#001A 出撃不能期間: その1 / Away from Sortie: Part 1
遅くて短くて話が進まない! 最悪すぎる。
もっとテンポよく進められたらいいんですけどね。
会話を含むパートが自分の中でも書き方が安定しなくて気持ち悪くて仕方ないです。
以前に単発で書いたサンプルシーンを読み返すとある程度人物の動作や感情を表現しつつ長ったらしくないように書けていたりするんですがなんでこう今新しく書くとこんなにも無駄が多いのか……。
カリアたちに任務の報告を終えて、僕は今ひと時の自由時間を過ごしている。
と言っても、誰かから仕事を受けていない時の僕は常に自由だけどね。
でも、今回の場合は少し事情が違うんだ。
なにせ装備が損傷してしまって、
修理が終わるまで本格的な探索は再開できないから。
まあ、いい機会かもしれない。
あの地下施設――物流ステーション イプシロンでの戦闘……。
規則正しく整然とした通路と部屋の中にある防御砲塔という
あまりに単純だけど、同時に対処が困難な脅威。
僕が消耗品の使用を渋ったための自業自得とはいえ、
もし反応が遅れていたらまず間違いなく死んでいたね。
……それに、あの時の痛み。
翼に弾を受けたとき……僕は心の中で何かが砕けたような感覚を覚えた。
今まで危険な第二の文明の施設を探索していて弾丸や光線を
受けたことは何度かある。でも、今回ほど強く最悪の事態を
意識したことなんて一度もなかったんだ。
思い出すと寒気がする。もしあの時翼を失っていたなら…………
そんなことは考えたくもないのに、何度も記憶から思考の中にあふれ出てくる。
ただ死ぬだけならまだいいよ。でも、空を奪われて、
残りの一生を地面に縛られて朽ちていくのは絶対に嫌だ!
世の中には機械の翼なんてものもあるけど、
そんなもの本物の代わりにはならない!
失ったら……二度と取り戻せないんだ。
息苦しい、めまいがする……呼吸を整えないと。
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はぁ……もうこんな場所か。
ようやく気分が安定してきてそこでふと周りを見てみると、
どうやら僕はすでにアークタワーから遠く離れ、中心街の外を飛んでるらしい。
悪いことばかり考えすぎて前が見えていなかったんだね。
さて、これからどうしよう? 装備の修理が終わるまで
次の探索には出られないし、この町で傭兵の仕事でも受けていようかな?
傭兵ギルドに出入りしていればケーリムから返事が来た時にも
すぐにギルド側から知らせが届くだろうしね。
それに、ほとんどの傭兵向けの依頼は第二の文明の施設へ
潜るのに比べれば呆れかえるほどに平和だ。
護衛任務の類だと車両や馬車、もしくは似たような
動物が引く車の屋根にでも止まってのんびりできる。
気分を変えるのにはうってつけだと思う。
……まあ、殺伐とした仕事なのは変わらないけども。
そうやっていろいろ考えた結果、最終的にとりあえずは
この町で宿を借りてしばらくの間過ごすことに決めた。
宿屋なんて久しぶりだなぁ。あまり街に長居することが無いから、
僕はめったに宿に泊まらないんだよね。
人間とは違ってワイバーンは外で寝泊まりするのにも困らないし余計にだよ。
まあとにかく、借りた部屋で荷物を下ろして、
提出する報告書を書いて、その後余った時間で傭兵の仕事でも探そうか。
えっと、今僕が飛んでいるのは東商業区の少し南――たしか居住区の一つかな?
物を売る仕事についている者たちは大通りに沿った区域で
営業しているけど、そうでないものは基本的にそこから離れた場所に住む。
これがこのアーコロジーの都市設計の基本らしいよ。
よし、場所も分かったし宿を探そう。
この手の施設は大抵旅行者がすぐに利用できるよう
町の門に近い場所にあるから、結局行くのはいつもの場所だね。
……北と南にも同様の区域はあるのに、なんで僕はそっちにはいかないんだか。
高度を下げつつ僕は東門前で部屋に空きがある宿屋を探す。
満室のところは光る看板でそう書いてくれているからわかりやすくて助かるね。
これも王国領ではあまり見かけない類の配慮だと思う。
――大通りが描く直線に沿って視線を動かして、
看板に"No Vacancy" の文字が浮かんでいないところを探すこと十数秒。
どこも満室かと思って一度北側へ回ろうかとしていたところで
やっと空きのある店を見つけることができた。
門からはかなり遠いところにある店だけど、
空を飛べる僕には関係ないね。そういうことであそこに泊まろう。
行き先が決まったら、あとはこの町特有の動かない空気に乗って降下するだけ。
通行の妨げにならないように誰もいない場所を選んで
店の近くに着地して、相変わらず重たい金属製の扉を……ん?
この扉、流光の居住区で見かけたワイバーン用の扉と設計が似てるね?
