即死攻撃
翌日はトロンビアに飛んだ。まるで昔の日本の商社マンみたいに世界中を飛び回ってるぞ。
まだ、ポポゼウルの執務室クローゼットの中がマーカーなので今回はちゃんと部屋貰おう。
早朝に飛んだので当然誰もいない。クローゼットから出て、ソファで待ってると1時間ほどしてポポゼウルが入ってきた。
「ポポゼウル殿、おはようございます。急な訪問お許し下さい。」
「お、これはショウ様、いつお越しになりました。」
「実は来たことのある場所には自由に飛ぶことができます。失礼を顧みず、すいません。」
「はっはっ、やはりショウ様は特別ですな。もう、何があっても驚きませんぞ。」
ポポゼウルは従者を呼んで茶を持ってくるように指示した。
「娘がそちらにお邪魔しており、ご迷惑ではありませんか?」
「いえ、お義母さんには大変助けていただいております。」
「お義母さん、ですか。そのように呼ばれるのはわが一族の誉ですな。」
「でも、いつまでもお義母さんに甘えていて良いのでしょうか?ご主人のこともありますし。」
「そちらは心配しないでいただきたい。知ってのとおりあいつはじゃじゃ馬ですから、義理の息子もせいせいしてるかもしれませんぞ。」
まあ、おやじの首しめるんだからな、そうかも知れない。
「今日は緊急ではないのですが、いくつかご相談したく、参上いたしました。カソーピアの件はお聞きですか。」
「カソーピアですか、また何かやらかしたのですか?」
「先月モーフィアに攻め込んで撃退されたようです。」
「大地の民の国にですか、身の程を知りませんな。そういえば2年ほど前にこちらにもカソーピアの使者が来ましたな。適当にあしらいましたが。」
「ジェローリアのレンドル公のところにも昨年来たようです。」
「それは、魔法職の勧誘ということでしょうな。それが一連の動きだとすると、長い間かけて計画を進めているかもしれませんな。そうだとするとまだ油断できませんな。二の矢、三の矢がありえます。」
「俺もそう見てます。ご存知かと思いますが最近ペイニャにも領地を立てたので、南半球なのでそれが気になっております。」
「森の民も魔法職が多くいますからな、巻き込まれてもおかしくありません。それは心配ですな。」
「我々が何かできる訳ではないのでまずは国力をあげようとしております。そのため迷宮の探索が遅くなっており、申し訳ありません。」
「いや、それは当然のことでしょう。まずは国が安泰でなければ迷宮探査など成り立ちませんから。まずはしっかりと足元を固めて下さい。そうはいってもペイニャの迷宮は50階層を簡単に攻略されたと聞いております。」
「確かに上位迷宮と比べると、相当簡単でした。それだけリショウムの攻略は準備をしっかり整えないと、と思います。」
「それが良いかと思います。念の為、もしショウ様の支配地が侵攻されるようなことがあれば、今の駐在の50人は防衛に参画するように指示しておきます。最近は工事が終わったので奴らは30階層付近で魔石集めをして小遣い稼ぎしておりますからな。」
「それは、ありがとうございます。そのような事態にならぬようにします。地上での対人戦闘というのは、迷宮での魔物との戦いとどのような違いがあるのでしょうか。」
「ショウ様は地上での戦いは経験がないのですな。一番の違いは地上ではパテという概念がありません。あくまで個人と個人の戦いになります。バフやデバフは範囲内の敵味方関係なく効果がありますし、全体魔法も範囲内にはすべて効果があります。なので魔法使いは慎重な運用が必要です。」
「なるほど、勉強になります。」
「もうひとつ、この機にお伝えしたいことがあります。あくまで儂の推論ですが。」
「何でしょうか?」
「上位迷宮はざっくり、普通の迷宮と比べ10階層ほど難易度が高いと聞いております。」
「そうですね、お義母さんがよく言ってます。」
「下層では即死攻撃をする魔物がいるのです。普通の迷宮でもそうなので、51階層以降の上位迷宮ではそのような魔物が出てもおかしくないと想像しております。
「即死攻撃ですか?瀕死ではないのですね。」
「残念ながら文字通り即死です。」
俺は絶句した。リムたち家族がそんなことになるのは想像もしたくない。
「そ、それは防ぎようはないのですか?」
「即死にも魔法と物理の両方があるようです。物理であれば物理防御があれば防げます。
魔法であれば、状態異常無効で防げます。二つ目は光の加護といわれるものです。詳細は分かりません。三つめは身代わりのアクセサリーです。最後は蘇生ですね。これは死後10分以内と言われています。」
「二つ目以降は全くわかりません。」
「あやふやな情報で申し訳ないが、それ以上詳しいことはこちらでもわかりません。」
「ありがとうございます。ますます、慎重に進めないといけませんな。」
「ショウ様のパテはすばらしいスキルや特技のメンバーが多いので、大事に進んで下さい。」
そののち、俺はポポゼウルとお茶を飲みながらサイクスの話などで盛り上がった。
移動用の部屋確保が終わり帰ろうとしたがひとつ思い出した。
「ポポゼウル殿、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんなりと。」
「海の民というのをご存知でしょうか?」
ポポゼウルは少しの間記憶を探っていたようだ。
「海の民ことは知りませんが、霧の民の伝承に次のようなものがあります。{光と闇が生じ、その後大地と海と空が生じた。}この中で光、闇、大地、空は上級種の名前になっております。海の民がいたとしてもおかしくはありません。もし存在すれば上級種かもしれませんな。」
「なるほど、そのような伝承があるのですね。」
「ショウ様はどこで海の民の話を聞かれたのですか?」
「ある船長の話ですが、昔、船乗りが赤道で海の民にやられたと言ったそうです。」
「光と闇の民は極地にいると伝わっています。海の民が赤道というのはあり得ますね。確証はありませんが。」
「ありがとうございます。参考にさせていただきます。」




