60階層3
「さて、55階層までは来たけどどうする?」
俺は周りを見回した。
「MP回復薬、食料は十分在庫ありです。」
エリーンが既にケンタウロスたちの所持量を集約している。
「矢もショウ様のおかげで、後半節約できたので、まだ200ほどあります。」
「海の民は大丈夫?」
「ここまで深く潜るのは初めてじゃが、みんな強いから楽じゃのう。途中で捕獲も成功してるので、われら3人で、中層魔物はおおだこ2、クワガタ1、レインボースライム3、木2を持っている。カニは残念ながらみんな死んでしまったが。」
「そうか、それならもう少し行けるか?」
「問題ないのじゃ。」
「スティリアスのとこも大丈夫か?」
「はい、ショウ様に従います。」
あんまり頑張り過ぎないでね。
「そ、そうか、無理するなよ。」
「それなら、60階層をめざすのじゃな。」
リムが身を乗り出した。
「そうだな、そうしよう。」
蜂や蚊のようにこっちに向かってくる魔物が出たので、こちらの動きも結構早くなっている。戦闘の間隔が短くなって疲れるが、結果的に1階層を走破する時間は半分程度になっている。51-55階層は一日で走り抜けた。長時間迷宮に居るのが厳しい、俺やケンタウロス、獣人、オーク、エルフもそれほど疲労が蓄積していないようだ。
それから3時間かかって56階層への降り口まで到達した。蜂が多く出たので、俺の弾丸が相当減ったが、まだ350発はある。そこで3時間ほど休憩して56階層へ進んだ。
「明るい青が来ます。」
明るい青ってなに?レインボースライムを出したが、30メートル先で戦闘が始まった。レインボースライムが青なので、物理攻撃だな。
「石の人形と獣5体です。」
メレンタスが報告する。俺にも見えるようになったがゴーレムとチーターみたいなやつだ。
ゴーレムにはレインボースライムの防御無視攻撃が当たるがダメは入らない。えっ、ゴーレムのHP50なの。
「リム、石の人形に魔法撃ってみて。」
リムの魔法がヒットするが、ダメは入らない。どうすればいいんだ?
「ロル、獣に魔法撃ってみて。」
「ダメです、動きが早くて当たりません。」
レインボースライムの攻撃もチーターには当たらない。なのでこのままだと、いつまでも決着がつかない。
「ジェイパス、レインボースライム一度引っ込めて。加速持ちは獣を攻撃して。」
モウル達は前に出て、チーターを攻撃する。加速同士だとさすがに攻撃はヒットするので、チーターは2000のHPを直ぐに失い爆砕した。あとはゴーレムだ。
「HPは50しかないんだが、どうしたら良いんだ?」
「お腹に赤い石があります。」
メレンタスが指摘する。
「物理防御勢は赤い石狙って攻撃だ。」
ペルカたちが今度は前に出て攻撃する。ゴーレムの腕力は10000だからダメ受けると90%減でも危ない。ファロメイリンが活躍して、加速と物理防御を併用して赤い石に当てていくとHPが1ずつ減っていく。ロストリンも物理防御2000があるので、鎧の80%減と合わせてダメを受けない。ふたりが中心でゴーレムを倒した。
「凄いぞ、ファロメイリン、ロストリン。ゴーレム担当だな。」
「はい、頑張ります。」
ファロメイリンとロストリンは目を輝かせた。
「複数種類の魔物が来るので厄介ですね。」
エリーンがつぶやく。
「明るい青は、青と緑の混合みたいだ。」
「緑来ます。」
少ししてサフィアスがつぶやいた。今度は一種なのか?
また、前に出しているレインボースライムが動かなくなる。
「石化してます。」
メレンタスが叫ぶ。えっ、どういうこと。石化したレインボースライムを無視して魔物が近づいてくる。ゴーレムとメディーサだ。頭が蛇だ。これはやばい。
「コントピロ、サフィアスの後ろに座って隠れて!そして目を閉じて。魔法で攻撃を!」
サフィアスはあわてて、フォイヘスの背中から降りてコントピロの前に仁王立ちになった。
前衛のドワーフたちは次々と石化されていく。リムが後方から闇魔法4を連発してメディーサを倒した。一方で石化されたドワーフにゴーレムの攻撃がヒットすると人魚の涙が壊れた。これはまずい!
