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婚約破棄されても、想いは消えない。
繰り返す。
繰り返される。
最後に貴方の口から出た言葉。
今も私の脳内では繰り返し響いている。
「もう君を愛せない」
それが彼が私に対して放った言葉。
そして婚約破棄を告げる意味でもあった。
私は心から彼を愛していたけれど、悲しいことに、その想いが実ることはなかった。
彼と見つめあった過去。
彼と笑いあえた過去。
何もかもすべて、遠い過去という海に沈んでいってしまった。
私たちはきっともう出会わない。共に歩むことはできないし、共に生きることもできないのだ。全部壊れた、全部終わってしまった。
でも想いは消えない。
私は婚約破棄を受け入れた。
けれどもそれで今までの感情を消せるかというとそういうわけではなくて。
きっと……私はこれからもずっとこの想いを抱えて生きてゆく。
婚約破棄されても、想いは消えない。
◆終わり◆