表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/30

#001B 出撃不能期間: その2 / Away from Sortie: Part 2

ようやくMod開発の方が落ち着いたので文章に集中できそうです。

でも疲れているので今回は短いです。

というか区切るのに適した位置の関係で短いです。

その後僕は、今回の調査に関する報告書をまとめるために

しばらくの間自分の部屋にこもることになった。


あの施設――物流ステーション イプシロンで見たものと、

それらが第二の文明の研究にどう貢献するか。

どのようなものが回収できるか、回収チームを送る際に障害になるものは何か。

不安定な開口部を爆破してでも内部の調査を進めることの必要性……。


そういった考察だけではなく、現地で記録しておいた構造図や

倉庫目録の内容も提出する書類にすべて書き写しておかないといけない。

かなりの作業量だよ。


でも、後回しにしていても仕方が無いからね。

報告が遅れれば遅れるほど今進められている砂岩の傷跡調査計画との

すり合わせも難しくなるし、今ここで済ませるべきだ。




そして最終的に、すべての資料をまとめるのにかかった時間は二日。

まさか手持ちの用紙が足りなくなるとは思わなかったな……。

それに、ペンのインクも空っぽだよ。また補充しておかないと。


でもまああとは書類をまとめて探検家ギルド経由で

科学議会に送ってもらえば面倒ごとは終わり。


議場に呼ばれるかもしれないけど、それまではのんびりできるね。


========


ABSOLUTE TIME: +74996 191 06:30:00.000


件の施設の探索を終えて3日目。

借りている部屋の簡素な寝床で僕は目を覚ました。

あぁ……今は朝……でいいんだよね?


アーコロジーの昼夜の流れにはどうも慣れないよ。


閉め切った部屋のカーテンの隙間から差し込んでくる光は

特に明るくも暗くも無いから、ここの住人ではない僕では

時計を見ないと時間が分からない。


……で、その時計を見てみると今は6時半か。


もう少し休んでいてもいいけど、

せっかくだし今日は町をうろついてみようかな。

それか、外の空気を吸いに行くのもいいね。


起き上がったら、部屋の床に乱雑にばら撒かれた

荷物をまとめて部屋を出て、下の階に降りる。


時間が早いからかロビーにほかの宿泊客はいなかった。

居るのはこの宿を仕切っている彼だけ。


ワイバーンが宿屋の経営をしているなんてなかなかないことだよ、本当に。

連合領は人型種族ばかりだと思っていたけど、

いざここで過ごしてみると意外と同胞や他の飛行種族の姿もあることがわかる。


実際に見てみるというのは大事なことだと、そう感じるね。

まあもちろんアーコロジーごとに違いはあると思う。


……さて、考えてばかりいないで出発しようか。


店主に軽く挨拶をしたら、

飛行種族向けに大きなハンドルが付いた扉を開いて外へ出る。

もっとも、これを外と言っていいのかは僕にはわからないけれど。


宿を出た僕の視界に広がるのは、ごくありふれたアーコロジーの街並み。


大通りをいくつもの自走機械が行き交い、

大勢の人型種族もまた思い思いの場所へと歩いてゆき、

上を見上げればそこにはまやかしの青い空が広がり、

その下を澱んではいれど清浄な空気が満たす。


そして、いつの日も常に薄暗い空の下に

きらびやかな夜景が広がる――そんな光景だ。


同じ人間の国なのに、王国と連合、そして共和国の文化と

生活様式は全くと言っていいほど違う。


文明の成り立ちによってここまで大きな差ができるというのは

とても興味深いことだと僕は思うね。


まあ、でも今は特にやることも無いから、

町の中を少し飛び回ったら……そうだね、

傭兵ギルドでちょっとした仕事でもないか見てみようか。


周りには誰もいないね? よし、出発だ。


すぐそばに障害物がないことを確認したら、

その場で大きく羽ばたいて空へと飛びあがる。

交通量が多いと離陸時の羽ばたきで誰かにぶつからないかいつも心配になるよ。




――ある程度高度が稼げてきたら、

一度水平飛行に移って周囲を見回してみる。


今いるのはちょうど中心街の東側でどちらかと言えば

東居住区寄りの場所だから……この辺りで面白そうな場所と言ったら何だろう?

