学ぶモノ と 多忙 2
「なんだか酷い有様だな」
俺達は研究所・・・いや元研究所と言っていい。第一声通りここは蛻の殻だ。
神災のせいじゃない、完全に証拠隠滅。退去した後、そんな感じだ。
まあ研究所に誰一人警備も居なかった時点で嫌な予感はしていた。
「どうしましょうか」
「何か忘れ物がないかだけでも見る」
望みは薄そうだが、折角来たんだ。何かしらの情報があればいいかな。
そんな軽い気持ちで研究所の中を探索する。
一番に来たのは、あの奴隷達が居た場所だ。
「燃やされてる・・・本当に証拠隠滅って所か」
「私の予想なのですが、恐らくあの神災の時にこれをやったのでは無いでしょうか? 騎士団に正義者、あの二つの勢力しか参加していなかったように思えますから」
それは考えていた。どうして研究所の人間達は動かなかったのか。
確かに正義者の襲撃や俺がここの奴隷を処分したから動けなかったという理由は納得いく。
だが俺達がこの部屋に入った際のあの罠、別空間で戦ったモンスター達がまだ居たはずだ。
なのに自分達の役目である神災時には手を出さない所か顔すら出していなかったように思える。
では何をしていたかというと、ミミナの言うように逃げる準備。まさに夜逃げって奴だ。
「それにしても、綺麗さっぱり何もありませんね」
「そうだな、まるで準備だけはしておいたみたいな感じだな」
奴隷の焼却もそうだ。
あらかじめ決めていたかのように。
もしかして、こうなる事を知っていた? 予測していた?
正義者が襲って来て、同時に神災も起きるって?
「ははは・・・まさかな」
「まさかですよ、流石に」
「あん?」
「ええ」
ムカつく笑顔を受けべてやがる。
俺と考えてる事が同じで喜んでやがる。腹立つな。
結局その後は何も無かった。
資料という資料も無ければメモ書きの一つも見つからなかった。
情報。
探索している最中、ミミナからの進言があった。
それは以前ここへ一緒に来た人間から聞けないかということだ。
つまり頭を下げろ。情報を分けてくださいと。
・ ・ ・
「無理です」
「くそ野郎」
ほらな、結局ぱっつん野郎の屋敷に足を運んだのは無駄骨だった。
グインズの中でも少し離れている場所に建ててあったからか意外に損傷は少ないこの屋敷を街と同じようにしてやろうか。
「あなた達には感謝はしていますが。それとこれとは話しが違います、あれは私達正義者の同志達が共に血を流し、汗を流し」
「あぁーいい、いい。もうそうゆうの良いから」
話してるだけで疲れる。取れない疲れに追加するような真似をして馬鹿みたいだ。
無駄骨ならまだいいってやつか・・・溜め息しか出ねぇ。
「ファイ・・・お嬢様、お客様です。商業組合の方だと」
「彼等には今朝断りを入れたはず、追い返して」
「ですがその・・・」
商業組合? そういえば何か騒がしかったな。
魔法士団の団長様も大変ですねー。
「わかったわ、あなた達は帰るのかしら?」
「どうしよっっっっかなぁああ~~~」
何か言われた通りにするのも癪だから反発しておいた。
この部屋は風通しもいいし、街を徘徊するよりは快適だ。家主さえ居なければ何も言うこと無いが。
「そうですか、ではどうぞごゆっくり」
ツンとして出ていくぱっつんに礼儀良くお辞儀をして出ていくメイドお母さん。
さてと。
俺は立ち上がる。
「あの・・・やっぱり」
「そらそうだろう、物色するに決まってる」
ここにあるかどうかはわからないが、嫌がらせを含めて手当たり次第荒らしてやる。
「で、でしたらその・・・レーグ様は、ファインさんの方を見ておいて頂けませんか? 見張りは大事だと思いますが。私の方で探しておきますので」
あぁん? 一理あるがそれじゃあ俺が嫌がらせ出来ない。
こいつ俺のやりたい事わかって言ってるのか?
さささ、と俺は部屋を追い出された。
少しはストレス解消できるもんだと思ったけど、まあ仕方ないか。
見張りは必要だしな。
正直納得はしてない中、俺は玄関へと向かう。
想像では荒々しい声が聞こえるもんだと思ったが、意外にも普通の空気だった。
「はい、団長のおっしゃる通り。これは上級騎士団が手引きしたようです。今回の件全てが裏で動いていたようです」
上位騎士? 裏で動いてる?
今回の件だぁ?
「撤収を指示したのも彼等。今回の商業組合の件も?」
「はい、諜報部からの情報です」
良くわからんが、神災を何とか凌ぎましためでたしめでたしという訳にはいかないみたいだな。
神災を利用して私服を肥やす。
そんな言葉が頭に浮かんだ。もしかして何が起こってるか知らないが、その言葉通りの事が起きてるって感じか?
今朝騒がしくしていたのは、その商業組合の方々ってことなのか。
いずれにしてもこのその上級騎士団様が何かしててみんなが困ってる。
あまり有力な情報ではなさそうだ。
来客は恐らくぱっつんと同じ正義者であり魔法士団の人間で、今は業務連絡で来訪したって所だろうな。
「では、後ほど」
報告を終えた部下が屋敷から出ていく。
ぱっつんはその場で口に手を当て何かを考えてるようだ。
ふむ、とりあえずは見張りの役割として帰るか。
何かあの部屋にあればいいが、どうだろうか・・・。
「こ、これが・・・水増しパットという奴ですか・・・!? 冗談混じりの伝説だと思ってました」
「何してんだお前」




