45階層攻略1
2日後13人がリショウム迷宮に入った。今回は30階層まで13人で進んだ。経験値は必要ないので、パテ人数は問題にならない。魔物は普通に出現したが、もはや脅威ではなかった。次々と撃破して一日で30階層に到達した。30階層のゲートでは建物建設が進んでおり、立派な小屋が立ち並んでいる。
「ショウ様、ご無沙汰しております。こちらも作業が進みだいぶ形になって来ました。」
リーダーのノームが挨拶してくる。
「本当に皆さんのおかけで立派な設備ができつつあります。感謝します。」
「いえいえ、今回の遠征には長老も期待を持っており、一族の定例遠征を中止して主力を投入してくるようです。」
「一族の定例遠征を中止してまでとは、申し訳ないですね。」
「いえ、上位迷宮では学ぶことが多いというのが前回参加した者たちの感想です。今回の遠征同行も希望者が多かったと聞いております。」
「そうですか、ぜひ有意義な遠征にしたいものです。」
そんなに注目されてるのか、期待外れにならんようにせんとな。俺たちはゲート脇の小屋でゆっくりと睡眠がとれた。6時間ほど寝て外にでると、ちょうどノームたちもゲートから次々と出てくるところだった。
「お母さん。」
サフィアスがつぶやいた。えぇ!
「サフィ、メレ、元気~?」
やや紫の銀髪のノームがそう言って二人に抱き着いた。軽いな。そのノームはひとしきり娘たちと言葉を交わした後、俺の方に近づいた。俺はなぜか後ずさる。やましいところはない、はずだが、汗。
「ショウ様、はじめまして。私サフィアスとメレンタスの母でサイクスと申します。先日島にお越しいただいた時もご挨拶できず失礼いたしました。今回長老の指示でこのメンバーのリーダーをしております。よろしくお願いいたします。」
「お、俺、いや私はショウと申します。お義母様直々にお越しいただき恐縮です。二人にはいつも助けられております。」
脇汗が止まらない。俺の本能が危険を予知している。なんだろう、ぱたぱたと妖精の羽音が聞こえた。俺はダッシュで現場から逃走を図ったが既に遅かった。俺の肩にリムが止まった。
「ショウ、わらわにも紹介してくれるか?」
リムの後ろに見える黒いものは俺の気のせいではないようだ。
「これはお姫様、挨拶が遅れ恐縮です。今回の遠征を率いますサイクスと申します。よろしくお願いいたします。」
「サイクス殿、今回も色々と宜しくお願いいたします。」
「いつも娘たちをかわいがっていただきありがとうございます。」
リム、誤解するなよ、かわいがるという意味を!
「いいえ、二人にはいつも助けてもらっております。」
青筋立てて言うんじゃない。そこでメレンタスが何かを言おうとしたので、俺は焚火に油を撒こうとする奴を止めるように、メレンタスの小さな体を抱き上げて走り去った。サイクスとリムが唖然と見送った。セーフなのかな。
そのあと俺たちのパテとサイクスのパテが自己紹介をした。俺は何事もなかったかのように戻ってきた。辛い。サイクスはよく見るとサフィアス達の姉に見えるような若さだ。
レベル 58 スキル 氷魔法2 水魔法
もう中層はほぼ最後までいってるんだ。凄い。氷魔法は初めて見る。どんなのだろう。MPもメレンタス同様他のノームより多い。できる家族だな。
「お義母さん、よろしければ覚醒をかけると、新たなスキルや特技が手に入るかもしれません。」
「いえ、嬉しいですが、私は主人がある身なので。」
サイクスは顔を赤くして答えた。勘違いが激しいな。
「あの、お義母さんはサフィアスの母親なのですぐに覚醒できます。」
「あら、そうですの。メレンタスは違うこと言ってましたが。」
あいつは確信犯だな。あとで折檻だ。
スキル 氷魔法3
