モウル領奇襲1
「ショウ様、お嬢様、どうされました。」
タンディは銃を置いてうとうとしていた。
「ここは確かに港を見渡せるのう。」
リムは夜目が利くので、港のほうを見回した。
「うん?」
「リム、どうした。」
「水平線に船がいるようじゃ。」
「本当か!」
俺やエルフ達は目をみはった。
「かなり遠いが間違いない。」
「サフィアスは今どこか知ってる?」
「たしか、荘園にいるはずじゃ。」
俺は下北沢でゲートカウントを回復して、荘園に戻った。
「サフィアス、どこだ。」
俺が大声で探していると、ミドリがサフィアスを探してきてくれた。
「主様、なにかあった?」
俺はサフィアスを自分の小屋に連れて行き、服を脱ぎ始めた。
「主様、まだ昼間。」
違うわ!サフィアスを袋に投げ込み、モウル領に戻った。色々残念そうなサフィアスを引っ張って山に向かった。
「リム、やはり船か。」
「数隻はいるようじゃ。」
「サフィアス、何か感じるか?」
「かなり遠いけど、たくさんの黒い波動を感じる。人間みたい。」
俺は血の気が引いた。カソーピアの陽動に騙されたようだ。落ち着かないと。
「明日の朝には攻めてくるぞ、夜明けまでどれくらいだ?」
「5時間ほどです。」
モウルの声が震える。
「心配するな。すぐ対策をとる。モウルは館に戻って全員を招集しろ。サフィアスはモウルと一緒に行け。リムは俺と一緒に一度荘園に戻るぞ。」
「わかった。僧正が来たら殲滅してやるのじゃ。」
リムの目に火が灯った。
俺とリムはモウルに背負われて、館まで加速で戻った。モウルは非常招集の鐘を鳴らした。
荘園に戻ると、フォイヘスを呼んだ。
「すぐに、鍛冶場に向かってくれ。大至急だ。それと一緒に迷宮に潜るから装備を整えろ。」
「はい、直ぐ準備します。」
フォイヘスも緊張して走り去った。その後鍛冶場でペルカを拾って、俺とリムとペルカはフォイヘスに乗って迷宮を疾走した。1時間進み、20階層でサイクスが率いる100人に追いついた。
「ショウさん、どうされました。」
サイクスが俺の様子に気づいて、聞いてくる。
「お義母さん、どうもカソーピアの陽動にひっかかった可能性があります。向こうの目的はモウル領のようです。すでに沖にカソーピアの船が集結しつつあります。」
迷宮の中だが一同はざわついた。
「なので、このメンバーはゲートからモウルに向かってください。ひとりだけコンポロに飛んでスティリアスに状況を伝えて下さい。」
「はい、分かりました。」
「おそらく、5時間後には攻撃が始まるので、最初の迎撃には間に合わないかも知れないので、長距離戦ができるメンバーは俺のゲートで向こうに連れて行きます。」
「それが良いと思います。」
「ロル、テク、メイガロマトン、メレンタス、一緒に来てくれ。」
フォイヘスが俺たちを乗せて、1時間で鍛冶場まで戻った。
鍛冶場の小屋からモウル領に2回で全員を運んだ。メイガロマトンは銃や弾薬が重いので妖精3人と一緒だ。
「ペルカ、最近太ってないか?」
「えぇ!そんなことありません。」
ペルカは目を合わせずに答えた。怪しいな。
「わかった、それならメレンタスを抱いてこの袋に入れ。」
なんとか二人で100キロに収まったようだ。メレンタスは軽いからな。
順次モウルの部屋に入った。
「主様、」
モウルが気丈にふるまっている。
「大丈夫だ、敵が港に来たら。船に魔法攻撃するんだ。魔法職は散らばって、動きまわれ。一か所にとどまらないように。そのうち僧正が出てきたらその射程外で戦うようにしろ。」
「それでは、普通の戦闘員に被害がおおきくなるぞ。」
「僧正の防御を知らずに戦うと魔法職が危ない。俺が僧正の防御を確認するまで、まってくれ。引いてもいいぞ。魔法職は人魚の涙を3本ずつ持ってくれ。それと魔法防御2000のネックレスも着けるんだ。5本はあるだろ。」
リムやロル、メレンタス、サウサが頷く。
「モウルとメイガロマトンはXM5を使え。弾倉は20で10パックずつある。魔法職が引いた後で、後方から連射しろ。メイガロマトンはモウルに使い方を教えてくれ。お前たちは加速があるから動きまわって撃てば僧正も狙えないだろう。」
「タンディには僧正以外の魔法職を上から狙撃させるんだ。」
モウルが頷いた。
「最初は山の民や森の民や谷の谷は前に出さないようにしよう。まずは僧正を始末しないと、リムの言う通り、被害が大きくなる。僧正を引きずり出すのが第一だ。」
全員が頷く。
「おれは海の民を迎えに行く。後2時間ほどだが、よろしく頼む。」
外では暗い中、続々と鎧に身を固めた領民が集まっていた。俺は赤道に飛んだ。
「ショウ、どうしたのじゃ。」
ジェイパスが洞窟の中で俺を認め、驚いた。
「モウルが奇襲攻撃を受ける。あと2時間以内だ。来てくれ。」
「わかった、すぐ行こう。」
そのあと、ジェイローリアも鍛冶場で拾ってモウル領に連れて行った。




