公爵邸の建設
5人の各地の年かさをそれぞれの代官に任命した。北に商業の役所を、東に医療の役所を、南に教育の役所を、西に建設の役所を、中央に工業の役所を作ることして、それぞれ長官を任命した。
「色々新しいことが始まりました。楽しみです。」
ロロスマートが嬉しそうに言う。
「お前はこの王宮で色々見て、報告して欲しい。」
「はい、役に立てるように致します。」
「反対する者も多いだろうから、大変そうだが、頼むよ。」
ロロスマートをシンリアスに残して俺たちは山小屋に戻った。
「シンリアスはどうじゃった?」
リムが湯舟の中から聞いて来る。
「そうだな、まだはじまったばかりだからな。先は見えないよ。」
「人材が豊富ですから楽しみですね。」
俺の背中を洗いながらエリーンが嬉しそうに言う。
「エリーン、今日も風呂が一緒なんじゃな。」
「はい、お姫様と一緒と思いまして。」
笑顔で答えるエリーンにもうリムは諦めたようだ。
「第二の扉が後回しになってすまないな。」
「それは100万人だからな、そっちを優先して当然じゃ。」
「それに、新たにスキルや特技を得た人は体になじませるのに時間がかかりますから急がないで良いと思います。」
「それならいいんだが、ところでリムに頼みがあるんだが。」
「おお、何じゃ、言うてみよ。」
リムの目が輝き湯船から上がってきた。前隠せよ。俺は1枚の紙を取り出した。
「これなんだが。」
エリーンも興味深げにのぞき込んできた。
「これは、建物ですか?」
「そうだ。リムの館だ。」
「なんじゃこれは、物凄く大きいぞ。わらわにはこんなものは不要じゃ。」
「俺も一緒に住むから。」
「えっ、そうなのか。それなら考えんでもないが、、、」
「良い考えだとは思いますが、凄く大きいですね。」
「この建物を作るのはいくつかの目的があるんだ。ひとつ目だが、ここはリムとその家族の帰ってくるとこだ。だから3階には立派な個室を20作る。」
「それは良い考えですね、スティリアスさんやモウルさんの場所もあると安心するでしょう。」
「しかし、20ということはまだまだ家族を増やすということか?」
リムが青筋をたてた。落ち着いてくれ。
「い、いや、そういうことじゃないが、予備部屋もいるだろう。」
「何か、怪しいのじゃ。」
こいつの感は凄いな。
「二つ目の理由だが、もし北の迷宮や南の砦が破られたときにしっかり守れるところが必要だ。この建物は全部石造りにする。もし攻められたとしても、援軍が来るまで持ちこたえるようなものにしたい。」
「しかし、石造りにするとなると、莫大な費用と人手がかかるのじゃ。」
「じつは、それが三つ目の目的だ。いまシンリアスでは貨幣を使うように社会を変えようとしているんだ。貨幣は稼ぐ手段を用意してやらないといけない。ここに千人以上のシンリアス島の民を雇って支払いを貨幣でしたい。」
「千人ですか!それは凄い数ですね。」
エリーンが声をあげた。
「金はこの前の防具からの収益もあるし、シュレンビータから報告があった。鉱山で鉱脈を探っていたら銅の鉱脈が見つかったそうだ。銅貨も作れるぞ。」
「そ、そうなのか!」
「ますます、発展しそうですね。」
「そうだ、リムの荘園が大きくなるんだ。」
「い、いや、これはショウのものじゃろう。」
俺は裸のリムを引き寄せ抱きしめた。
「いや、俺は死ぬまでリムの従者だ。それは永遠に変わらない。」
耳元でつぶやくと、リムは涙を流した。
「お嬢様の見る目はさすがですね。」
エリーンが反対側からリムを抱きしめる。
「わらわは幸せ者だ。ありがとう。」
「1階と2階はどうするのですか?」
2階はリムの執務室と公爵領の謁見室などだな。1階はコンポロ、モウル領、シンリアス、鍛冶、船長たちの部屋を作ろうと思う。」
「素晴らしいものになりそうです。」
「そうだな、シンリアスの王宮より良いのにしないとな。それと地下には大きな風呂と台所を作る。王宮の庭には広い食堂を作ろう。そして王宮を囲むように4か所の詰め所を作る。」
「詰め所ですか?」
「ああ、護衛を20人ずつくらい置くことになる。」
「確かに、カソーピアがどんな手を使ってくるかわかりませんからそれは必要です。」
「それなら、ショウのほうはどうなのじゃ。あっちこっち飛び回っているが、いつ襲われるかわからんぞ。」
「いや、俺なら大丈夫だ。」
「ショウは弱いんだからそうはいかんじゃろ。」
「そうですね、ほんとに弱いですからね。」
お前たち二人で俺の心をえぐるな。気にしてるんだから!
「誰か、専任で護衛をつけたらどうですか?迷宮攻略の戦力にも余裕が出てきました。」
エリーンが提案したが、リムが顔をしかめる。
「それはずっとショウと一緒にいるということか?」
「専任の護衛ですからそうなりますね。」
「そ、それは色々都合が悪いのではないか?」
「お嬢様、寝る時は別ですよ。」
「それなら、しかたがないのじゃ。」
「いやいや、俺は大丈夫だぞ。」
俺の意見は即時に却下された。3人で湯船に入ったが二人は誰が良いか色々名前を出し合った。
「ということで、ゴンフィーネスを護衛に付けることになったのじゃ。」
俺には拒否権がないようだ。翌朝リムとエリーンがゴンフィーネスを呼び出した。
「ゴンフィーネス、これからそちはショウの護衛をつとめるのじゃ。」
「王様の護衛ですか?それは光栄ですが。」
「片時も離れずに、暗殺者などが来たら撃退して下さいね。」
「私に務まるでしょうか?」
「そちは不死身じゃ、何かおかしなことがあったらすべてのスキルを動員すれば、誰にも傷つけることはできん。その間に手を考えるのじゃ。」
「わかりました。この身に代えてお守りいたします。」
なぜか目がキラキラしてる。
「そ、そうか、よろしく頼む。」
「ひとつお願いしてもよろしいですか。」
「なんだ。」
「ミドリさんやハルカさんを見てると人型だとステータスが上がります。私も人型でいてもよろしいでしょうか?」
「ゴンフィーネスさん、人型の副作用も聞いてますか?」
エリーンが心配そうに聞いた。
「はい、なにか気持ちが落ち着かないとか。」
リム、青筋は立てるな。
「それがわかっているのなら、お嬢様良いですよね?」
「ま、まあ、役目の為に必要なら良いのではないか。」
なぜか俺が二人から睨まれる。なんでや。
俺はゴンフィーネスを人型にした。リムとエリーンが驚いて口を開ける。スタイルの良さはエリーンにも引けをとらない。スティリアスやモウルと並んで4強や。少し褐色の肌がつやつやしており、顔が小さくて8頭身だ。インドネシアのモデルさんといった雰囲だ。またリムは涙目や。あきらめろ。
「順番表は守ってくださいね。」
エリーンも小声で付け加える。
「もちろん、そのように致します。」
ゴンフィーネスは最敬礼をした。リムとエリーンは俺を睨む。やめてくれ。




