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迷宮の中層へ

中階層についてサフィアスからレクチャーを受けた。彼女の言葉は分かりにくいからまとめると以下のとおりだ。


・ 中階層は5層単位で出る魔物が変わる。

・ 中階層は本道がなく、幾つかの太い道があり、階層によって道が異なる。

・ 中階層では魔物発生の波動の波が大きいので、複数の魔物群とエンカウントすることが多くなる。確率的に最高4群と同時に戦うことがありうる。


最後がきつい 4群一度だと、詰んでるかも。

休養日も魔物がひっきりなしにくるので、第2陣のオーク達もレベル30に達した。最初の覚醒でHP吸収のレアスキルを獲得していた、シュレンジュの長男、シュレンモハンに剣技のスキルがでた。これは大きいな。やはり覚醒2の確率大幅アップ効果は目に見える形で現れるようだ。今回もオーク4人は第4列だが、なるべくシュレンモハンの後ろにいるように他の3人に指示する。


翌朝、運搬車から必要な物資を袋に詰め替え出発した。31階層へ降りると一行はそこで停止した。後ろを入り口の坂にすると、後方からは魔物は来ない。前から来るのを待つ。何が出るのか把握するのが優先だ。10分ほどで最初の魔物がでた。20センチほどの大きな蟻だ。30以上はいる。サイファスから中層の魔物についてレクチャーを受けてるエリーンが指示をだす。

「大蟻は毒はありませんが、硬いです。武器を持ってる人は上から突いてください。自分のHPが半分になったら言ってください。回復します。」

「わらわが焼き払うのじゃ。」

「効率が悪いのでお嬢様はMPを節約して、見ててください。」

「そ、そうか。」

9人がそれぞれの武器で上から突きさすが、すばしこいのでなかなか当たらない。当たってもペルカ以外は大きく削れない。むこうに齧られてじりじりとHPが減っていく。消耗戦になってる。次々とHP半分になって、エリーンに回復を頼んでいる。シュレンモハンだけが淡々とやっている。ステータスを見ると、単位時間で100ダメージを与えて95HPを吸収してる。これだと時間さえ許せば問題ないな。10分近くかかって殲滅した。30匹が最大なんだろうか?


直ぐにまた大蟻が30匹ほどあらわれた。こんどはエリーンがサフィスに指示してウォターボールを2発撃たせた。一面が水びたしになり、大蟻の動きがすこし鈍くなった。シュレンモンハンだけその水溜まりで戦うように指示して、それ以外は群れに飛び込まずに手前で迎撃するように1列の態勢を組んだ。後ろから来ないのでこのような作戦がとれる。今回は半分の時間で殲滅した。ゲームと一緒で工夫が大事だな。


すこし時間が空いて次の魔物があらわれた。熊3体だ。エリーンから指示がでる。左の熊はリムの最大出力ダークアロー2発で爆砕した。真ん中の熊はペルカが華麗な斧捌きで切り裂いた。右の熊はエリーンが正面に立ち、それ以外が剣や弓で袋にして葬った。楽勝だ。


次はアイスウルフ5体だった。ペルカ、モウル、シュレンモハン、エリーンが前面に出て、一対一で戦う。最後の一体にはサフィアスと残りのオークで進み、袋叩きにする。

これも楽勝だ。

「武器はあまり強くないですが、みんな武器の使い方が良くなってますね。最後のグループはこの階層では出ないでしょうから。進みましょうか。2グループまでだったら、今までの応用で戦いましょう。3グループ以上ならお嬢様とサフィアスは魔法をお願いします。」

みんなが頷き、足早に迷宮内を進んだ。4時間ほどかかってやっと、32階層への降り口を見つけた。途中の道はオークたちが記録している。降り口を背中にして昼食をとった。

その間も、何回か魔物があらわれ迎撃した。ここまでは最大2グループだったので。危険な事はなかった。


32階層に降りると最初の危機が訪れた。まず、大蟻の群れがでた。大蟻の群れに対応しようとして、シュレンモハンが前に出ると、それに続いてアイスウルフ5体があらわれた。シュレンモハンは呼び戻され、前衛が戦列を揃えたところで、後方から熊3体が現れた。後ろに注意してた俺が声をあげると、リムが反応して、熊に連続して闇魔法を撃ち込んだ。サフィアスも水魔法を連射した。俺もボウガンを熊に向かって撃つ。しかし最後の熊は倒しきれない。俺とサフィアスが短剣を抜いて最後の熊と接近戦に入った。サフィアスが熊の爪を素早くいなして、なんとか倒した。前方を見るとまだ戦っている。リムはMP薬を飲んでアイスウルフに闇魔法を浴びせた。何とか前方も最後の大蟻を潰して収まった。

「私が回復魔法に時間を取られて、戦いに参加できなかったので、苦戦してしまいました。すいません。」

「いやいや、継続的に足元からダメ受けるから、回復ないとやばかったよ。エリーンの活躍で戦線崩壊を防いだんだよ。」

俺が慰めると、リンも何か言ってほしそうだったので、頭を撫でた。ちょろいな。


2時間ほど下への道を探してうろうろしているとアイスウルフが4体でた。前衛が列をなす。戦いだすと後ろからアイスウルフ4体が現れた。エリーンの指示でペルカが後ろに回る。ペルカを盾にして、うしろではオークたちが参戦する。前の決着がつく前に、前から新たにアイスウルフ5体が現れる。リムはすかさず闇魔法で攻撃を開始した。続いて後ろからアイスウルフ5体が、嘘でしょ。ペルカは物理防御を使い後方のアイスウルフのど真ん中に切り込む。タゲがペルカに集まったのでオークたちもダメを受けずに切り付ける。少しして前方のアイスウルフが片付き、エリーンが前をみはり、他は後方に参戦して殲滅した。