「コントピロ、ファロメイリンの回復だ!急げ!」
ファロメイリンが石化から復帰して何とかゴーレムを撃破した。
人魚の涙が壊れたアカシュには直ぐに予備が渡された。
「危なかったな。メディーサは厄介だ。青がゴーレムで、緑がチータ、黄がメディーサのようだ。黄が入ると早めに対応がいる。」
「通常の迷宮では魔物が複数種類でパテを組むなんてありません。やはり上位迷宮は厳しいですね。それにあの蛇の頭は見たから直ぐに石化するわけではなさそうです。前から順に石化していきました。」
サイクスが冷静に分析する。
「メディーサだけど、リムの闇魔法4だと、一撃で6000ほどダメが入ってた。それでも3発は当てないと倒せない。その間1分ほどだけど、結構動くの早いから前衛と中衛の距離を取った方が良さそうだ。」
「闇魔法4の射程は長いから、蛇頭が出たらすぐ攻撃するのじゃ。」
リムが気合をいれている。
「それと、メディーサがでたらほぼ前衛は石化されるから、すぐに物理防御をかけといてくれ。一緒に来るゴーレムやチータに攻撃され放題になるとまずいからな。」
前衛も物理防御持ちとそれ以外の二段編成にして、中衛との間を20メートルほど開けることにした。
「テクの闇のデバフで石化は止めれないのかな?」
「石化はスキルではなく特技みたいなので、石化を止めるのは難しそうだ。でもステータスを下げることができるので、石化の有効距離は減らせるかもしれない。」
「それなら、メディーサが複数出たら、デバフをかけて。」
「わかった。」
「ファロリアスはメディーサが複数でたら、中衛で知力にバフかけて。」
「はい、わかりました。」
「コントピロは後衛に下がって。状態異常回復がないと一歩も進めないからな。メディーサは前からでしか戦えない。」
「状態異常回復薬も石化は飲ませられないので、使えないの。調剤3があると頭からかけると回復するのが作れる。」
お、モウルしっかり勉強してるな。
「サフィアスの感知だと、複数の魔物が一緒に来ると、光の色が混ざって表示されるようだ。だから緑は緑だけの場合と、青と黄の混合の場合がある。たとえば明るい緑だと、青、黄、黄の可能性もあって、これはやばい。」
「わかった、注意して見る。」
サフィアスも厳しい表情だ。仲間が死にかけてるんだから当然だが。
態勢を整えて次を待っていると、さっそく来た。
「明るい緑!」
全員が緊張する、物理防御勢は物理防御を発動して、ファロリアスはバフを発動する。やはり、ゴーレム1,メディーサ2の魔物だ。
リムの最初の一撃でメディーサのHP15000を7000まで削った。知力バフの効果だ。闇魔法4の二発目が発動する前に物理防御勢は石化され、それにゴーレムが襲いかかる。しかし物理防御が効いているので、5分間はダメは受けない。ゴーレムは何度も殴りかかっている、見てるだけで痛そうだ。闇魔法4の二発目で最初のメディーサが爆砕した。その時には2体目のメディーサが前衛後列まで石化したが、ゴーレムは前衛一列目で止まっている。リムが更に2発の闇魔法4を2体目のメディーサに当てて爆砕した。全員から歓声が上がる。コントピロが前衛の石化をMP薬を飲みながら急いで解除していく。これは下痢するパターンや。
「3体が最大だとすると、57階層まではこれで行けそうですね。」
エリーンがすこし表情を緩めた。
「そうだね、でもMP薬の消費が多いけど、大丈夫?」
「まだ500ほどしか使ってませんから、大丈夫です。家族4人と山の民で2トン以上運べますから。」
2トンか、凄いな、実感ないけど。
それから俺たちは迷宮を進み始めた。やはり魔物は俺たちを追跡するように動くので、一回の戦いを短時間で終わらせて、素早く移動することを心掛けた。それにメディーサを含む魔物パテを優先して前衛で受けることに集中した。それ以外なら後ろで加速持ちで対応が可能だ。
3時間で56階層を抜けたが、メディーサが来ると休憩できないので、そのまま57階層を3時間で走り抜けた。58階層に降りる前に食事を採ったが、その間にもメディーサが襲来してきた。
「さすがに休憩なしはつらいな。」
「わらわは大丈夫だ。任せよ。」
「おう、頼むぞ。」
俺はリムを抱きしめた。しかしリムの体がすこし熱くなってる、大丈夫だろうか。




