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上級の者 と 下級の者 2



「でーーーあるからして、我々商業組合グインズ支部は多大な損害を受けまして、その補填が、支援物資を始めとするあらゆる物が現在高騰してしまっている現状です。 そんな中、コンザー騎士団長が率いる月光騎士団が物資の高等する金額よりも更に多い値段で提供を推してきました」


 ふーーん、これがその商業組合の件って奴か。

 意外にも普通だな。


 物資枯渇に伴い、騎士団が物資を提供すると言ってるらしい。

 餓えに苦しむ民為、早急に対応すると。

 話しを聞くだけなら何の問題もない、むしろ素晴らしい事だとは思うが。

 商業組合としては大手を振るい喜べる物ではなかった。


 物資は提供する、だが売るのは組合。

 組合に自分達の用意した物を買わせ、それをみんなに売れという物らしい。


 物資の内容も教えず、高額で売り付け、あとは全てお任せしましたということらしい。


「なんだか、色々大変ですね」


「そうですね、支部組合長も騎士団の申し出に悩む続けているのです」


 久しぶりに見るローズのおっさん擬態。

 口調もそれに合わせてめちゃくちゃ気持ち悪い。

 

 物資が少なく、食うのに困っている人達は多くいる。

 ただその物資を無料で提供する訳にもいかず、現状物資の数の関係上定価で売るわけにもいかずと。


 神災が起きれば色々大変なのはわかっているが、商人達も商人達でただ売って儲けるというわけにはいかないらしい。


 逆神を手に入れたエレウンドでもきっと同じ様な事が起きていたんだろうなきっと。


 なんて考えていたらこの会合に御一行様が現れた。



「やあやあ、商業組合の諸君おはよう。返事があまりに遅いからこちらから出向いてやったぞ」


 大勢の騎士を連れ現れた。こいつがコンザーとか言う奴か。

 細見で強そうには見えない、ただ高価そうな鎧が自分の地位が高い事を見せつけてるのが良くわかる。


「コンザー様、申し訳ありません。ただ今話し合いの真っ最中でして・・・」


「何を話し合うと言うのだ。君達が早く決断しなくては苦しむのは民達だ」


 まあその通りではあるな。けれどそう思うなら騎士団の方でさっさと配給でも何でもすればいいと思うんだがね。

 そうしない理由があるのか、それともただの資金稼ぎか。


「わかっております、出来るだけ早めの返答をさせて頂きたいと思います」


「頼むよ、私も忙しい身なんでね」


 忙しいか。

 何をしに来たんだか、これじゃあただの嫌がらせか。案外それが目的なのかもしれんな。


「何が忙しいだ、こっちに厄介事ばかり押しつけやがって」


「爵位だけあるボンボンが」


「神災の時真っ先に逃げたって話だぜあいつ」


 酷い言われ様だな、商人達の蔭口が聞こえる。

 とは言え俺もコンザーとか言う奴はどうも今まで出会ってきたムカつく奴とは違う感情が芽生える。意外に親近感だったりして。


「そうだそうだ、忘れていた。『氷凛玉座』とやらを知っているかい?」


「は? い、いえ存じ上げまえん」


 そうか、と。言い残しボンボン様はお帰りになられた。

 氷凛玉座? なんだかキナ臭い名前が出てきたな。


 そして本当に何しに来たんだと言われながら帰って行った。


 それからという物、組合の話し合いが始まっていた。

 ボンボンの提供を飲むか、飲まないか。それだけだ。


 飲まないにしても、今の状況を組合としてどう対処するのかを考えなくてはならないと。

 つい欠伸を出してしまうほどに退屈な物だった。


「んじゃあ」


「あ、待って下さい私も行きます」


 組合の会合から抜ける。

 特に止める者居ない、ローズは仕事上仕方なく残る。

 擬態中でも苦い顔をしていたのが、なんだか愉悦を感じた。ざまあみろ。


「それでどうしましょうか」


「どうするって?」


「え?」


「え?」



 まさかこいつ俺が物語の主人公みたく、よし!俺に任せなさい!

 なんて事を期待してるんじゃないだろうな。


 流石に無いか。


「そうだな、あのコンザーとか言う奴に直接聞いてみれたら最高だけどな」


「そう・・・ですね」


 一番早いのは恐らくそれだ。

 脅迫まがいな事でも何でも良いから「なんで神災を事前に知っていたんだ」って言えればいいんだがな。



「でもそれが意外に早いのかもしれませんね」


 とんでもない事に納得し始めたよこいつ。

 仮にそうと決めたら何をするんだよ、あのボンボンの弱みでも握ればいいって?

 それとも正義者みたく妨害でもして近付くって感じか?


「まあやることないし、いいか」


 どうせ俺達奴隷は後手に回るんだ。

 だったらとことん食い下がって見るのも、悪くない・・・か?






「お兄ちゃん、神災さんを倒してくれたお兄ちゃんなの?」


「ん?」



 少年に絡まれた。

 あまりに小さくて目の前に居た事に気が付かなかった。

 一人かと思ったら、二人だった。男の子と女の子。兄妹か?

 女の子の方は怖がって兄の後ろからこちらの様子を伺ってる。


「僕? それって誰から聞いたの?」


「え? みんな言ってるよ?? 灰色の長いお洋服着たお兄ちゃんと同じ紺色のお洋服着たお姉ちゃんが、神災さんを倒したって」


 みんな、か。

 言われてみればそうか、誰かがあの戦いを見ていたとしても不思議じゃないか。

 噂は簡単に広がるって言うし。それをどう受け止めるのか捻じ曲げるのかはその人次第ってことか。


「違う・・・の?」


「ん~~~、どうだろうな。嘘では無いとは思うけど」


 ぶっちゃけトドメを刺したのは俺じゃなくてイノシシだけど。

 妹にそんなうるうるとした顔で見られると本当に困るな。


「ふふふ、そうですよ。この人がディザスター、神災さんを倒したんですよ?」


「本当!?」


 このビッチは一体何を吹き込んでるんだ。

 間違いで下手に幻滅されるのは面倒だろうに。


 そして兄妹はその言葉を信じたのか、俺達のローブ裾を握り出す。


「お母さんがね? 神災さんを倒した人達が居ればきっとご飯も食べられるのにな。って言ってたの」


「だから、みんなを助けてお兄ちゃん」


 んんんんん????なんでそうなるの????


 住民の食事事情なんて俺には全く関係ないのだがぁー?


「やっぱり違うの??」


 だからそんな顔で見ないでくれ。

 兄妹はそうだと言うまで俺達の裾を離さない気だな・・・。

 

 いいだろう、ガキだからって容赦しねぇからな・・・。


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