続々人が来た
みんなが猛烈に働き始めた。
鍛冶村ではビジェイが10人の弟子を連れてコリコラスに帰った。むこうでは10人の弟子が各地に散って人の募集をした。すぐに定員は埋まった。それどころか、色々トラブって最終的に300人になった。一週間後には300人のドワーフを引き連れてビジェイが戻ってきた。凄い数の人がゲートから出てくるので、リショウム30階のノームたちはドワーフの侵攻かと、一時は騒然となったほどだ。今回移住のドワーフは分散して働く予定なので、鍛冶村にリムやモウルが出向いて歓迎会をした。
「お、おい、200人ではなかったのか?」
リムが心配そうに言う。
「すいません。弟子たちが募集を告げたら、こっちで働きたいという若者が殺到しまして、
これでも一応選んだんですが、、、」
「まあ、多い分には問題ないよ。することはたくさんあるからな。」
更にスピードアップできるので歓迎だ。
歓迎会が終わると、ドワーフたちは組み分けして、すぐに任地にむかった。50人はペイニャで木材伐採、50人はジェローリアで木材伐採、50人は鉱物採取、50人は鍛冶場整備、100人は盆地南端工事だ。俺はその100人を連れて盆地南端に向かった。
盆地南端では既に工事が始まっている。オーク30人が小屋を建てる作業に取り組んでいる。シュレンニトルが陣頭指揮をしているが、俺たちを見つけると出迎えた。
「ショウ様、ようこそおいで下さいました。あの、この人数は?」
シュレンニトルには30人くらいと言ってたので驚いてる。
「ああ、ちょっと嬉しい誤算だ。100人の山の民が参加する。それでだ、設計を変更して欲しい。」
ドワーフは力が強いので、土木作業や運搬ではオーク3人分の働きをしてくれる。オーク30人を建築に専念できるので小屋作りも進みそうだ。こっちでも130人の歓迎会が始まった。その横で俺はシュレンニトルと相談する。
「幅5メートル、深さ3メートルの堀を盆地の出口全体に掘るのを最優先で進めてくれ。出た土砂は内側に塀のように積み上げて欲しい。高さは2メートルほしいな。街道に続く道は閉鎖せずに幅10メートルで開けて置いてくれ。」
「幅を3メートルから5メートルに拡張ですね。分かりました。これだけの山の民がいれば一か月でできます。」
「それと谷の両端にも土塁を高めに作ってくれ。堀の端から侵入されないようにな。」
「端はしっかり作っておきます。」
「そうだな。それと食料倉庫と宿舎は300人確保してほしい。」
「それも倍ですね。そうします。」
「シュレンニトル、ここが荘園の防衛ラインだ。よろしく頼む。」
「お任せ下さい。ショウ様!」
頼もしいぞ。その後フォイヘスに乗せてもらって、盆地南部の地形をじっくりと見た。丸1日かけたが、フォイヘスは加速してくれるので、快適だ。
2日後、山小屋に戻ると、サイクスが帰って来ていた。
「ショウさん、連れてきましたよ。」
サイクスの後ろにはドロンがいる。その後ろには何人いるんや!
「ショウ様、これからお世話になります。光栄です。」
「お、おう、ドロンさん、よろしく頼む。それで、後ろにいるのは?」
「はい、私の家族です。妻4人と子供が15人です。」
これだけいるとしっかり稼がんとな。
「予定より多いですが、大丈夫ですか?」
サイクスが心配する。
「いや、大歓迎ですよ。南端の建設も大規模なので物資の輸送はいくらでも必要です。」
迷宮に入れる7人を年二万コル、それ以外を一万コルで雇った。ドロンは大喜びだ。
「ポポゼウルさんは何か言ってましたか?」
「いえ、快く許してくれました。」
その笑顔が怖いな。それ以上訊くのはやめとこう。ドロン一族の半分はペイニャに行かせることにした。ドロンたちの歓迎会に顔を出した後、ペイニャに飛んだ。
小屋を出るとまだ早朝だが多くの人が既に働いている。シウロデールが気づいて近寄ってきた。
「ショウ様、おはようございます。」
「おう、人が増えて大変だろう。」
「山の民は初めて見ましたが、凄く力が強いので驚きました。一撃で大きな木も切り倒してくれますから。おかげで同胞は建築に集中しています。それと小舟も完成しました。テスト航海も終わっています。御覧になりますか?」
「それは素晴らしい。見せてくれ。」
海辺の入り江に6隻の小舟が係留されている。小舟と言っても長さ10メートルはあり、櫂が6本ついている。
「山の民が漕いでくれると凄く早いのです。」
山の民だが、海でも活躍か。6人のドワーフが漕いでくれると船は海上をスムーズに進んでいく。
「この辺は波も穏やかなので問題ないと思います。これからどれくらい積めるかテストします。」
「そうだな、これだと相当積めるな。よろしくな。」
ペイニャの小舟の準備ができたので海岸に着いた後、そのまま、小屋からシェイトンに飛んだ。シェイトンは夕方だった。ロンドビーの部屋を訪ねるとちょうど帰り支度をしているとこだった。
「これはショウ様、もうそろそろお越しだと思っていました。ちょっとお待ちください。メモを置いておきますから。」
ロンドビーも夜は忙しそうだからな。
「それでは、酒場に行きましょうか。」
いつもの酒場でいつものようにスチャイがいる。
「スチャイ殿、こんばんは。個室に移ってもよろしいですか?」
スチャイは直ぐに手配してくれた。
「ショウ様、今日は雰囲気が違いますな。」
「これは参りました。スチャイ殿にはお見通しですね。実は少し気合を入れております。」
ロンドビーとスチャイは顔を見合わせる。
「ショウ様が気合を入れるとは怖いですな。」
「山の民を300人雇いました。」
「300人ですか!山の民ですよね。それは凄い戦力ですが、よく集まりましたね。」
「色々情報を集めると、危機が近いような気がします。それでお二人にはジュローリアへの物資搬入を進めていただきたい。」
「はい、それはお任せください。物資も更に必要ですな。同僚の船も動員して進めます。」
ロンドビーは力強く言う。
「ありがとうございます。支払いは金塊でよければいつでも大丈夫です。」
「その点はショウ様に不安は持っていませんから進めます。」
「それとペイニャの方も準備ができましたので、キャスリア船長にご連絡いただけますか?」
「わかりました、向こうも準備ができているので10日後到着で良いですか?」
「それでお願いします。」
鍛冶3がいることは言えないので、なんとかドワーフの件も誤魔化した。




