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存続限界点: 朽ち行く世界と翼ある探検家 / Hard Limit: Decaying Reality and the Winged Explorer  作者: 核分裂断片
000 鉄と砂漠と: 砂に埋もれた記憶たち / Sand and Steel: Buried Memories of the Badlands
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#001F 科学議会へ / Call of Science

最近どうも調子が悪くてですね……。

途中まで書いてたものを一度消して書き直したのであまり進んでいません。


1パート3000文字ちょっとでしかも2週間近くかかってたらいつまでたっても進まないよ。

飛び立ったアシャーの後を追い、僕もタワーへと飛ぶ。

距離もほとんどないから彼と翼を並べるまでは十秒もかからなかった。


「アシャー、僕も一緒に行くよ。道中で聞いておきたいこともあるからね」


「まあ、好きにしてくれ。それで聞きたいこととは?」


彼はこちらを一瞬だけ脇目に捉えてまた前へと向き直る。


「そうだね、まずは議会の方の反応は良好かが気になるかな」


「良好……というよりはかなり興奮していたと聞いている。

科学者らしいというかなんというかだ」


なるほど……アシャーの呆れた口調からしてこれは相当らしいね。


「ははは、それは期待できそうだ。さて、もう一つ聞きたいことなんだけど――」


「報酬の件か?」


次の質問をしようとしたところをアシャーは遮ってきた。

せっかちな奴だね、まったく。


「いやまあそれも気になりはするけど、僕が今聞きたいのは砂岩の傷跡の

調査の件と今回の僕の発見で研究資源の競合が起こらないか、かな」


実際、大きな合同調査計画が目の前に迫っている状況なんだから、

僕としては物流ステーション イプシロンの調査を今進めると

労働力が足りなくなるんじゃないかと少し心配している。


その辺りはえらい奴らが調整はするんだろうけどね、

この二つを並行させるとなると当初の予定よりも多くの

労働力を王国側やほかのアーコロジーから

回してもらうようなことになりそうだし気になるんだ。


見つかったものは間違いなくみんなにとって価値のあるものだから、

資源不足で後回しになってそれに手が届くのがずっと後に

なってしまったら残念じゃないか。


……難しいことだよね。これも本来手に負えない速度で

新たな発見が続いている今の状況が悪いのは確かで、

やりたいことが多すぎるというのも困りものだ。


「それは俺も気になるが、おそらく心配はいらないだろう。

王国側からは相当な規模の調査チームが派遣されるから、

手の空いている人員だけでも不安定な表層部分の爆破はこなせる。

内部もお前が安全を確認済みなんだろう? なら問題はないはずだ」


――長々と難しく考えてしまう僕と違いアシャーの言葉は簡潔だね。


でも、彼の言っていることは正しい。

僕が余計なことを考えすぎているだけなんだ。


本来こんなのは一個体で考えるような話じゃないんだから

当たり前じゃないか。


「うん、それもそうだね、ありがとう」


僕がそう返すと、アシャーは一瞬だけこちらを振り向く。

彼のその顔は少しだけ微笑んでいるようにも見えた。


はぁ……誰かと編隊を組んだのは久しぶりだな。

いつも単独行動だから。


……とにかく後はタワーについてからだね。先を急ごう。


====


アシャーとともに金属でできた

青い空と明かりの消えない町の狭間を飛ぶこと3分ほど。


彼の速度に合わせていたから少し遅かったけど

目的地であるアークタワーはもう目の前だ。


タワーに着いたら昇降機で地下5階まで降りて、

さらにそこからトラムに乗っていけば中央省庁複合施設に行ける。


……トラムか。人間にとっては便利な移動手段だけど、

僕たちの場合は飛んだ方が早いというのは少し奇妙な感覚だよ。


彼と一緒に地上に降りたら正面入口へ。

普段用があるのは大抵上層階だからここを使うことはあまりないかな。


タワーの中に入るとそこには大きな空間が広がっていて、

