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結託 に 錯覚 後編


「うおぉぉおぉおー!!」


ギギィィイ!!


 市街は大混戦だった、次々とモンスターが現れては逃げ遅れた人間次々と襲い、それを騎士団や警備団体が追う形になっており全てが後手になっている。


「東門の状況は?」


「8割近い避難民の誘導は完了しておりますが、東門の警備が手薄で」


「迎撃部隊には私とユリスと数名で行います、他は全員東門へ」


 了解と、意気込み即座に行動を開始する。


 敵はまだ西門反対側の東門に住民を避難している事に気が付いていない。

 とにかく本能的に目に付いた人間に襲いかかっている現状だ。

 武器を持つ物がおとりとなり上手く敵を誘導すれば何とかなりそうではあるが。


「ねぇ、これいつまで続くの?」


「私が聞きたいわよ・・・」


 ディザスターを倒すか、ただ時間の経過を待てば終わる。

 倒す、そんな戦力はもうない。

 経過、いつまで待てばいいんだ。


 聖天騎士団だけで無くこの惨状に関わった者全て思っている事だった。


「隊長! フォルト隊長!! 西門が! 西門が!」


 それは絶望しかない状況で一つの朗報だった。

 いつまで戦えばいいか、その答えだった。


「西門のモンスター達が・・・全部死んだ?」


「正確には・・・ほぼ壊滅でした」


 レーグが滅ぼした西門の大群。

 その情報がユリス達聖天騎士団の耳にも入った。


 伝令を伝えた団員も信じられないという顔をしていた。

 あれだけ戦っていたモンスター達がほぼ壊滅なんて、自分が得することであっても信じられないのだ。


「多分、あの人・・・あの旅人さん」


「ユリス、あの人を見たの?」


 ユリスは首を横に振った。見てはいない、けれどフォルトも納得のいく答えだ。

 あの旅人、レーグがやったとなると開いた口も塞がってしまった。

 

 希望が見えてきた。

 ディザスターをあのレーグが倒す可能性が出てきた。

 ならばやることは決まっていた。


「みんなに伝えて、さっきの情報と・・・掃討作戦に移行するって」


「了解しました!」



 避難民の防衛はもちろんの事、まだ避難していない人達を一人でも多く救わないといけない。

 モンスターを討伐しながら民を守る。


 それさえ出来れば・・・。


 ある意味でフォルトの願いは叶った。

 それでもやはり、彼女の思惑とレーグの思惑は噛み合わないのであった。





・   ・   ・





「くっそ! 何処にいやがんだよ!」


「レーグ様、騎士団達も掃討戦に移行してようです、西門の事が知らされたようです」



 くそ、それは全く嬉しくない情報だな。

 こっちはまだディザスターを見つけてない。何かの間違いでディザスターを倒されたら堪ったもんじゃない。


 とにかく早く見つけないといけない。


「ちっ、なんでこうも無駄に忙しいんだよ」


 街にいるモンスターも当然見たことあるような奴ばかり、でも見逃していいものなのか迷ってしまっている。

 俺の知っている情報が一切当てにならない相手だからだ。巨体じゃないし一体だけじゃないしで、当然ミミナもあまり当てに出来ない。


 こうしてる間にも二体目のディザスターが他の奴と戦ってると泣きたくなるくらいに焦る。


「あのー・・・」


「なんだ!? 何かあったか」


「えっと、周辺のモンスターを操るのがそのディザスターですよね? でしたら・・・ある程度街の中心にいるのではないでしょうか・・・?」



 何を言い出すかと思えばこいつは・・・。




(それだぁぁぁあああ!!!)



 そうだよな。誰だよ、あぶれた奴だとか言った奴。


 俺だよくそっ!


