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黒い家  作者: たま


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3/16

黒カビ?

駅から徒歩5分の建売は、怜羅と真治の家も合わせて6棟だった。周りを古い家に囲まれるように道路を挟んでほぼ楕円形の土地だ。すこし窪地な感じもする。

その為か、各家の下に盛土(もりど)かされてる。

「道がなんか下がってるけど、家の玄関とか階段やスロープで高くなってて安全だし格好良いよ。」と真治は単純に喜んでる。

「ゲリラ豪雨が来た時に排水できれば良いけどね〜」と怜羅が言うと「そんな事言ってたら、どこにも住めないじゃん!俺は都内の古いマンションの古い貯水槽の水とか絶対いやなの!」とキレる。

実際には戸建てだろうとマンションだろうと地下の水道管から水が供給されてる。

そしてマンションの貯水槽は、法律で1年に1度清掃されるが戸建ては貯水槽はなく引込線から直接家の中の水道管に繋がる。

つまり定期清掃が無いのだ。家の敷地内の水道管は住人が専門業者に頼まない限り永遠に清掃される事は無い。

怜羅が説明したが、真治は途中から口をぽっかり開けていた。つまり50坪ある三鷹の実家の水道管は築年数だけ清掃された事は無いのだ。

説明するのを諦めた。


子供が目を離せない時期にキッチンならまだ見ながら掃除できるが風呂掃除は難しい。

それで真治に風呂と洗面の掃除を頼んだが、生返事で結局1度もしてくれない。土日の朝に一応声掛けたのだが…

んで、見かねた怜羅が圭一が昼寝したスキに掃除する事にした。

パンツの裾をめくり袖も巻いて挑む!

「あれ?風呂場って赤とか白いカビだよね?」足が排水口の上に乗るとヌルっとするのでカビだと思うのだが、色がついてない。

「もしかして…黒カビなの?」とスポンジでこするとやはりスポンジが黒くなった。排水口周りだ。

「エーーーッ、窓もあるのに!なんでえ?」風呂窓はほとんど開けっ放しだ。

浴槽の中の汚れは白かったのに…風呂垢は人間の脂なので白い跡が浴槽につく。

気になって水栓の中にもスポンジを尖らせて入れてみた。

やはり黒くなった。

嫌な予感がする。

洗面所の床に突っ伏して壁紙を見た。

やはり住んで1週間で洗濯機の裏と洗面台の下の壁紙が薄っすらグレーに変色してる。

これは壁紙の下の木の板に黒カビが繁殖してる可能性がある。

「ウソ〜〜っ!住んでまだ1週間だよ?窓は風呂入る時以外開けっ放しなのに!」ショックで掃除の手が止まった。

圭一がお昼寝から目覚めて母が居ないので泣き出した。大急ぎで居間に戻った。


「ただいま〜」夜10時過ぎに真治の疲れた声が玄関でした。

「おかえり〜やっぱり遠いんじゃない?大丈夫?」夕飯はこの頃家で食べなくなった。販促責任者なってから外部の人と飲むことが増えたのだ。

風呂の黒カビの話なんかする雰囲気じゃない。

「う〜ん、確かに遠いかなあ〜飲み会あるとこたえるかなあ〜とにかく風呂だ!

風呂入ってトットと寝ないと!明日も6時起きだ!」通勤は1時間だが、最寄り駅始発の列車に乗れると座れるので1時間早めに出るのだ。座れないと1時間立ちっぱなしはシンドいのだ。

「浴槽は何とか洗ったけど、排水口とか黒カビ生えてるから気をつけて!」と話す。

「エッ、まだ住んで1週間だよ?なんで?」疲れた顔の真治が驚く。

「さあ、分かんない。また今度の土日でも様子見て。

洗濯機や洗面横の壁紙も下の方が怪しいよ。」と話した。

だが仕事の事もあるし、聞こえてるのかどうか分からない顔だった。

お風呂から上がったら冷蔵庫からアイス渡すとやっと一息ついた顔をする。

「排水口も黒いから分かんないや。本当に?」と真治が聞く。

「触れば分かるよ〜それにお風呂のお湯抜いた水栓の中もだよ。まだ土日にスポンジ突っ込んでみて。」と言うと「わかった〜」と生返事をする。

「絶対忘れそうだね〜」の怜羅は苦笑する。

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