いざ街に出てみると意外と思いつかないものだね……。


うん、何か見つけるまではしばらく飛んでいようか。


ひとまずは中心街の方向へ旋回して、地上の様子を見下ろしながら

連合特有の高層建築の合間を渡り、時折すれ違う翼のある者たちと

あいさつを交わしながら僕は町のあちこちを回る。


今更だけど、このアーコロジーには大きく分けて6つの区画があってね。

まずは町の外から来た旅行者や傭兵、探検家の類が一番よく利用する商業区。


商業区は基本的に個で店を経営する者や工匠のための区画で、

日用品から本格的な戦闘用装備、

魔工製品に至るまで大抵のものはそろう場所だ。


次は産業区で、アーコロジーに必要な食料の生産や地下坑道で

採れた鉱物の精製と加工を行う最も重要な区画。


3つ目は居住区。……まあその名の通りかな。


4つ目は交易特区で、これは個の取引商よりは大企業の、

それも都市や国家間の取引に関する施設が集まる場所だね。


5つ目が行政区。研究機関と行政施設が集まる統治の中心。

僕の場合何かと用事の多い場所だ。


そして6つ目は地下採掘抗。ここは鉱山の労働者以外は

入れないから僕は行ったことが無いけど、

連合ではどのアーコロジーにも似たような施設があって、

外部からの輸入に頼らない完全自給自足を維持するうえで

農場と同じく重要な場所なんだ。


で、これらの中でギルドの支部があるのは商業区。


僕がこの町で物資を補充したり、装備の調達をするのも商業区。

……宿があるのも商業区。


考えてみると、この町で用のある場所と言ったら

商業区と行政区だけなのか……。


まあ、別におかしなことではないんだろうけど、

少し勿体ない気もするね。


――おっと、もう傭兵ギルドは目の前じゃないか。

降りられる場所は……あの辺かな?


通りの中で邪魔にならない場所を探して着陸し、

そのまま歩いてギルドの支部へ入る。


うん、中は相変わらずだね。時間帯のせいもあるだろうけど。


公開依頼はほとんど出ていなくて、待合室の方も空いている。

とりあえずは職員に何かいい仕事が無いか聞いてみようか。


「やあ、僕が受けられる仕事は何かあるかな? 危険なものでも構わないよ」


鋼鉄でできた会員証を窓口の職員に渡してどんな依頼があるか調べてもらう。


……傭兵ギルドに登録してそれなりに長いけど、

探検家が本業で傭兵仕事はほとんどやらないせいで

僕はまだランク3なんだよね……。


これだとあまりおいしい仕事は取れないわけで、

だからと言って選り好みしていたらいつまでたっても昇進できない。


――心の中で愚痴りながら少し待っていると、

いくつかの書類を持って職員が戻ってきた。


「お待たせしました。えー、セルンさんの場合ですと、

現在このような依頼が利用可能ですね。ご確認いただいて、

お決まりでしたらまたお呼びくださいね」


彼はその書類――ファイルにまとめられた依頼書と

関連資料を窓口に並べて僕に差しだした。


「ありがとう、見てみるよ」


ふむ。依頼の概要を見る限りだとやっぱり護衛任務が多いね。

まあ詳しいことは向こうで目を通そうか。


渡された書類を受け取って、一度待合室の適当な開いている席へ場所を移す。

……人間用の椅子は座れないことはないけどやっぱり違和感があるね。

これなら立ったままの方がいいや。


ふーむ……。

輸送車両の護衛に関するものがあるけど……ん?

中身を読んだ感じ、どちらかと言えば進路上の

先行偵察といった方がいいのかな?


確かに、共和国による妨害工作の件があったしそれを

警戒するところが出てくるのも無理はないか。

新聞にも大きく載っていたしね。


普段使っている輸送路に地雷が埋まっているかもしれない

となると確かに物騒な話だよ。


他の依頼はどうだろう?


次のファイルの内容はというと……おお、これは珍しいね。

連合防衛軍からの依頼だ。


脅威度は僕が受けられるものの中ではかなり高い方だけど、

報酬もなかなかいい。

詳しく読んでみようか。


ふむ? 偵察機が発見した強盗団の隠れ家の調査と制圧、ね。


……そうか、軍も今は例の合同調査絡みで戦力を割けないんだ。

それに、資料を見てみると場所も町からかなり遠い。

この感じだと王国側から来る少数、軽装の旅行者狙いといったところかなぁ。


標的の数は不明で、隠れ家の内部構造も当然不明。


連合の機動歩兵隊なら楽に制圧できる程度ではあっても

小規模な傭兵団じゃあ確かにこれは厳しいね。

でも、暇つぶしにはちょうどいいよ。これでいこうか。


机の上に広げていたほかの書類を片付けて、窓口へ戻る。


「この依頼を受けさせてもらうよ。3812番」


僕がファイルを窓口に差しだして声をかけると

すぐにギルドの職員が奥から戻ってきた。


戻ってきたんだけど……どうして君はそんなにニヤニヤしているのかな?


