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先行投資

翌日、箱根の高級旅館の露天風呂でまったりしていると、宮脇先輩から連絡があった。候補者がいるけど、会いにいけるかと。サンフランシスコらしい。

二日後、俺と宮脇先輩はサンフランシスコに飛んだ。飛行機の中で相手の事を聞いた。宮脇先輩のコンサルでの最初の上司で45歳の女性だ。今は国に戻ったがもう引退しようとしているらしい。奴らは結構稼ぐからな。そんなに早く引退できるなんて、うらやましい。ドイツ系で名前はリサ・ゾンタークという。男には興味がなくて独身だ。それ以上はきかないでおこう。

到着して早速ホテルにチェックインして、そのあとホテルロビーのロビーで俺たちはリサとあった。彼女はがっしりした上品な黒髪だ。自己紹介をしたあと、宮脇先輩が流暢な英語でビジネスのことを話している。俺には半分もわからないが。持参のパッド端末から何かを見せて二人の会話が進む。手持ちぶたさや。1時間ほど話が続いた。お互いコンサルでビジネススキームのプロなので話がヒートアップする。知らんけど。ようやくリサがこっちを向き笑顔で言った。

「OK, I will bet on you, Show.」

笑顔やから大丈夫なんだろうな。今は宮脇先輩がいるから、魅了3でのチェックはあとにしよう。俺の英語で通じるかは不安だが。日本から正式に送金すると色々めんどうなので、会社設立はリサの手持ち資金でお願いした。別途俺が10キロの金塊を持っていくことで納得してくれた。俺は治安のよいところに小さくて良いのでセキュリティの高い部屋を借りてくれるように依頼して部屋に戻った。宮脇先輩とリサはその後も残って詳細を詰めている、さすがビジネスのプロ同士。

その夜はピアなんちゃらで宮脇先輩を慰労した。イセエビのビスクやカニのケーキは絶品や。

「いろいろ、丸投げですいませんね。」

「久しぶりにコンサル時代を思い出したわ。リサさんもコンサルはハードなのですこしゆっくりしたいそうだから、ちょうどよかった、て言ってた。」

「彼女はそれなりの地位だったんでしょ。」

「パートナーだからすくなくとも年収1億円はあったんじゃないかな。もう貯金も十分なんでしょう。」

「こっちの人はしっかり稼いで、早くリタイアするんですね。うらやましいです。」

「翔君も十分その仲間じゃない。」

「それだと、いいんですが。」

これから異世界では戦争になるかもしれんから、そうでもないけどな。

翌日俺は日本に戻った。先輩は2,3日観光して帰るらしい。


さあ、頭をきりかえて異世界に戻ろう。荘園の小屋に戻った後、シュレンパウスを呼んだ。

「忙しいところすまない。明日ペイニャで打ち合わせをするから、このメンバーに連絡してくれ。」

「はい、ショウ様。早速手配します。」

翌日、リム、エリーン、モウル、ビジェイ、ペルカ、サイクス、シュレンジュ、シュレンパウス、ミドリ、ペンディウル、シウロデール、サウサがモウルの屋敷の大広間に集まった。

「みんな、忙しいところ集まってくれてすまない。これからの方針を決めたいので、集まってもらった。俺の意見をいうので、自由に議論してほしい。」

いつになく俺がちゃんと話しているので、みんな注目している。悪くないな。

「まず、迷宮攻略だが、51階層以降では即死攻撃の魔物が出る可能性があるので、対策ができるまでは保留とする。一方でカソーピアの動きが怪しいのでジェローリアとペイニャの国力増強は加速する。具体的には以下のとおりだ。」


