#002B 現実の陰り / Crack in Reality
第0b001章の最初なので文字数多めです。
(章番号は二進数表記、最大で0b111 (7章)まで)
今までそもそも機会がなかった関係で触れられなかったあれこれが
セルン本人やほかの人物から語られるんじゃないかと。
連合防衛軍に救助された僕は、ひとまず体の具合を確認して先ほど
フェルツェの医師が話していた作戦会議室へ向かうことにした。
テレイル東にある哨戒基地という話だったけど、
考えてみると心当たりのある場所だね。
あの時――負傷した時に僕がおかしな方向へと逃げたのは、
記憶の片隅にこの場所があったからかもしれない。
無意識の行動とは言え、生身の僕もまあ…………
はぁ……それなりにはやれるということかな。
装備を外した途端にこれだよ。
苛立ちを隠せないまま俯いて廊下を歩く僕の姿は、
基地で働く連合の兵士たちから不安や心配というような視線を集めている。
彼らも、戦闘で負った傷のせいで精神的に苦しむ仲間の姿を
見たことがあるからこうなるのかもしれないね……。
はぁ、暗い話ばかりじゃないか。うんざりだ。
やり場のない不安と自分への嫌悪が僕の足を縛り、会議室へ向かうはずだった
この身体は言うことを聞かず前に進むことを拒絶する。
どうすれば……いいんだろう……。
怪我をするたび、僕の中にあるワイバーンとしての
"生き方"を失うことへの恐怖は増してゆく。
聞いたことがあるんだ。こういうのはPTSDと呼ぶって、ね。
まだ世の中が不安定だった時代、降り注ぐ砲弾やバリスタの矢、火球に雷撃。
それらが共に戦う仲間たちを奪ってゆき、自分自身もまたその脅威にさらされる。
そんな戦いが続き、次第にその場には実在しないはずの
偽りの危険が見えるようになる。
火が燃える音が、弾ける火花の音が、風を切る音が。
そんな何気ない物音すら自分がかつて目にした凄惨な戦場を思い起こさせ…………。
はぁ……。
こうやって、暗い話と思考は連鎖するんだ。
どこかで断ち切らないと抜け出せなくなってしまう。
でも、その手段がない。
――そう思っていた僕を現実に引き戻してくれたのは、
名も知らない連合兵だった。
「なあ、あんた……大丈夫なのか? ここに運び込まれたときは
ほぼ瀕死だったって聞いたが」
ただ、ただ普通に僕のことを気に掛けてくれる、
何の変哲もない彼の言葉は不思議なくらいに暖かい。
今の僕には、そんな普通ですら欠けてしまっているのかな……。
「あ、ああ……えぇと、ごめん。大丈夫じゃないけど、まあ、ありがとう」
僕には、返す言葉を考える余裕すらないんだね。
自分の口から出た言葉を聞いて、強くそう思った。
「一旦病室に戻ったほうがいいんじゃないのか?
そんな状態じゃいつ行方不明になるか分かったもんじゃない」
ははは、そうだね。
そうだ、どこかへ行ってしまいそうだよ。
どこへだろう?