 ビッチの言う通りだ。もしまだディザスターが健在・・・神災が終わってないって事は当然健在なんだが。

 まだまだピンピンしていて街のモンスター共を操ってると考えるのが妥当。ミミナに気付かされたのが少し癪だが四の五の言ってる場合じゃない。


「中央ら辺って何処だ」


「それはやっぱり・・・『中央広場』じゃないですかね」



 すぐさま向かう、誰が何と言おうと。ミミナに案内されながらもさっさと行く。


 中央広場って何処だ? 多分一回だけ行ったことあると思ったり思わなかったりで曖昧だ。

 行けば思い出すだろうけど、広場って言うくらいだから結構広いのか。 モンスターだらけで身を隠されたりしたら面倒だし、もしモンスターが大量に居て他の奴らと衝突なんてしたら更に面倒だ。


 

 あぁーもう、ぐだぐだ考えてないで足を動かすぞ。








・   ・   ・








「なんじゃごりゃ・・・」


 俺達を待ち受けていた中央広場はとんでもない事になっていた。


「正義の名の下に我ら正義者よ!進め!」


「聖天騎士団! 踏ん張り所だ!」


 ぱっつんに隊長さんに・・・イノシシ!?

 なんだこの三つ巴・・・いや四つ巴!

 なんで丁度良く全員が同じ場所に集まってるんだよ。東側にはイノシシ陣営、北側にはぱっつん陣営。


 俺にとってはこれが一番の神災なんですが。どいつもこいつもやる気満々なんだけど。

 どうなってるんだよ。


 そして全員の目の前には、モンスターの群れ?束?団子? 隙間なんて見えないレベルでぎっしりとモンスターがおしくらまんじゅう状態の光景が広がっている。

 梃子でも動かんと言わんばかりに全てが密着状態だった。



ヌフフフ、フゥウゥウー!!!



「なんだ?」


 気持ち悪い鳴き声、ゴブリンやそこらのモンスターの声じゃない。

 俺は知ってる、ディザスター特有の薄気味悪い声だ。


 ディザスターの声が響いた瞬間、モンスター共が奇妙な動きを見せた。

 動きを止めその場で震え、小さくうめき声を上げていた。


「警戒! 下手に手を出すな!」


 俺陣営以外は様子見を決め込もうとしている。

 なら今の内にさっさと終わらせてやる。


「ソード!!!」


 右手に巨大なソードを形成させ一気に振りかぶる。

 俺はそっと目を閉じた。この一撃で終われる。

 後は二陣営好きにしてく・・・。


「っ!?」


 振り被ろうとした瞬間、何かに俺のソードを受け止められた。

 目を見開いた。

 何だこれ、モンスター共が合体して腕を作った?

 腕なのか触手なのかわからんが、俺は右手を振り下ろそうと力を入れるも全く動かない。


 馬鹿力。モンスター全部の力を集約させたとでも言うのか。

 次第に広場の中心、恐らくディザスターがいるであろう場所にモンスターが次々と吸い込まれるように集まり、巨大な球体。

 モンスター共の全集合体が出来ようとしていた。

 

「くそっ! アロー!」


 近接攻撃が駄目なら一体目にやった物と同じように吹き飛ばしてやる!


 くらえ!!!


 全力で魔力を注ぎ巨大なメイスを巨大な球体にぶち込む。

 避ける動作も魔法で障壁を作る素振りもない。

 このまま直撃して今度こそ終わりだ。


グチュブッ・・・!!!


「え・・・」


 巨大な球体に俺の作ったメイスが・・・吸い込まれた。

 異様な音と共に俺の放った攻撃をスポンジが水を吸うようにあっさりと。

 俺の全力攻撃が効かない。こんな事今までなかったぞ。

 おい、逆神様の力はどうしたんだよ。


「なんてことだ・・・」


「まさかあれが、ディザスター?」


 ヤバい。

 流石に他の連中も気が付き出した。


 騎士団も正義者も、この場にいる全員の急に顔色が変わり始めた。今目の前にいるのがディザスターなら・・・倒せばこの神災は終わる。

 早くこの悪夢から抜け出したい。今自分達の目の前にいるこの巨大な球体をどうにか出来れば、戦いは終わるのだと。


「うおぉおぉぉおお!!!」


「倒せぇえええええ!!!」


 一斉攻撃が始まる。

 騎士団は剣を振るい、正義者達は魔法を放ち、一致団結してディザスターに総攻撃をかける。


 彼の勢いは凄い物だった。その気迫は凄まじい物だった。

 というかこいつ等ついさっきまでお互いを殴り合ってた中じゃなかったのかよ。何仲良くなって俺の邪魔しようとしてんの!?


