5人の花嫁
「ショウ、素晴らしかったぞ。」
4人は式が終わると口々に褒めてくれた。もっと褒めていいぞ。
「まあ、これからだけどな。コントルホーン、シュレンジュと早速話をしてほしい。」
「はい、早速とりかかります。」
「それと、スタッフだが、少しまってくれ.。この島にも特技持ちが出るだろうから、そこから任命しよう。」
「はあ、そうなのですね。」
そこは分からんわな。
「それと、ミドリは農耕のプロだから、明日から各地を回らせてくれ。」
「早速手配します。」
式の後は、屋外で食事となった。内容はかなり質素だが、みんな笑顔だ。3時間ほどで宴会も終わり、出席者は散会した。俺たちも準備された宿舎に戻った。
「ショウ様、素晴らしいお言葉をいただき、民は感激しています。」
フィンゼィクは興奮気味に言う。
「言葉ではダメですから、これからしっかり実行していきましょう。長老方も協力してください。」
長老たちは最敬礼した。
「愚息が宰相などという大役が務まるでしょうか?」
「ここに来るまでに色々話しました。やってくれますよ。若い人に任せていきましょう。」
ビルブティネルが頷いた。
「早速で恐縮ですが、」
フィンゼィクが言葉を止めた。リムたち4人の方を見ている。
「フィンゼィク殿、わが家族の総意は、新たに家族を迎えることを光栄に思っております。」
リムが口を開いた。さすがだ。今日は青筋ないな。
「そ、そうですか。それはありがたく。」
5人の長老は涙ぐんでる。孫がかわいいんだな。
「おまえたち、入って来なさい。」
5人の雌のオークが入ってきた。みんな緊張している。ゴンフィーネスもいる。5人は土下座して挨拶しようとしたが、スティリアスが素早く全員を立たせた。
「皆さんは私たちの家族ですよ、どうして土下座などするのですか?」
他の3人も頷いた。
「わらわたちは5人を歓迎するのじゃ。」
ジェイパスも言う。
「仲良くしよーね。」
お前は黙っとけ。
5人は緊張が解けて、涙目になっている。
「実は、私も畑の民なんです。これは内緒ですよ。」
ミドリの言葉に5人は怪訝な顔をする。どう見ても人間だ。
「ショウ、戻してやったらどうじゃ。」
「お、おう、そうか。」
俺が同期を解くと、ミドリからファロンビスに戻る。5人が目を見開き、小さく悲鳴をあげた。長老たちも固まってしまった。
「これは、内密にな。」
すこし5人の緊張も解けて来たみたいだ。良かった。その後長老から5人を紹介された。
テルマトーン ビルブティネルの孫
ビアティン カルトノファンの孫
パンティカ リートリリンの孫
ロロスマート フィンゼィクの孫
ゴンフィーネス セイトルバクスの孫
テルマトーンが一歩前に出て口を開いた。
「5人を代表してご挨拶致します。この度は私共を受け入れていただき感謝いたします。命にかえてお仕えすることを全員でお誓いいたします。」
「テルマトーン、そんなに硬くならなくていいぞ。俺なんかいつもリムに虐められてるんだから。」
「な、なにをいう、そんなことは無いぞ。わらわはいつもショウにやさしいぞ。」
「そうは、見えんがのう。」
ジェイパスが小声で言う。
「まあまあ、みなさん、仲良くしてくださいね~。いつもこんな感じなんです。」
エリーンが突っ込む。テルマトーンが思わず笑った。それで良いんだ。あれ、妖精語が理解できるのか!すごいな。
「ショウ様、奥方の皆様、孫達をどうかよろしくお願いします。」
「はい、お任せください。幸せにします。」
俺の言葉に安堵の色を見せて長老たちは部屋を出て行った。
「今日は疲れたな。ミドリ、同族として五人に色々教えてやってくれるか?」
「え、よろしいのですか?」
「どういうことだ?」
「その、早速、」
「いやいや、みんなまだ7歳とかだぞ。」
「畑の民ではもう十分大人ですよ。」
「いいから、今日はゆっくり休ませてやれ。」
「はい、承知しました。」
リムたちがこっちを見ている。視線が痛い。
「主様、得意の無理やり、、」
モウルの口を急いで塞いだ。どうしてこうなる。
「ここの畑の民は他の種族との関りが少ない。まずはゆっくり慣れてもらおう。」
「ショウさん、良いこといいますね。どうかしましたか?」
「いつもこんな感じだぞ。」
「そうかのう、わらわなどいつもおもちゃにされておるぞ。」
「いやいや、リム、その言い方は誤解を招くぞ。今日はもう寝よう。」
「それが良い。」
またその後揉めたのだが。
翌朝、荘園に戻ることになったが、王宮はどこからも攻められにくい島の中央地区に建てることを認めた。5人のオークの娘たちは荘園に連れていって、みんなに紹介することにした。ドワーフは東の町の警備に回して、ケンタウロスたちは町の間の運搬や移動で働くことにした。その前に俺たちは西の迷宮まで送ってもらった。ジェイパスはファイアリザードに乗り帰っていった。5人のオークは迷宮内ではエリーンとフォイヘスに乗って移動した。半日でジェローリアに戻った。
山小屋に戻る前に、鍛冶場に寄ったので、多くのドワーフたちが祝福した。5人も手を振って応じている。早くなじんで欲しい。夕方には山小屋に到着した。リム以外の家族は既に領地に戻したが、それ以外の家族が集まってきた。ペルカ、シュレンジュ、ハルカ、サフィアス、メレンタスがいる。
「ここに居るのもショウの家族じゃ、仲良くするのじゃ。」
色んな種族がいるので、5人は面食らっている。
「これから、皆様の指導をいただきショウ様にお仕えしたく思います。よろしくおねがいします。」
5人は頭を下げた。
「みんな、大きな波動。すごい。」
サフィアスが呟いた。
それは100万人のオークの頂点だからそうなるんだろう。その後双方自己紹介をした。
「シュレンジュとハルカは同族だから、面倒を見てやってくれ。」
「ハルカ様も、ミドリ様と同様なのですか?」
パンティカが尋ねた。
「はい、私も仕事柄人型で過ごしています。」
「昨晩、ミドリ様に色々伺いましたが、私共もしっかりご奉仕させていただきます。」
ミドリは何を吹き込んどるんや。
「まあ、それはともかく、荘園や農地を案内してやってくれ。それと小屋も準備頼むぞ。」
「はい、もう準備してあります。」
さすが、シュレンジュだ。5人は同族ふたりに連れられて見学に行った。
「ショウ、ちょっと良いか?」
これはまたリムに責められるパターンやな。
「5人ともまだ若いから最初は優しく扱うのじゃぞ。人身御供に定められていた、過酷な運命から逃れることはできたが、心の傷もあるじゃろう。」
予想に反して、リムは5人を深く気にかけてくれている。なぜか涙がでる。
「あ、ありがとう、リム、さすが俺の正妻だ。」
「家族を気遣うのはわらわの仕事じゃ。」
「本当にお前で良かった。」
俺は小さいリムを抱きしめた。