ここで働く大勢の研究者や技術者、そして保安要員たちが

せわしなくあちこちの通路や部屋を出入りし、行き来している。


見るからに忙しそうで少しまいってしまうよ。

……僕は完全に部外者だというのに。


――そんな景色に圧されて吹き抜けの上階を見ながら

立ち止まっていたところ、すぐ後ろから声がかかる。


「よし、俺はここまでだ。こっちもまだ仕事がある。

議場でうまくやれるよう祈っているぞ、セルン」


「うん、君の方も元気でね、アシャー」


アシャーは到着して早々うんざりしたような、

でも少し穏やかな声で話し、僕がお別れを言うと手を振る代わりに

左翼を少し広げてから去っていった。


グリフォンもドラゴンも4つの脚で歩くからこういう動作は

翼の方で表現することが多い。やっぱり少し不思議な感覚だ。


僕たちも翼を振ることはよくあるけど、

感覚としては多分人間が手を振るのと似たようなものなんだよ。

まあ二足歩行か四足歩行かの違いだろうね。


……おっと、こんなこと考えている場合じゃなかった。

えぇ、まずは地下に降りないとだから目指すは昇降機だ。


建物に入って左右の壁に4つずつ取り付けられた機械式の扉がそれだね。

使うのはどちらでもいいけど、僕はなんとなく右側を選んだ。


扉のそばのボタンを押してしばらく待っていればかごが降りてくるはず。


そして少し待っていると扉が開いた。

……二つ隣の扉が。


ははは、なんか変な気持ちになるよね、こういう時。


一応人間以外の種族が使うことも想定して大きめに作られた

かごの中に入ったら地下5階行きのボタンを押してまたしばらく待って……

僕が降りてきたのは各タワーと中央省庁複合施設を結ぶ地下輸送網の駅だ。


わざわざ何でここからトラムに乗らないといけないのか

気になるかもしれないけどね? 防衛上の理由から中央省庁複合施設には

地上入り口が無いんだって。


トラムが通るトンネルは何十枚もの隔壁で封鎖できるようになっていて、

防衛部隊が利用できる展開式のバリケードや武器、

消耗品の補給箱なんかもあるらしいんだ。


こういうところでも連合の都市の設計は独特だよ。


さて、駅の様子は地上と同様に忙しそうな様子で、

僕が降りてきた時にちょうど左側にとまっていたトラムからは

大勢の乗客が降車して昇降機で自分の持ち場へ向かっている。

待てないのか階段を使っている者の姿もあるね。


僕も何かと階段を使いがちだけど、

本来飛行種族にとって階段はかなり使いづらい。


スロープが整備されている建物が少ないのはやっぱり連合と

王国で違うところだと感じるよ。


で、僕が乗るべきなのは昇降機を降りて右側に来るトラムだ。

また少し待たないと。


正直やることもないからぼうっと立っていると、

トンネルの奥から吹いてくる風を感じた。


トラムの車体がトンネル内の空気を押しのけてできる風だ。


それとほぼ同時に到着を知らせるベルが鳴り、

周りにいるほかの利用客も乗車に備えて動き始める。


はぁ。

地上を走る自走機械――自動車の上にとまっているのは

嫌いじゃないんだけど、地下鉄道はどうしても好きになれないんだ。


トンネルの中なんて最低限の明かりしかないし、

車内の空気は停滞して、そしてそもそも狭い。


密閉された飛行装具越しでもそう感じるんだから相当だと思うよ。

普段狭苦しい第二の文明の施設に潜っているというのに、

ここまで苦手なのは笑えるね。


まあいいや。

トラムに乗り込んだら、後はまた待機するだけ。


そのまま1分ほどするとついに目的地である

中央省庁複合施設の基部にたどり着いた。


アークタワーのトラム駅とは比べ物にならないほど広大な地下空間。

常に何両ものトラムが行き来して、それに伴い大勢が出入りする。


上階へ続く階段や昇降機の周辺には何体もの

搭乗式戦闘ゴーレムが立っていて、常に不審な動きに警戒している。


すべての統治機能がここに集約されているんだから

当たり前とはいえなんとも物々しい場所だ。




――まだ完全に静止していないトラムの中から窓越しに

そんな光景を眺めていると、小さな揺れとともにトラムは停車し、扉が開いた。


よし、降りたら後は上を目指そう。