「そうだね、もう少し、僕には時間が必要なのかも。
……ありがとう、でも、いまは会議室に行かないと」
彼の言う通り、病室に戻ってもう少し休むというのも考えた。
でも、ここで立ち止まっていては皆に迷惑がかかる。
最低限、今僕がするべき役目は果たさないと。
「はぁ、まあそういうのなら。会議室は兵舎を挟んだ反対側だ、
この廊下を突き当りまで進んで左に道なりに行けばいい」
呆れた顔をしながら彼は会議室の場所を教えてくれる。
そんな中、僕は左翼を振って挨拶をし、
さび付いた機械のように重い足を動かして廊下を歩き始めた。
……こんなので……探検家は務まらないよ。
何とか……何とかしたい。
そんな、押し潰されそうな気持ちの中でも、
僕の身体は行くべき場所へと歩を進める。
まるで自分の意志と身体が仲違いしたかのように。
……悲観的な思考で遮られて見ることのできないどこかでは
前向きな思考も回っているのかも。
何もわからないまま、僕は作戦会議室へと向かった。
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「やあ……遅れてしまっていなければいいんだけど」
何の飾り気も無い、流光の会議室と同じような作りをした
この部屋の奥に並んで立つ二個体の人間に挨拶をする。
左側に居るのは年老いてはいるけれど未だ戦士としての影が強く残る個体。
そして右側には眼鏡をかけた長身の個体が。
右の彼の体つきは全体的に細いけどそれでも鍛えてはいるようだね。
経歴や所属の違いなんだろう。
二個体で服装が違うから別の部門であることはわかりやすいよ。
「いえ、気にすることはありません。あなたの負った傷が深刻なもの
であったことはこちらも把握しておりますので」
先に口を開き、形式的な言葉を返したのは右側の個体だった。
「うむ。では早速始めようか。セルン、我々は席につかせてもらうが
君も必要であれば楽にするといい」
そしてそれに続いたのは左側の個体。
"必要であれば楽に"――妙な表現だけど、僕たちは椅子に座ることが
無いからこういう形になるのは仕方ないね。
二個体が席に着くのを待ってから僕も一度姿勢を正し、翼を畳んで床に座る。
飛行装具を身に着けていない状態でこうやって座るのは久しぶりなんじゃないかな。
……そういえば、彼らは僕が誰か分かるのか……。
まあ、向こうには組織としての情報収集手段があるから当たり前なんだろうけど、
知らない人間に名前を呼ばれるというのは……今の僕には複雑な気持ちだ。
でも、同時に少しだけ気分が晴れたような気もする。
はぁ……こうしていても仕方ないよね。話を始めようか。
「さて、お察しかと思われますがこれから取り扱うものはあなたが
件の場所で目にした不明な遺物に関する事項になります。
まず、なにが質問などがありましたら可能な限りでお答えしましょう。
その後我々からの通達事項についてお伝えしますので」
お互いに準備が整ったところで話を切り出したのは右側で椅子に座る彼だ。
その言い分だと連合防衛軍はあの物体について何かしら
知見を持っているようだけど……僕が聞いておくべきことは何?
「わかったよ。ふむ……何から聞くべきなのか……」
考えてみよう。
あの遺物の形状は既知の三つの旧文明のどれとも一致しないものだった。
最も似ている、近いものが何かと言われたらおそらく第一の文明だけど、
第一の文明の遺物はもっと単純な形状をしていて、
表面の質感、使われている素材の特徴も異なるものだ。
そしてもう一つ。
あの遺物は地面に突き刺さっていた。
もちろん坑道の中の床に当たる部分にという意味だけど、あの細長い柱
のような形状からしてやっぱり地面に構造の下部を
埋めたり突き刺したりして固定する類のものなのかな?
現場で見つけた情報には"落下物"という記述もあった。
発掘作業を行っていた者たちはみな不気味な赤い光に包まれて
異常な行動をとっていたりと気になることを整理してみるときりがない。
発掘され、解析された第二の文明の記録に残っていた謎の落下物。
当時の第二の文明には落下地点の調査に向かう資源的余裕がなかったという
情報も発掘指示書には添えられていたし、
これらを総合すると……少なくともあの柱? は友好的な目的で
作られた代物ではないと思う。あれだけの規模の地下構造や
高度な技術で動く製品を作ることのできる第二の文明でも
調査に回す資源の確保ができないほどの状況……。戦争か、災害か。
これが文明の終焉の間際に起こった事象であることは推測できるかな。
自分自身で見た事実と、それらのつながりから見える可能性、
世界各地に残る大破壊の痕跡。
深く考え込む僕を、二個体ともじっと見守っている。
下手に声を掛けると邪魔になると配慮してくれているのかな。
ありがたいことだ。
でも、これ以上待たせるのは申し訳ないね。
この辺りで切り上げよう。
「そうだね……じゃあまずは、あの遺物と同じか同系統のものは