「なんとかなりましたね。みなさん、ご苦労様です。」

「しかし、ペルカのスキルは凄かったのう。9体に囲まれてもびくともせんかった。」

「あ、ありがとうございます!」

ペルカはいつものとおりペコペコしている。

「これならアイスウルフが20体来てもペルカを投げ込めばなんとかなりますね。」

エリーン極悪だな。ペルカは涙目だ。


それから更に4時間かけて、33階層への降り口を見つけた。今日はここまでだな。

食事をとり、6時間ほど野営したあと、33階層への坂を下った。ノーム、ドワーフ、妖精族は睡眠が短いことは苦にならないようだ。エリーンの消耗がはげしい。気丈にふるまっているが疲労が蓄積している。リムも気づいているようだ。

「エリーン、すこし指揮をショウと代わったらどうじゃ?」

「お嬢様、ありがとうございます。私なら大丈夫です。」

やはり、そう返すんだろうな。リムと目が合ったが、俺はそのままでいこうと、合図した。

「また、入り口で少し様子を見ましょう。」

エリーンの指示で全員入り口を背に座り込む。少しするとアイスウルフや熊が代わる代わる襲ってくるが、余裕を持って殲滅する。2時間ほどそこにとどまっていると、新たな魔物があらわれた。大きなカマキリだ、2メートルはあるぞ。

「ペルカ以外は下がって下さい。攻撃力が高いので、他の人は一撃でやられます。」

俺とオークの一人はボウガンを後ろから打った。ダメはあまりはいらない。リムとサイファスが魔法で攻撃する。ペルカとエリーンは盾で何とかカマキリの斧を避けているが、たまに攻撃を受けると一度に300ほど、ダメをうける。他のメンバーなら即死だ。回復魔法を使いながら槍を振るうエリーンは大変そうだ。10分ほどでなんとか倒した。

「こんなのがたくさん来ると、MP薬が心配じゃな。こやつらMPが無いから倒してもMPが吸収できん。」

「MP2があと100本くらいあります。30本まで減ったら撤退ですね。」

リムもMP薬の飲み過ぎで中毒にならないのかな。心配だ。

「それなりに魔石もドロップしてますが、毎回これだと赤字が大きいですね。」

このあたりだと赤魔石だけではなく橙魔石もたまにでるんだが、それでもだめか。

その後は魔物パテが一度に3グループ以上来ることはなく。リムの魔法に頼りながらなんとか一日かけて33,34階層を踏破して35階層への入り口に達した。

「やっとここまでこれたな。エリーン、MP2の残りは?」

俺の質問にエリーンは後ろの袋を確認した。

「50本くらいですね。これだとこの先はちょっときびしいそうですね。」

「もうみんなレベル34になってるから、明日の朝35階層の入り口でMP薬の在庫の限り戦って、できれば35になってかえりたいね。」

俺の意見にみんなが頷いた。


翌朝、35階層に進んだ。今日は入り口で居座りだ。前方からしか魔物が来ないのは精神的にも楽だ。全員が前に集中できる。何回か複数グループが襲ってきたが、それほど慌てることなく対処できた。4時間ほどそこで戦い俺たちはレベル35になった10人中7人が新たな力を手に入れた。


モウル  特技 鍛冶  ペルカ 特技 調薬  エリーン 特技 即死回避

サフィアス スキル 感知 ファロピピン 特技 調薬 メイガヘリス 特技 技巧2        ショウ   スキル 鑑定3


これは凄いことになってる!

みんな、自分のステータスを確認して、抱き合って喜んでる。すごく良い景色だ。モウルは泣きながら俺のところに来た。

「ご主人様、私ついに鍛冶ができるようになりました。ご主人様のおかげです。お礼のしようもありません。」

いつものように頭を何度も下げた。いやいや、もう十分役に立ってくれているよ。

「主様、感知、凄い。」

サフィアスもいつになく興奮している。

「どんなスキルなんだ?」

「100メートル、魔物の場所わかった。」

え、それレーダーみたいなやつか!相変わらず言葉は分かりにくいが、聞き出したのを要約すると。100メートルほどの円形範囲の魔物と他パテの位置がわかるようだ。魔物に色がついて種類別に認識できるらしい。スキルなのでMPを30消費するらしい。結構消費は大きいがこれは迷宮ではゲームチェンジャーだ。


みんなが新しいスキルや特技で騒いでおり、良く見てなかったが、俺のステータスにも異変があった。いや全く上がらないとかじゃなくて、むしろその反対だ、今までレベルが5上がってMPやHPは10くらい上がっていたが、レベル30から35では20上がっている。どういうことだろう。俺はエリーンに聞いてみた。

「種族によって、ステータスの上がり方が違うということを聞いたことがあります。たしかレベル30までは、どの種族も同じらしいですが、その後は種族によって異なるようです。私たち草原の民はレベル30以上ではHPの伸びが少し減り、MPの伸びが上がります。」

「そうなのか、人間の事は分かる?」

「それが、人間でレベル31以上はそんなに多くないと思いますので、、、」

うーん、種族としても雑魚なのね。

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