(ヤバい・・・俺の攻撃が効かない、今のでもう大丈夫かな? いやいやどうなんだ、全然OKラインがわからない)


 一度でも攻撃が通ればなんて話を聞いたり聞かなかったり、それが実際に本当かどうかも怪しいし、何より攻撃が通ったかも定かじゃないのに。

 

 必死にローズの言葉を思い出す。

 信用できなくてもあれが唯一の情報源なだけに頼るしかない。


「あれはまだだね~」


「はっ!? お前いつの間に」


 ローズが俺の横でしゃがんで告げた。

 まだってつまり攻撃出来てないってことか。こいつなんでわかるんだよ。

 どうせ聞いたって教えてくれないだろうけど。


「ほらほら、早くしないと討伐されちゃうよ?」


 とは言っても、冷静に考えれば最悪こっちは一体のディザスターを倒してるからここで無理をする必要はないと・・・。


「弱気だね~、あれもしかして撃破ボーナス知らなかったのかい?」


 撃破・・・ボーナス?

 おいおいおいふざけんな、ここにきて新しい用語を俺にぶつけるな。

 その言葉通りだと確実にそれ、倒したら手に入る物ってことだよな。


「いつぞやの寄生ディザスターを倒した時に手に入れたと聞いて、君も気が付いたと思っていたんだがね」


 俺が手に入れた・・・って、まさかあれか。

 鋼のつる。ワイヤーを撃ち込める奴か。


 あれが撃破した時のボーナスってか?