未公開の資料の中、もしくは機密情報の中には既に存在するものなのか、かな」
正直なところ、僕があの遺物の第一発見者だという可能性は低い。
あれを見たときに沸き上がった既視感……。確かにどこかで見たんだ。
そんな"どこか"で見たことがあるものが今まで他で見つかっていないわけがない。
危険な防衛用機械に守られた地下施設の奥まで行かなければ
発見できないものではない以上はね。
それこそ地面を掘り起こせば見つかる可能性のあるもの。
実際に、堅牢な軍事施設じゃなくて一般的な都市の住居跡でも
見つけられるようなものは第二の文明に関する調査研究が
始まってすぐに各地で発見の報告が上がっている。
安全のために伏せておかなければならない知識というものはあるんだ。
彼らが――連合防衛軍の者たちがこの件について知っていても僕は驚かない。
……そうやって考えを巡らせる僕に、彼らはすぐに答えを返してくれた。
「なるほど、ではお話ししましょう。答えは是です。まず、あの柱のような
形状をした遺物はすでに大陸各地でいくつも発見されています。
そして赤い光に包まれた生物の異常行動についても我々はすでに把握している。
しかし我々連合、そして王国政府ともにこれを公表はしていません。
理由はあなたならお分かりかと」
特に表情も変えず淡々と話す彼が明かしてくれたことは、まあ予想通りではある。
ただ地面に埋まっているだけなら発見はそれほど難しくないものだし、
世界中どこにでもこんな代物が落ちているか、
もしくは埋まっている可能性があるなんていうことを
一般に知らせたらまずいいことは起こらないから。
「君が調査に向かった発掘キャンプは第二の文明の記録から
得られた情報をもとに設営されたものだったのだが、
まさか落下物の正体がよりにもよってあの柱とは……。
君が赤い光に曝されることがなかったことは本当に運がよかったといえる」
続いて口を開いたのは左側の彼。――その声は安心感とともに
強い自責を感じさせるものだった。
彼がこの調査計画の責任者だったのかな? 計画そのものは
ロカウルの科学者が持ち込んだものだろうけど、
キャンプの設営や物資輸送、そして護衛部隊の配置を
監督したのは彼であってもおかしくはない。
「……そうだね、僕は本当に運がよかった。正直なところあの赤い光と
柱のような遺物が本当に関連性を持っているか僕にはわからないけど、
状況から最悪の展開を想像すると寒気がするよ」
赤い光に包まれた作業員や護衛の兵士の行動は明らかにおかしかった。
もはや生き物のそれとは思えない、何かの操り人形か……もしくは機械か。
行動は不気味なほど規則的で、そして柔らかさを欠いていた。
彼ら連合軍はすでにある程度赤く染まった者たちがとる行動の
法則性やあの柱の正体か……もしくは機能か。
そういったものを掴めているのだろうか?
この件についてもしっかり聞いておくべきだね。
「じゃあ、もう一つ質問してもいいかな?」
「もちろんです。続けて」
快く許してくれた彼に、僕は二つ目の質問をする。
「ありがとう。じゃあ単純な話だけどあの赤く光るものたちがとる行動の
特徴や法則性、あとは正常な状態に戻す手段についての研究について」
僕はあそこで彼らを殺さなかった。自衛のための最低限の反撃はしても、
重傷を負わせるようなことはしていない。それはなぜかと言われれば
あの状態から回復できる手段がどこかにあるかもしれないことと、
たとえそれがなくとも研究のため生きた状態でサンプルを
捕獲する必要性を考えたから。
元は正常だったものたちを研究材料として使うというのは僕も気が引けるけど、
でも治療法を探すなら実験のための材料が必要になるよね。
連合、王国ともにこれを知っているのならすでにそういった試みは
どこかで始まっているはず。なら貴重なサンプル確保の
機会を破壊するのは避けるべきだ。
治療法が見つかったなら見つかったでその場合でも彼らを
保護して治してあげなければいけない。
……本当にひどい話だよ。
「ふむ、では失礼して。こちらの資料とともに説明いたしましょう」
右側の彼は咳払いをすると、椅子から立ち上がりあらかじめ用意されていた
資料を部屋の奥の壁に広げて貼り付ける。
「まず、人間、ゴブリン、フェルツェ、そしてあなたの種族である
ワイバーンをはじめ3つの飛行種族、スピニアまで、我々の今までの
調査ではおおよそすべての種族があの光の影響を受けることが判明しています。
そして、光の影響を受けた者たちは共通して光の影響下にないすべての生物を
攻撃しようとする。しかし、その行動にはあなたが見た通り奇妙な点が多く、
単純に敵意や攻撃性に基づいたものとは考えにくい」
そうだね、彼の言う通り、そして僕の考える通り赤く光るものたちがそ
うでないものを襲うのは攻撃性、敵意、怒りや防衛本能によるものには見えない。
そして、今の話の中にあるもう一つ重要なところは
どの種族でもあの光の影響を受けるということ。
「うん。実際に相手をしてみてそれは感じたね」