「ああ、こちらですね――いやすみません、

セルンさんならこれを選ぶんじゃないかと思ってまして……」


……まったく。

そう話す彼の言っている意味はまあ分かるんだけどね。


この手の危険な依頼はなかなか請け負うやつが現れず、

放置されて、最終的に取り下げになるのが常だから。


「報酬もいいし、僕にとってはそれほど危険でもないからね。

じゃあ、ファイルの方はもらっていくよ。あ、それと一つ。

証明の方は撮像機を使えばいいのかな?」


「そうですね、こちらをお持ちください。

あー、一応ギルドの備品ですので、無くしたり

壊したりだけはしないようにお願いします……」


「分かったよ、じゃあ行ってくる」


そう言いながら僕は追加で出された書類に署名をして、

撮像機と書類を受け取ってギルドの支部を出た。

久しぶりの傭兵仕事、いい気分転換になればいいけどね。


[兵科: 機動歩兵]


連合戦略防衛軍における地上戦の主力である戦闘ゴーレム部隊。

遠隔操作式である王国製のゴーレムとは異なり搭乗式であり、

使用者が直接危険にさらされるという問題はあるものの、

遠隔操作とは異なり制御信号の距離制限を受けず、

高密度のマナによる信号攪乱も無視することが可能である。


通常は思念追従インターフェースと呼ばれる未解明の

魔術指令を呼び出すことで使用者の体の動きをゴーレムの駆動系への指令として

変換するという方式で操縦が行われ、機体の規模に合わせて設計された多様な武器により

戦闘を行うことが可能。また、操縦席には気密性があるため有害な環境や

比較的低深度の水中でも活動することが可能となっている。


コメント:


連合戦略防衛軍が地上戦で非常に強い理由が大体この機動歩兵の存在によるもの。

重装甲、高火力で機動力にも優れているのでどうやっても市街戦になる

アーコロジー内での戦闘は侵攻側には驚くほど不利です。


[傭兵ギルドの階級制度]


傭兵ギルドには訓練生や試用期間に当たる"ランク無し"を除いて5つのランクが存在し、

それぞれは一般的に次のように解釈される:


ランク1: 試用期間を終えて正式に会員となった新米傭兵。

ランク2: 標準的な公開依頼の遂行により低脅威度の任務を請け負えることを証明した見習い傭兵。

ランク3: 安定した実績により一般依頼の利用を認められた一人前の傭兵。

ランク4: 多様な任務への適正を示し、十分な経験と実績を積んだ熟練傭兵。

ランク5: 高脅威度の任務においても確実かつ安定した成果を保証できる精鋭傭兵。


なお、会員証にはランクごとに異なる素材が用いられている。


R0: 樫の木材 / Oak

R1: 錫 / Tin

R2: 鉄 / Iron

R3: 鋼鉄 / Steel

R4: ニッケルモリブデン鋼 / Alloy

R5: 呪列鋼 / Runic Steel


コメント:


ルーンを利用した特殊素材以外にもわりと冶金技術は進んでいるので

いろんな合金が幅広い用途で使用されていたりします。

魔術工学の比重が小さい連合では特に素の性能に優れた素材は重要視され、他にも

クロムバナジウム鋼やタングステンレニウム合金などもすでに実用化されていたり。

炭化ケイ素とかも少数ではありますが使われています。


そのほか:


世界情勢に関する補足。

現在、連合、王国共に大規模な国家プロジェクトを抱えているため正規軍の人手不足が起こっており、傭兵の需要がかなり高まっています。金はあるが人がいない、そんなところでしょうか。


連合の場合は最近の遺構発見の多発や本編中でも話題に出た合同調査計画への対応で、王国の場合は中枢地域の防備増強と戦力の配置転換に新通貨の導入検討やら、何をするにしても輸送路の安全確保や治安対策が必要なので辺境地域に回せる戦力が枯渇しているのが現状。という状況になっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