私は最強のスイッチを持っている。~理不尽な婚約破棄には……こう!~
「君のような女性には興味はない! よって、婚約は破棄とする!」
とあるティーパーティーにて、婚約者ブルックニンはそう宣言してきた。
言いきってから勝ち誇ったようにふふんと鼻を鳴らして笑うブルックニン。
見ていて呆れてしまう。
どうしてそんなに自慢げなのか。
婚約破棄したほうが偉い、とでも思っているのだろうか。
だとしたらそれは勘違いだ。
婚約破棄に上と下もない。
そもそも、本来ならそういうことにならないようにするべきなのだから。
「もとより君のことは嫌いだったんだ。プライドが高いからな。女ならせめてちょっとくらい媚びを売れよ、それが当たり前だろう」
まぁいい。
私には最強のスイッチがあるのだ、何も怖くはない。
「そうですか、分かりました」
「可愛げねー美人はクソだな」
何とでも言っていればいい。
「……でもよろしいのですか?」
私はそのスイッチを取り出して見せる。
「私には最強のスイッチがあるのですよ」
「は? 何言って……」
「貴方が意地でも婚約破棄を通すなら、このスイッチを押すことになります」
「脅しかよ! はっ、馬鹿だな。怖くねーよ」
彼はこの私のスイッチの力を知らない。
だからそんなことが言える。
「では婚約破棄は撤回しないのですね」
「ああ! 婚約は破棄、だ!」
周囲にはティーパーティー参加者の女性たちがいる。そこで私がこのスイッチを押すということは、つまり、ブルックニンが女性らの目の前で恥ずかしいことになるということ。勝ち誇った顔でいられるのもあと少しだけ。もうじき彼は笑われ者になるのだ。
「では……」
躊躇いはしない。
「こうしますね!」
ぽちっ。
私はスイッチを押した。
するとどうしたことかブルックニンの身体が輝き始める。彼はあっという間に虹色のキラキラに囲まれた。ざわめき注目する女性たち。その次の瞬間、ブルックニンはパンツ一丁になっていた。着ていたパンツ以外の服はすべてどこかへいってしまった、消えてしまった。
「きゃああ! 脱衣!」
「露出狂!!」
「急に脱ぐとか……ないわー、キモ……」
次々にあがる悲鳴。
一方当人はというと状況を呑み込めていない。
きょとんとした顔で下半身の一部以外のすべての肌を晒している。
「何が起きたの!? キモ!?」
「あれは酷い……」
「男のぽろりとかサイテー」
「なぜにパンツだけ残したし……」
心ない言葉がブルックニンに刺さり続ける。
でも自業自得。
私にスイッチを押させたのは彼だ。
私とて、罪なき者に罰を与えるようなことはしない。
「早く服着なさいよっ!! 変態!! 出ていって!!」
「趣味ヤベー」
「見られて喜んでそうよね……」
ぼろくそ言われたブルックニンは、顔を真っ赤にしていたのだが、それからさらに少しすると泣き出してしまった。
その後、私はブルックニンとは別れ、別の男性と結婚して幸せを掴んだ。
◆終わり◆