足で掴んで開けやすいようにハンドルがかなり大きく作られているし、
大きさと高さは間違いなく僕たちの体格に合わせたものだ。
気になるけどまあまずは部屋を借りようか。
せっかくなので足でハンドルを掴んで扉を開いて中へ入る。
――そこで待ち受けていたのは、何とも珍しいワイバーンの店主だった。
都会暮らしだからか体の色は僕と同じ灰色。
いや、こういう仕事をしている同胞は
実際かなり珍しいよ。得意分野から外れるわけだから。
それにしても、町の門から妙に遠いところにあるのは
飛行種族が利用することを見越してのものだったんだね。
実際、ロビーでくつろいでいるのは僕と同じワイバーンと、
連合では珍しくはないけどロカウルに限れば珍しいグリフォンたち。
そして1匹だけいる小柄なドラゴン。
……なんか、少し安心するな、こういうところ。
コロニーで暮らしていた時代を思い出すよ。
ははは、ロカウルにもこんな場所があったなんてねぇ。
今まで気づいていなかったのが不思議なくらいだ。
「やあ、2週間ほど部屋を借りたいんだ」
気を取り直して店主に声をかける。
「セルンさんだ……すごい、初めて見た――あ、失礼。
お泊りですね。えー2週間、14日ですと54,000クレジットになります」
彼が僕の名前を呼ぶと、他の客も一瞬視線をこちらへ向けた。
それに、少しのざわめきも聞こえる。
「……はい。金額は間違っていないかな?」
僕がクレジット札を割すと
店主は翼の指で器用にクレジット札を数えはじめ――
「5万と……4000クレジット。確かに。えっと、こちらが部屋の鍵
になりますのでごゆっくりどうぞ。部屋は302号室、
3階の廊下の手前から2番目にあります」
間違いないことを確認したら僕に部屋の鍵を持ってきてくれた。
飛行種族用の少し大きな鍵だ。色々と言いたいことはあるけど、
まあいいや。鍵を受け取って、早く自分の部屋で荷物を下ろそう。
うーん。飛行種族ばかりで落ち着くかと思ったんだけど、逆だったね……。
これもあることないこと噂にする輩のせいだ。
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僕の部屋は302号室。階段を上って3階へ上がり、言われた通りの場所を探す。
別に探すのが難しいなんてことはないよ。
部屋番号は扉に大きく書かれているし、そもそもロビーがある
1階以外はこの真っすぐな廊下と客室しかないからね。
もらった鍵で錠を外してから、ワイバーンの足で掴みやすいように
大きく作られたドアハンドルを捻り、部屋の中へ。
――ふむ。内装は流光の住居と似ているかな?
飛行種族には家具はほとんど必要ないから最低限で、
翼を広げても窮屈にならない広々とした間取りだ。
ああ、そういえば廊下も広めだったし階段の脇には
スロープもあったね。なかなかいい配慮をしてくれていて感心するよ。
たださすがにドラゴンたちにとっては狭いかもしれないけど。
――そんなことより久しぶりにゆっくりできる。これが一番大事だよ。
部屋に入ったら扉を閉め、ついでに窓のカーテンも閉める。
ずっと背負ったままだったLs.122の動作選択用ダイヤルを"SAFE"に合わせて
壁に立てかけたら……そうだね、すこし他の回収品について考えてみようかな。
実はレーザーライフル以外にも持って帰ってきたものがいくつかあってね。
しばらくは特に用事がない今はいい機会だし、荷物整理もかねて詳しく調べてみよう。
装備ラックに格納しておいた回収品を一度床に広げて
あらためてじっくり観察してみる。
こういうのは本来僕の領分ではないんだけど、
最近はある程度分かるようになってきた。
よし、じゃあ最初に遺物の見た目について評価してみようか。
ライフルの他に持って帰ってきた二つの遺物の内片方は、
小型の円形盾のような見た目をしているね。
もう一つはなんというか……ノコギリの持ち手部分だけ
取り外してきたような形だった。
次に見るのは目録に登録されていた名前。
これはつまり第二の文明での正式な名称。
手帳を取り出して確認してみる。
ふむふむ、一つ目は "Sl.924 Directed Defensive Screen Projector"
……向けられた、防御、幕、投射器?
まあ意味は後で考えるとして二つ目も見てみよう。
それで二つ目は "Pl.14 Industrial Magnetoplasma Cutter"
えー、工業用、磁気ぷらずま? 切断機……?
いくつか聞きなれない単語はあるけど、
まあ察しは付く範囲と言っていいレベルだと思う。
じゃあ、さっそく予想してみようか。
一つ目はおそらく防壁発生装置の類だと思う。
盾のような形状からして設置型じゃなくて
手で持って構えるものじゃないかな。
少なくとも攻撃用じゃないと思う。なにせDefensiveとあったし、
ScreenとProjectorともあるなら身を守るための幕を
作り出すものと解釈することもできるしね。
Directedに関しては……そうだね、特定の方向へ向けられた、
と考えると、もしかしたら一方向だけを防御するタイプの防壁装置?
これなら形状的な部分とも噛みあうし、予想としては悪くないんじゃない?
で、もう一つの方だけど、こっちはわかりやすいね。
Plasmaという単語の意味はいまいちわからないけど、
一応無理やり記憶と結びつけるなら確か高温の爆発を起こすような
遺物の外装にそんな名前を見たことがある気がする。
――待って、確か灼陽はそのタイプの遺物だったはず。
外装を見てみようか、何か印字がされているかもしれない。
装備ラックから投げると超高温の爆発を起こす遺物の一つである灼陽を
取り出して、手に取ってよく観察してみる。
……あっ! これだ、小さく刻印がある。
灼陽の外装に刻まれていた文字は "Plasma Grenade - Pl.73"
ここにPlasmaという文字があるなら、もしかすると
熱で物体を焼き切るための工具かもしれないね。
もしそうなら近接武器のように使うことができるかも!
いやぁ、なかなか期待が持てるね。
まあ、ここで試すわけにはいかないから、
答え合わせをするのはまた町から離れるときかな。
よし。早いところ報告書を書いて議会に提出して、
今後のことに備えようか。
もしかしたら議場への出席を求められるかもしれないけど、
それも終わればようやく本当に自由な時間になる。
張り切っていこう。