「実際に詳しくはわかんないんだけどね~。ボーナスが出たり出なかったり、条件が有るのか無いのか。ボーナス自体の法則性があるのか」


 くそ、またか。また曖昧な答えでこいつは本当にもう。

 じゃあ何か、俺は他の奴よりももっと大変になるってことかよ。

 ディザスターを自分自身倒す必要もあるのか。

 そうなると一気に話しが変わってくるぞ。


「どうしますかレーグ様、今の所苦戦を強いてるようですが」


 ミミナの言う通り、正義者も騎士団も目の前の球体に苦戦していた。

 自分達の攻撃が通ってるのかどうかすらわからない。

 剣で斬り付けても一向に動きが変わらない。魔法で燃やしても全く傷が付いてるようにも見えない。


「ぐあぁああ・・・!!」


「惜しむな! 攻撃を続けろ!!」


 俺の攻撃を掴んだ攻撃と同じように球体から腕のような触手が伸び攻撃も仕掛けてきている。

 振るわれた攻撃の一撃は重く、一回で数人を軽がるく吹き飛ばしている。

 両陣営も突破口が見い出せないでいる現状。

 そんな中俺とミミナと・・・気付いたらローズ居ないし。


 悩んでる俺達二人の前に、まさかの人間達が来た。


「やっぱり、居た」


 そしてフードを深く被ったぱっつんも来ていた。


「あの・・・いつぞやの旅人さんでしょうか?」


 そうか、服をローブに変えたからわからないのか。いやでもイノシシが来たって事はやっぱ根っこの部分は変わってないって奴か。本当に死んでくれないかなコイツ。


「何か用か、お前達。こう見えて忙しいんだが」


「あなたのお力が必要です。ご助力を」


 こいつ、俺が奴隷だと知っててそんな事言ってるのか。

 大した奴だな、何の手も借りたいなんて聞いたことあるが。奴隷の手でも借りたいなんて言葉は聞いた事ない。


「やはり、あれを倒す方法があるんですね!」


 藁にも縋る思いとはこのことなのだろう。隊長さんの期待に満ちた顔でめっちゃ見てくる。

 そんな表情を浮かべた所で無い物はない。というかあるなら俺が教えてほしいくらいだ。


「ユリスも頭下げてほら!」


「んっ・・・お願いします」


 二人で頭を下げられる。イノシシに関してはどうでもいいような感じがひしひしと伝わるんだが。

 ぱっつんは最初の言葉を言ってから両手を組んで俺を見るだけだ。本当に上から目線というか、偉そうで間違ってません感が鼻に付くな。


「レーグ様、ここは彼女達の力を利用するのが良いかと。最終的にレーグ様が倒されるのであれば、助力や盾変わりは有ってもよいかと」


 聞こえないように耳打ちで俺に語る。

 こいつが協力的なのは、この戦いの後の事を提案してから思っていたが。本当に何でもありだな。盾って・・・。


 いやまぁ考え方によっちゃ上手くいけばここにいる奴ら全員を葬れるか・・・。


 そんな方法が思い付くほど頭が良くないのが本当に辛い。

 仮にそんな物が思い付いたとしても本来の目的のディザスター討伐が達成できなきゃ意味がない。

 でもとりあえずは、ミミナの言葉通り。盾としてやってもらうか。


「わかった、だが今は方法がわからない。それに何も出来なくても恨むなよ、だからそれまで頑張って」


 保険と承諾はして置いた。

 本当の本当の最悪なパターンはこれを倒せなくて撤退する事だ。

 倒せないなら出来る限り暴れて貰った方が有意義だ。そん時はディザスターを応援してここにいる奴ら全員ぶっ殺してやる。



「はい! ありがとうございます!!」



 こいつ等はどれだけ好き勝手に・・・。

 くそ、本当に腹正しいな都合のいい時だけ。


(はぁ・・・今は落ち着け。ここで腹を立てても仕方ない)


 とにかくこの馬鹿デカイ球体、なんだっけ双顔だかなんだかの・・・。


「あっ・・・」


 そういえば俺まだこいつの、一体目の素材の詳細見てなかった事に気が付いた。

 えーっと・・・ふむふむ。


 内容はかなり単純な物だった。

 他者を利用するディザスター。個体能力は他よりも圧倒的に弱いが、モンスターなどを利用して襲撃、自らの力の強化が主な能力。


 とすると、これもこのディザスターの能力か。それでディザスターの力事態は大したことがないか。

 まぁある意味、この素材となった奴も俺の奇襲攻撃の巻き添えで倒していたってくらいだから間違い無く強くはないのだろう。

 

 ただ面倒。今現状も大量のモンスターの殻に籠ってる。

 これをどうにかするには、とにかくあいつを引きづり出す必要がある。


 そしてその為に肉壁のモンスター達が邪魔。


「なぁ、お前達に聞きたいんだが。どうやってあの中心にいるであろうディザスターを引っ張りだせばいいと思う」


「引っ張り出す・・・ですか」


 ここは意地を張らずに相談してみたが、みな眉間に皺をよせて考える。イノシシは上を見て一応考えてるようだがいい案が出てくるとは思えない。期待はしないようにしよう。


「最初の一撃を簡単に止められた所を見るに、あの球体にくっ付いてる奴らを一匹一匹剥ぎ取るのはほぼ無理だ。だったら直接ディザスターを引っ張りだしでもしないと、勝機はないぞ」


「ディザスターが単体でこれを中で操ってる根拠はあるんですか?」


 本当にこのぱっつんいつか痛い目に合わせてやるからな。


「西門の軍勢をやったのは俺だ。そしてその中に一体目のディザスターが居た。 つまりこれは二体目。こいつの特性は他者依存の強い奴だこれで満足ですか?」


「に、二体ってまさか本当に言ってるの!?」


 この場にいる奴らが一斉に驚き出す。そりゃあ驚くよな、俺だって度肝抜けれたんだから。

 俺の証言に納得がいったのか、各自自分の考えに落とし込んでいた。恐らく今回の奇襲行動と今の球体の件、思い当たる節しかなかったのだろう。


 そんな事実確認はどうでもいい。

 それよりも、今この現状をどうにかしないと。


「なら、あなたが以前使ったあれは」


「あん?」


 つい他力本願のぱっつんにガンを飛ばしてしまった。

 あれってなんだ。

 こいつに見せた物って・・・あれか。



- 硬鋼のつる 装備 - 



「それで中心にいるディザスターを引っ張りだせば」


「馬鹿言うな、全部の攻撃吸い込まれてるんだぞ」


 俺のアローも全然効かなかったんだ、このワイヤーが届くとは思えない。


「えっと、あの・・・実物なら何とかなりそうですよ。団員が長槍を突き刺した所吸い込まれませんでした。逆に押し出されてしまいましたが」


 え? そうなの?