「あら、本当にステータスが倍になって、氷魔法が進化しました。これは凄いです。父のいうことは本当だったんですね。」
「それは良かったです。氷魔法3はどんなですか?」
「説明には全体魔法とだけあるので、後で試してみます。氷魔法はダメの大きさは大したことないのですが、凍らせて魔物の行動を一定時間止める効果が大きいので。」
そのあと、パテ編成を決めた。
前衛パテ リム、エリーン、モウル、ペルカ、ビジェイ、スリニー、サフィアス、メレンタス、シュレンモハン、ショウ
中衛パテ ファロメイリン、ファロリアス、メイガロマトン、ドロン、ケンタウロス1、ノーム2,ドワーフ3
後衛パテ サイクス、ケンタウロス1、ドワーフ6、ノーム2
今回ドロンは中衛パテのリーダーではなく、ファロリアスを守って運ぶメンバーとして選ばれている。フィロリアスの光魔法のバフは半径10メートルの味方にはパテ関係なく利くので、ドロンの背中で移動することによって機動性を上げている。その両側にはファロメイリンとメイガロマトンが付いて護衛することになる。サイクスのメンバーも最低魔法防御80%は持っている。
「母さんはこのまえ貰った+5、+5のチェインメイルを使ってます。」
メレンタスが俺に怒られながらも懲りずに話しかけてきた。
「そ、そうかそれはよかった。」
「それにおじい様の指示ではなくて、自分から行くといって聞かなかったらしいです。おじい様がそれは公私混同だからいかん、と言ったら、おじい様の首を絞めてうんと言わせたそうです。」
この親にしてこの子ありだな。
「どうしてお義母さんは来ることにこだわったの?」
「なんか、おじい様のこと信用してなくて、ご主人様がダメな奴だったら、殲滅して私たちを連れて帰る予定だったらしい。」
それも怖いけど、それを平然と言うお前も怖いわ。
中衛パテは混成部隊なので、じっくりと戦い方を取り決めた後で、俺たち30人は31階層に入っていった。今回は物理防御を上げているので、カマキリが出てきても誰でも対処できる。試しにモウルが前に出て戦ったが倒すまでに一撃受けて70ほどのダメしか受けなかった。余裕だ。大蟻が出た時はサイクスが上がってきて氷魔法を試した。ほぼ全部が凍り付いて、みんなでプチプチとつぶした。35階層までを7時間ほどで駆け抜けた。ここで食事休憩をとる。
「36階層でもあまりヤマアラシに注意しなくて良さそうですね。」
エリーンはみんなが物理防御を上げているので言った。
「そうだな、仮に一度に10本棘を喰らっても100くらいしかダメないからな。40
階層までは密集しても大丈夫だな。」
俺たちは前回のように間を開けることなく40階層を目指した。虎が出てもドワーフ3人で戦えば危なげなかった。たまにメイガロマトンの感電弓やサイクスの凍結魔法で虎の動きが止まるので更に攻略時間が短縮した。41階層への降り口まで今度は8時間ほどで到着した
「前回よりは格段に楽になっておるのう。」
ほぼ魔法を使っていないリムが余裕をかます。
「これからは魔法の打ち合いになるから頼りにしてるよ。」
「お、おう、わらわにまかせるのじゃ。」
また下痢だな、この調子だと。
41階層に降りる前に俺たちは交代で眠って英気を養った。10時間後一行は食事も終えていよいよ41階層への坂へと向かった。周りを見回すとドロンが結構緊張した表情をしている。
「ドロンさん、肩に力が入ってますね。」
「ショウ様、今日は大事な子供を預かってますから、責任重大なんですよ。」
こいつなかなか良いやつだな。
「ありがとうございます。頼りにしてます。」
「ショウ様、ドロンさんの指示に従って頑張ります。」
ファロリアスもドロンの背中で拳を握ってる。
「ファロリアス、そんなに力入れないほうが良いぞ。」




