海の民
「小さき者よ、秩序に逆らい、我が領域を犯す者たちには死を賜ってくれる。」
一人の人魚が口上を言う。これはラッキーだ。出てきてくれればなんとかなるかも。
HP 500 MP 500 知力 500 体力 500 腕力 500
素早さ 300 幸運 50 海の民 レベル35 特技 使役2 神器
レベル35で2クラスの特技もってるのか、こいつがボスだな。
すかさず魅了3をかける。しかし、なんとエラーメッセージが!
{魅了3は上級種には無効です。}
そんなの説明になかったぞ!ソシャゲなら詫び石クラスや!もうクラーケンが目の前だ。焦ってMP薬を飲んで魅了2を試す。クラーケンの動きが止まった。
「みんな、攻撃はちょっと待て!」
俺は大声で指示した。ペルカ達は驚いて俺を見る。クラーケンが沈んでいった。
「どうなっているのですか?」
キャリアスが腰を抜かして、座り込んでいる。
「お前はほんとうに人間なのか?」
人魚のボスが聞いてくる。
「ああ、普通の人間だ。」
「ご主人様は空の民など、七つの民を妻に持つ英雄です!」
その説明はどうなんだ、ペルカ。
「ほう、人間のお前が空の民をな、面白い。殺す前に話を聞いてやろう。」
また、いつものパターンだ。
船のまわりを人魚に囲まれ、俺たちの船は導かれた。そして少しいくと小さな岩礁が目に入った。
「人間、そこの岩に降りよ。」
人魚のボスは尊大に指示を出す。
「ご主人様、危険です!」
ペルカとスティリアスが同時に叫ぶが、俺は腹を括ってる。
「大丈夫だ、俺を信じろ。」
俺は人魚のボスと岩礁の岩穴に入っていった。3時間後俺は無事岩穴から出てきた。
俺は大きな赤サンゴの輪を持っている。ペルカは泣きながら迎えてくれた。
「キャスリア船長、この輪を船の舳先にしっかり括りつけてください。」
「ショウ様、ご無事で何よりです。この輪は何でしょうか?」
「これをつけていれば、この船はシンリアスとジェローリア間の赤道を自由に通過できます。」
「ええっ、本当ですか!」
一同が一斉に叫んだ。シンリアス方面に向かうと先ほどの船団が待ち伏せしている危険があるので、船はジェローリアに向かった。島までは一日で到着した。小舟を出して俺たちは港に上陸した。夜だったがロンドビーの物資を小屋から荘園に移送する最中だったので、何人かのケンタウロスとドワーフがいた。
「ショウ様!」
ドロンが駆け寄ってくる。
「たしかペイニャに行かれたと聞いていますが。」
「そうなんだが、ちょっとな。それより野菜スープや干し肉はあるか?」
「はい、昨日ロンドビー船長一行を慰労したので、まだありますが。」
「すまんが、あるだけ作ってくれ。みんな死にかけて疲れてるのでな。」
ケンタウロスの一人が盆地南端までかけて俺の帰還を伝えたようだ。朝にはリムやエリーンが港に駆けつけた。
「ショウ、どうしてここにいるのじゃ!」
ペルカが顛末を説明したが、ところどころへんな説明をしたので、スティリアスが補足した。
「本当に、赤道を渡ったのか!」
ペルカだけだと信用されないが、スティリアスも同じことを言ったので一同は信用したようだ。
「クラーケンをやっつけたのか!」
「い、いや何だか、向こうからいなくなった。」
「人魚が居たのは、本当なのか!」
「確かに、いたような気がする。」
リムとエリーンは俺の目が泳いでいるのを既に感知している。これはやばい。なんとか話題変えないと。
「そ、そうだ。南半球の船長、キャリアスさんを紹介します。」
「キャリアスと申します。お見知りおき下さい。」
「これはキャリアス船長、お世話になっております。レンドル公爵第一皇女です。」
「お姫様にお目にかかれて光栄です。今回はショウ様にとんでもない経験をさせていただきました。」
「ショウは色々規格外なので、内密にお願いいたします。」
「こんなことを言いふらすと、私も頭がおかしくなったと思われますから言えません。」
そのあと、コントルホーンもみんなに紹介した。話題が変わったぞ。良かった。
ポンディアル号の船員も順番に上陸して食事を採って、久しぶりに陸で休んだ。みんなの顔に笑顔がある。
「これからどうしますか?」
「そうですね。もう一日こちらで休ませてもらい、その後南に戻ります。」
「コントルホーン殿はゲート経由でペイニャに行ってもらいましょうか?」
「また20日ほど、船になるので、船に慣れていないコントルホーン殿にはそのほうが良いと思います。お願いできますか。」
「はい、そうしましょう。」
「赤道を越えるのはシンリアスの北でお願いします。他だとまた襲われることになりますので。」
「はい、その点は肝に命じます。またおおだこに襲われるのは勘弁願いたい。」
その日は水や食料を積み込み、翌日南に向かってポンディアル号は出航した。コントホールを加えて、俺たちは荘園に向かった。途中で盆地の入り口を通過した。そこは見違えるようになっている。
「おお、シュレンニトル、素晴らしい出来だな。」
「いえ、みんなが頑張ってくれたからです。これから堀に水を入れますが、見ていかれますか?」
「そうだな、見て行こう。」
川からの仕切りが取り壊され、堀が水で満たされていく。一同はその様子に見とれる。
「これは凄い仕掛けですね。」
コントルホーンが驚きの声をあげる。
「荘園は山に囲まれており、ここが唯一の出入り口なのです。ここを押さえて敵の侵入を防ぐのです。」
「敵?ですか。」
「敵が来ないに越したことはありませんが、何事も準備が大事です。」
「なるほど、勉強になります。」
一同は水堀や土塀や倉庫、宿舎をひとしきり見た後、更に北に向かった。夕方には山小屋に到着した。
コントルホーン歓迎の食事を広場の大テーブルで行い主だった者が顔を出した。
「色々な種族の方がいるのですね。」
コントルホーンはすべてが初めての経験で戸惑っている。
「いろんな種族が協力することでこの荘園は成り立っています。感謝しています。」
「ショウ様の才覚はほんとに素晴らしいですね。帰ったら父にしっかり伝えます。」
コントルホーンは翌日、護衛されてペイニャに渡った。




