カソーピア襲来3
フリクリス領の迷宮ゲートをでると、カソーピアの見張りがいた。先頭を進んだ加速勢は素早く敵の見張り10人ほどを切り刻む。
「まだ、いるな。全員臨戦態勢で行こう。加速組が先行してくれ、僧正がいたら一度引いてくれ。犠牲は出せないからな。」
フォイヘス、モウル、タンディ、フォロメイリン、フェンティオ、スティリアスが先行する。フェンティオには後ろでお願いしたが、前に出ると言って聞かなかった。六人には人魚の涙をつけさせた。
「私は即死回避がありますから、大丈夫です。」
フォイヘスがいうが却下した。
「2回死ぬかも知れないぞ。」
10階層で降りてくるカソーピア兵と遭遇した。加速組は素早く敵を殲滅した。ドワーフも前に出て、次々と敵を排除していく。中核部隊は物理も魔法も+8以上を持っている。楽勝だ。10分ほどそうして進むと、黒い鎧をまとう者と出会った。
「お前たちのような神の加護がなき者が、我々に歯向かうのは笑止じゃ。」
「お前がコンポロのわが同胞を苦しめた赤の僧正か?」
「ほう、お前がコンポロの反逆の首謀者か、良いところで出会った、神の裁きを与える。」
スティリアスがその前に立った。俺も赤の僧正出現を聞き前に出る。
レベル50 物理防御 3000 魔法防御 3000
しかし剣は普通だし、ステータスも普通だ。これは行ける!
「ロストリン、姉と二人で向かえ!」
ロストリンは直ぐに姉の横立った、他の者は少し下がった。
「ロストリン、合図を待って。」
赤の僧正も加速を持っている。二人の剣は激しく打ち合った。赤の僧正もスティリアスも稀に相手に剣を届かせる。スティリアスのHPは徐々に削られる。赤の僧正はまったくダメを受けていない。エリーンが回復をかけようとしたとき、相手にヒットした剣が光った。
「今よ、ロストリン!」
スティリアスの声にロストリンが反応した。ロストリンの拳が赤の僧正の腹にヒットした。
「な、なぜだ、神の御加護が、」
赤の僧正は倒れた。味方は歓声をあげ、敵の兵士たちは我先に迷宮の上に逃れようとした。逃がすか!
俺はそんな中、赤の僧正の死体を見つめた。この男は普通だが、神器は恐ろしく強い。これは放置するわけにはいかない。
「高位の神器は使う者を選ぶと伝承されています。」
フェンティオが横に来た。
「またカソーピアに使われても困るので、回収しましょう。」
「それが良いと思います。」
迷宮の中は数千の敵兵の死体で埋め尽くされたが、これは魔物が処分してくれそうだ。
敵を排除して俺たちは地上に出た。そこはレンドル領と同じ状況だった。一面焼け野原になっている。
「ここの公爵邸はどこだ。」
「わらわは一度来たことがあるから案内しよう。」
フリクリスの公爵邸は町から距離がある。30分ほど焼け野原を歩いてやっと着いた。
「ここも同じ状況だな。」
「生存者を探しましょう。」
エリーンたちは歌は歌わなかったが、レンドル家の旗を掲げた。
「地下に大きな波動。」
サフィアスのつぶやきにみんなが反応した。
焼け跡を探すと、台所に床石が動くところを見つけた。それを持ち上げると小さな穴が開いている。人は通れない。しかし妖精なら通れる。
「ここかも知れんな。」
「わらわが行ってみる。」
「いや、危険だ。ダメだ。」
「ちょっといいですか?」
ペルカとスリニーが近づいた。そしてその大きな石板を取り除いた。下には妖精がいた。
「お、おおっ、ロルか!」
「あ、ああ、リムお姉さま!」
ふたりはしっかりと抱き合った。
「あ、あの、この方たちは?」
「ああ、わらわの家族と友人たちじゃ。ここを襲った奴らは殲滅したぞ。」
「お姉さまのご家族ですか?」
「わがあるじ、ショウじゃ。」
「え、ええっ!!!」
「くわしいことは、後でな。」
うん、そうなるわな。リム、興奮してるのはわかるが、ちょっと考えろよ。
「ロルもここで襲われたのか。」
「はい、朝食をとっていると、外で争う音がして、母上が隠れるように言いました。その後は、大きな音がして、上が熱くなりました。その後は静かになりました。私は怖くてずっと隠れていました。」
「もう大丈夫じゃ。この町の同胞たちもすこしずつ戻ってきているぞ。」
「父上と母上は?」
リムは泣きながらロルを抱きしめるしかできなかった。
フリクリスの町でも迷宮から出た兵は放火しながら一直線で公爵邸に向かったようだ。手際の良さは驚くべきだ。
「これは他の公爵領も。」
「そうじゃのう、しかしまずフリクリスとレンドルの同胞を荘園に退避させたい。」
リムの意向に従いフリクリスの迷宮からリショウムの迷宮にみんなで戻った。
助かったのは妖精ばかり50人ほど、従者たちはひとりもいない。
「あの、リムお姉さま、この迷宮は?」
「心配するでない、これはわらわの迷宮じゃ。」
「え、ええっ、お姉さまの迷宮!」
「詳しいことはまた後でな。」
荘園の村は何度も一度に大人数を受け入れている。今は空いている大きな小屋もいくつもある。とりあえず妖精たちはそこの入ってもらう。運搬車1台で50人乗るのは便利だ。鍛冶場から村に戻り、翌日ポートビアン公爵領とクリトアン公爵領の様子を見ようと相談しているところにジェイパスがクラゲに乗って帰ってきた。
「あの、お姉さま、この魔物に乗っている方は?」
「ああ、海の民のジェイパスじゃ。上級種で家族じゃ。」
「え、ええっ、どういうことですか!」
「詳しいことはまたな。」
どんどん雑になってる。
「ショウの指示でレンドル領に部下を連れて向かったが既に無人じゃった。念の為、他の公爵領も見てきたが、クリトアン以外は廃墟になっておる。」
ジェイパスの報告にリムやロルの表情が曇る。
「クリトアンは戦った感じなのか?」
「いや、平静じゃったな。」
「そうなんだな。」
「明日はポートビアン領の生存者を回収しようか?」
「そうじゃな、それと少し気になることがある。」
「なんだ。」
「実はポートビアンの長男、テクもわらわと同じで出来が悪かったのじゃ。なので早くに荘園建設で家をでておる。確かその荘園は町から遠いので、もしかすれば、うまく逃げ延びておるかもしれん。迷宮では逃げ足が速かったからのう。」
リムに言われるくらいだから、よっぽどダメなんだな。
「他の家の事もよく知ってるんだな。」
「ロルもテクもいとこじゃからのう。フリクリスの領主の妻は父の妹じゃ。ポートビアンの領主は母の兄じゃ。」
近親で独占してるのね。おいしいところ。