・ コリコラスの弟子入り希望者をリム領で雇用する。  200人規模を想定

・ シンリアスの畑の民をモウル領に移住させる。    200人規模を想定

・ ペイニャの谷の民をモウル領で雇用する。      200人を想定

・ シェイトンの畑の民を更にリム領に移住させる。   200人を想定

・ トロンビアと交渉して草原の民を移籍する。     10人を想定

・ リム領の防衛体制を固める

・ リム領、モウル領とも、増員に必要な量以上に穀物を購入し備蓄する。


少しの間、誰も口を開く者はいなかった。あっけにとられている。

「800人ですか、凄い数字ですね。資金も必要ですね。」

シュレンジュが口火を切った。

「これを使ってくれ、金で時間を買うんだ。」

大広間の大きなテーブルに10キロの金塊を3本並べた。全員の視線があつまる。

「そ、それだけあれば、数千人でもだいじょうぶですね。」

「それほどショウの金を使う必要があるのか、もうすこしゆっくりすれば金もかかるまい。」

リムが心配している。

「俺は危険が差し迫っていると思うんだ。金は心配しなくてもなんとかなる。家族の命には代えれないぞ。」

「そ、それほど、危険な状況なのか?」

「そうではないかもしれないが、金塊は先行投資だ。リムとモウルのところで国力があがれば、取り戻せるさ。」

「リム領もモウル領も住むところが大量に要りますね。」

シウロデールが尋ねる。

「それなんだが、リム領に新たに来た畑の民120人とモウル領にきた谷の民50人は当面小屋つくりと設備つくり専念させたい。その分農園や放牧は遅れるが、それは輸入して賄おうと思う。」

「山の民200人ですが、どういう条件でかんがえておいでですか?」

ビジェイが聞く。

「そうだな、年収1万コルで住むとこ食事つき、迷宮警備を含めて仕事にして、年に数十人は鍛冶の仕事も経験できる、という感じだな。」

「それなら、人は直ぐに集まりそうです。」

「それとビジェイに頼みたいことがある。当面+5、+5は中止して、物理だけ+5の防具を大量に作って欲しいんだが、できるか。」

「物理だけの防具なら、作業できる人数が増えるので月200はできます。兜や盾も必要ですね。」

「そうか、それならすまんが、できるかぎり早く作ってくれ。銀が足りない分は、コリコラスにリクルートに行くときに買ってきてくれ。」

「はい、そういたします。」

「鍛冶場は拡張しますね。」

ペルカが言う。お前には頼めんけどな。

「お、おう、ビジェイしっかり見てやってくれ。」

「谷の民の雇用はどんな条件でしょうか?」

ペンディウルが手を挙げた。

「畑の民は小屋と食事付きで豊作の時は家族単位で報酬がでるだったよな。最初の三年は収穫に関係なく一人、二千コルだったらどうだろう。」

「三年保証で、一人二千コルですか?それなら殺到しそうです。」

「もちろん、先に来ているフォロス家の谷の民も同じにしよう。」

「ありがとうございます。」

「シンリアスについてはまだめどが立っていないので俺が交渉に行ってくるよ。」

「ひとりではいかんぞ。ショウは弱いんだから、心配じゃ。」

「あ、ああ、そうだな。ありがとう、リム。」

また心が折れる。

「ショウさん、ドロン一家がなんかこっちに来たがっていましたが、父に話しましょうか?」

「お義母さん、それはありがたいです。ぜひお願いします。」

ドロンはやはり良い奴だったんだな。サイクス、また父親の首を絞めないで話して来てね。

「あまり悪い状況ばかり考えたくないが、万一、どちらかに問題が起こっても、他方に避難できるようにするのが目標だ。みんなで協力してやっていこう。」

全員が拍手してくれた。間違ってないか心配だが、やるしかない。その後、実務的な詰めがはじまったので、俺とリムとモウルは隣の応接室に移った。

「ここの屋敷はなかなか良いな。」

応接を眺めてリムがちょっとうらやましそうに言う。

「リムもそろそろ大きな屋敷建てろよ。」

「いや、わらわは今のままで良い。それともショウも一緒に住んでくれるのか?」

一緒に住むと拘束が厳しそうなのでこれは回避だな。

「いや、おれはリムの従者だから、それはダメだろ。」

「都合の良いときだけ、従者と言いよって、けしからん。いつもわらわをおもちゃにしているくせに。」

お、おい、その発言は他に聞かれたらまずいぞ。

「お姫様もそうなんだ~、実は私もね、」

モウルの発言でまた応接室が修羅場と化す。助けて~。


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