「我々はすでに王国との協働のもと研究用のサンプルの確保と行動の法則性に関する
調査を進めていますが、治療法に関しては依然一切の成果は得られていません。
ただ、少なくとも現状ではこちらにあるような特徴が見受けられます」
次に彼の持つ指示棒が指したのは赤く光るものたちの取る行動の起点と
条件ごとの反応を図表に起こしたもの。
「まず、赤い光の影響を受けた者たちはそうでない生物のすべてを攻撃対象とし、
なおかつその攻撃優先順位の最上位には言語を解するいわゆる知的種族が置かれ、
その次にそうではない多くの野生生物、最下位は虫や小動物などが来ると
判明しています。さらに、この者たちは視覚情報によってのみ攻撃対象の
存在を検知し、視界内に攻撃対象が存在する場合常に一定の速度で接近し、
手に持った武器か素手、人型種族でもフェルツェであれば爪を使うことがあり、
飛行種族では爪と牙、そして尻尾を使うこともある。――ここまではいいですね?」
なるほど。まあここまでの情報は僕が見たものとおおよそ一致する。
「うん、続けてくれるかな」
「結構。ここからが重要な部分になります。まず、この者たちがとる攻撃
動作はそれぞれの個体が元々戦闘技術などに関してどのような知識や
経験があったかを問わず、人間、ゴブリン、グリフォン、スピニアなどと
種族ごとにあらかじめ決められていたかのようにまったく同じものになることも
判明しています。こういった部分を考慮する限り、この発光現象と
異常行動は人為的な、明確な設計意図を持ったものである可能性が
高いといえるでしょう。……さて、最後にこの現象の
他地域での発見事例やその場所、時期についてお話ししましょう」
そう言いながら彼が指示棒で円を描き示したのは、地図にあるこのグラジス大陸の
ほぼ全域――調査できない共和国領を除く――だ。
第二の文明の遺跡の分布図の上に通常の地図を重ねた構造のそれには
赤い点で今回僕が見た"あれ"の発見地点が記され、
その右肩には観測された日時も添えられている。
「この現象は我々の知る限りグラジス大陸のどの地域でも観測されており、
おそらく共和国領でも同様であると思われます。そして、それらの発生日時は
最も古いもので2か月前、発生間隔は直近の1週間だけで
それ以前と比較し4倍にまで増加している」
淡々と説明してくれる彼だけど、その声色に対し表情は硬かった。
それはそうだろうね、彼らの立場からすれば頭痛の種どころではない。
「そして最後に、この現象が観測された地点ではすべてあなたが見たあの柱のような
遺物が見つかっているということを付け加えておきましょう。
――ここまでの情報を考慮に入れると、やはりあの柱状の遺物は何らかの
兵器として設計された可能性が高いと我々は見ています。
当然、断定はできませんが。さて、他に質問はありますか? セルンさん」
……はぁ。赤い光に包まれ異常行動をとる、何だろう……ある種の
精神汚染波動……とでも表現すればいいのかな? そういったものを
発する柱が世界中どこにでも埋まっている可能性があり、運悪く
柱が作動するときに近くにいれば光る彼らの仲間入り……。
まだあくまで状況証拠とパターンからの推測にすぎないにせよ、
本当に頭が痛くなる話だ。正直今はこれ以上聞きたくはない。
「うーん、そうだね……ひとまず今はいいよ。
情報を整理する時間が僕にも必要だから……
じゃあ、そちらからの通達事項を聞こうかな」
僕は軽く翼を広げ、姿勢を再度整えてから彼らにそう伝える。
「では私から。さて、単刀直入に言わせていただきますと、
今回あなたが発掘キャンプで見た一切の内容はこの件について
公式な発表が行われるまで口外しないでいただきたい。この一点のみです
もっとも、あなたなら言われずともそうするでしょうが」
まあ答えは予想どおり、か。
彼の言う通り、僕だってそれは理解している。
これに関しては一切問題はないね。
「うん。それに関しては全く問題ないよ」
「ご協力感謝いたします」
右側の彼が僕と合意を得たのを確認して、次に話したのはもう片方の彼。
名前に関して特に気にもしていなかったけど、軍服に書かれた名前を見る限り
彼はマティス・ガードナというんだね。
「うむ、私からも一つ伝えておこう。当基地に所属する捜索救難隊が
君を救助したのち、我々も即応部隊を動かし発掘キャンプの調査を行った。
これに併せ発光するものたちの回収と例の柱の撤去も完了している。
そのため君は光にやられてしまった彼らの安否と柱の脅威に関しては
心配する必要はない。そして、今後の発掘調査に関し、かならず
人員の派遣前に遠隔操作式の機械人形による初期調査を行うことも
各都市の科学議会に提案済みだ。なので、君は回復次第安心して
当基地を発ってもらって構わない。以上だ」
……はぁ、手際がいいね本当に。
でも、確かに彼の言葉は僕を安心させてくれた。
あの柱……あれを作ったものたちはいったいどんな目的で?
