第22話 『解呪』
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舞台はクライマックスを迎えていた。
初めは噛み合わず、居丈高な野獣に、姫が怯えて逃げ回るような、ちぐはぐな二人だった。
しかし、魔女が繰り出す様々な試練を、共に乗り越えてきた姫と野獣は、時に笑い合い、時に反発し合いながらも、少しずつ互いを理解していった。
そんな二人に、魔女の使い魔が変じた、巨大な竜の影が、襲いかかる。
剣を手に、勇敢に戦う野獣と、それを祈るように見つめる姫。
しかし野獣は、巨大な竜の攻撃に、徐々に圧倒されていく。
そして、竜の口から、灼熱の業火が放たれる。
「姫!」
覆いかぶさるように、野獣が姫を庇う。
「ぐぁあああああ!」
苦悶の咆哮をあげ、倒れ伏す野獣。
そこに、とどめを刺さんとする竜の爪が、襲いかかる。
「もうやめてっ!止まりなさい!」
竜の目の前に躍り出て、両腕を広げて立ち塞がる姫。
「ここは、私の夢の中!だから、これ以上勝手なことは、させないわ!」
声を震わせながらも、力強く宣言する姫。
「あなたなんて、ちっとも怖くないんだから!」
野獣が落とした重たい剣を、両手で持ち上げ、振りかぶる。
「これ以上この人を傷付けることは、この私が許しません!」
そう言って、頭上に掲げた剣を、でたらめに振り下ろした。その瞬間――
ぽんっ
間抜けな音と煙とともに、竜の影は消え去り、黄色い目をキラキラと輝かせた黒猫だけが、スポットライトの中に残る。
「にゃあん」
可愛らしい鳴き声が上がったところで――
ぱちぱちぱち
場違いにも思える軽やかな拍手とともに、ライトの中に進み出る魔女。
「なかなかやるじゃないか、お姫様。それに王子も、ずいぶんと男ぶりを上げたようだね」
黒猫を抱き上げ、紫の石が輝く杖を、指揮棒のように一振り、二振り。すると――
シャララン
涼やかな音とともに、またたく間に野獣の鎧が、引き剥がされる。
人間の姿に戻った王子は、ゆっくりと起き上がり、あたりを見回す。
そして、驚きもあらわに見つめる姫を認めると、安堵のため息を吐いた。
「姫……無事で、よかった……」
その言葉を聞いた魔女は、高らかに笑い声を上げる。
そして、もう一度その魔法の杖を、振りかざした。
シャララン
今度は、姫が着ていた鈍色のドレスが、重たいカーテンを引くように、硬い蕾が開くように、取り払われた。
緞帳のような布の間から現れたのは、菫色の華やかなドレス。
「今のお前さんには、そっちの方がお似合いだね」
そう言ってもう一度、楽しそうな笑い声を上げると、魔女は煙とともに消え去った。
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