 実態物ならあるのか。確かにこのワイヤーは俺の主力の魔法攻撃とは真逆の存在だから移動手段以外には使えないと思ってた。

 そうかこいつを上手くディザスターを絡め取れればいけるか。


 だが、待て。俺は魔力である程度の身体強化を誤魔化してるが騎士団員達の筋力と比べると天と地の差があるぞ。

 余裕で弾き飛ばされる自信しかないぞ。


「では、私がどうにかして支えます」


 ミミナが一歩前に出て進言した。

 こいつが支えってまさかあれか。こいつと一番最初に出会った時のあれか。


 こいつの怪力なのか能力なのか未だによくわかってないやつでどうにかできるのか。


「私の主な魔法は『物体の吸引』とでも言った方がいいでしょうか。対象同士を引っ張り合うような力、そう思って頂ければ」


 吸引・・・なるほど物凄く納得いく答えありがとう。

 つまりは俺に抱き付いて全く離れなかったのは自分を俺と地面に吸い付かせていたってことか。通りでビクともしないわけだ。

 こいつから離れるにはこの大地事動かすくらいの腕力が必要ってことか。ふざけてるな。


「では我々騎士団は援護に回ります、恐らくこの作戦が実行されれば狙われてしまうでしょうから」


 そうだろうな。きっと俺もワイヤーをあれにぶち込むのに集中するだろうしあの球体からの攻撃を動かずに防ぎきることなんて出来ないだろうし。ミミナの言うように本当に盾変わりになってもらうしかない。


 ようやくディザスターを倒す手段が決まった。


(うわぁーやりたくねー・・・これ他の奴がしくじったら俺がディザスターの的じゃねーか) 


 敵のディザスターと同じじゃねーか。

 他者依存、こんなにも不安な事あるか? 俺はディザスターを引っ張りだすことに尽力するだけで良いなんて聞こえはいいが、他の事を他者に任せるってこんなにも辛いものなのか。


「よし! これならやれますよ!!」


「そうね、活路が見えたわ」


 これ以上ないやる気を出し始めた。

 本当に勘弁して欲しい、やる気を出されても俺の不安は一切消えないんだが。

 ミミナにヤバい時は即撤収を指示しておかないと。


「レーグ様、私頑張りますね」


 こいつ・・・!

 まさか公的に抱きつける事に喜びを感じてるんじゃあるまいな。それともまともな役割が与えられて喜んでるのか。

 どっちもくせぇ・・・。


 最悪こいつ心中とか考えてるんじゃーねーだろうな。

 ヤバい・・・一気に不安が込み上げてくる。今すぐにでもやめたい。

 やっぱ無しって言いたい。


「・・・ん?」


 イノシシと目が合った。

 変わってくれ、俺と役割をお前が変われ。俺は懸命に熱い視線を送る。

 そうしたらきっと何とかなる!

 何とかならなくてもお前がただ死ぬだけだからお願いだ!


「うん」


 うん、じゃねーよ! 何その頑張って守るからみたいな顔!

 お前が変わるんだよ!


 くそ、こんな状況ならまさかのイノシシ頼りになるのか。

 うわぁここに来て隊長さんの気持ちがすげぇわかる。このイノシシに頼るのがどれだけ無謀なのか、そして頼らざる負えないこの感情。





「それでは、作戦開始です」




 なんでぱっつんが先導切ってるんだ。




 うわぁああああああもうやだぁああああああ!!!!




 お腹痛い。


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