第二の文明は一つの旗のもとに統一されていて、分離運動などに関する
記録や痕跡も見つかっていない。第一の文明も情報は少ないけれど
同じ文明同士で争ったとは考えにくいとされている。
……謎が深まるばかりだよ。
そして、右側の彼……えぇと、ランダルというのかな。
彼が説明してくれた直近での件の現象、柱状の遺物の発見事例の急激な増加。
とても不穏だ。
もしかしたら、僕たちの世代、第四の文明である
今の時代にも終わりが近づいているのかも。
確かに現在の4996年という時期は先駆者たちが刻んできた
4万、2万、そして1万という時代が移り変わるごとに半減する
文明の"寿命"と容易に結び付けられる。
――夜空に浮かぶ月でさえそうだ。第一の文明の時代、月は4つあった。
発見された第二の文明の記録の中には3つの月が写された絵がある。
そして第三の文明の記録には月が2つ。
今の僕たちの頭上に浮かぶ月は一つだけ。
あくまで終末論の一種でしかなかった"サイクル"がついに
現実となりつつある……? 嫌でもそう思わされてしまう。
はたして3つの先駆者たちを滅ぼしてきた何かは緩やかに
姿を現すものなのか。それとも突然現れ、すべてを奪っていくものなのか。
各地には大破壊と戦争の痕跡が残っている。
それは力で抵抗できるものなのか。
先駆者たちはその時代の末期において間違いなく何かを恐れていた。
今までみんなただの根拠のない飛躍した理論だと目を背けていたけど……
第一、第二、第三とみな滅んできたんだ。
だから今度は僕たちが消え去る番なのかも……。
はぁ……。
[終末論: サイクル]
旧文明に関する様々な研究結果、記録から一部ではそれぞれの文明は決められた寿命を持ち、
寿命を使い果たした文明は死を迎えることが決定づけられているとする説は王国、連合の
どちらでも一定の支持を得ている。これは結晶化した旧時代のマナの劣化度に基づく年代測定
で推定された各文明のおおよその存続期間が第一の文明の4万年
(現在から約75000年前に誕生し、それから4万年にわたって続いた)
第二の文明は2万年、第三の文明は1万年であることや文明の世代を跨ぐごとに
数を減らしてゆく夜空の月の数など、明確なある種の不吉な秒読み、
または終末時計ともいえるような法則性が存在していることに起因している。
コメント:
この世界の夜空に見える月は現在1つだけですが、太古の記録、
つまり第一の文明が残した記録では4つの月について説明されており、
今残っている白い月のほか、火星のようなオレンジ色をした月、緑と青の大地を持つ
美しい姿の楽園の月、そして無機質で規則的な模様を持ち、そのパターンのところどころから
明るい光が漏れる機械の月の4つとなっています。
4つの月の詳細について本文中で触れるか不明なので一応ここに書いておきます。
なお、サイクルについては第1話で盛大にネタバレしているというかなんというか……。
そういうものなので気にしていません。




