろ。
「魔法ダメが3200じゃな。」
「そうだ、1000の防御を引いてもHPが2200の人間はいないだろ。」
「おお、そうじゃな。」
「僧正が盾を拾う前に2発目が当てれれば、やれる。」
「ジェイパス、おおだこ使って、ペルカをあの船に投げ込んでくれ。」
「そ、そんなことして、良いのか?」
「ペルカは魔法防御と物理防御がある。5分間は不死身だ。大丈夫だ。ペルカは盾をハイスラッシュで叩き落してくれ、盾を取り上げることができればもっと良しだ。」
「わ、分かりました、頑張ります。」
ペルカの目が血走る。
「おおだこが出ると、みんなそこに目が行くから、リムはその陰で待機して欲しい。みんなのタイミングが大事になる。行けるか?」
一同は頷いた。