ただ、この建物に入るのは初めてでね……どこに顔を出せばいいのか

実は知らないんだ。


多分そういうのはアシャーがくれた書類に書いてあるだろうし、

一度1階まで上がったら確認しようかな。


ひとまずは無数にある昇降機のうちの一つを使って地上1階まで上がる。

ここのはアークタワーのものよりも広々としていて

窮屈さをそれほど感じなかった。


で、ここが1階だね。


昇降機から降りた先は広大な吹き抜け。

中央のとてつもなく大きな柱を取り囲むようにして

各階層の床が配置されたような空間だ。


確か他のアーコロジーだと巨大な天蓋を支えるための支柱が

都市の中央にあるという話だし、この柱も本来はそうだったのかな?


でも、この建物は実際には天蓋の底面までは届いていないし、

建設当時に設計変更でもあったのか、

それとも何か理由があって元からこうなのか。

少し興味を惹かれるところだよ。


まあ、それはいいんだ。

昇降機のすぐ前から移動して邪魔にならないところまでよけたら、

アシャーがくれた書類を取り出して目を通してみる。


……ふむ。

内容は典型的な召喚状だけど、一応施設の案内も添えられているね。

僕が行くべき場所は……地下1階の議場か。


一つ下の階ならもう階段で降りてしまおうかな。


こういう建物の場合大抵は昇降機の近くに階段があるはず。

そして予想通りに乗り場の方を見るとすぐ見つかった。


金属製の重い扉を開いて進み、嬉しいことに

しっかり整備してあったスロープを歩いて僕は下の階へ。


ここまでくれば多分議場はすぐ先だ。

少し緊張するな……。


[一般知識: 都市国家連合の成り立ち]


バーゼル都市国家連合は、グラジス大陸北東部に広がる広大な乾燥地帯に点在する

複数の完全自給自足型都市(アーコロジー)間の緊密な貿易協定が発展して

現在の連合という形に至ったものである。


当時の協定交渉の場では各アーコロジーからの代表者が集結し、それぞれが拠出する

最も余剰が発生しやすい資源の確認や調整が行われ、

全体の利益と安定の追求を最優先として最終案が決定された。


有事の際の防衛、共同交戦体制も同様である。


連合のアーコロジーは高度な密閉型居住施設ということもあり、統治者の多くは

都市の機能や技術的背景そのものに関する幅広い知識を持っており、ほとんどの場合

対外関係を担当する商人のグループと内政を担当する科学者のグループとの

二つによって統治されるのも特徴と言えるだろう。


[交通機関: 地下鉄道]


連合では、各アーコロジーを結ぶ地下トンネル内に敷かれたレールを走る"列車"による

移動手段が提供されている。列車、鉄道という技術そのものは王国側でも中枢地域に限り

一般的なものであるが、連合の場合鉄道路線がすべて地下に建設されている点で異なる。


全てのトンネルは軍事攻撃を想定して地下500メルハ (約400m)以上の深度に建設されており、

これにより敵対勢力との交戦中であってもアーコロジー間で物資の交換や人員輸送が可能となり

経済面だけでなく防衛面でも大きな効果を発揮することが可能である。


コメント:


物語序盤の舞台が連合領なせいでジャンル設定の割にファンタジー感が薄いのは否めないですね。

というかどの国も割と現代より進んだ技術を持っていることが多いです。


例えば連合の装甲車両は単なる鋼鉄ではなく外側から


1. アルミニウム

(二層構造の空間装甲。薄い外装で軽微な衝撃が下のセラミック系装甲に伝わるのを防ぐ)


2. 炭化ホウ素

(硬い素材で砲弾を砕き、高速弾の浸徹を防ぐ)


3. ベータチタニウム

(ある程度柔軟な素材で構造強度を確保)


4. 超高分子樹脂素材

(UHMWPEと同様の性質で衝撃吸収)


5. ケブラーに似た防弾繊維

(破片などの飛散防止)


というような構造の複合装甲ですし、主砲は当然コイルガンです。


アナログコンピューターしかない世界でこういった先進素材が作れるのも

魔術工学の貢献が大きいということ。それと旧文明のリバースエンジニアリング。


2026-08-09: 装甲レイヤーについて少し修正。

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