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第23話 『終幕』
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物語はお定まりのハッピーエンドを迎え、観客席からは万雷の拍手が降り注ぐ。
閉じた緞帳の前で、演者と裏方の別なく、演劇部員が並び、観客に向かって、揃って一礼する。
その一角で、下げた頭をゆっくりと上げながら、詩郎は明かりがついた観客席に、視線を走らせた。
(……いた)
大きなホールのなかでも、不思議と視線が吸い寄せられるように、前から5列目中央に陣取った、小柄な衣装係を見つける。
その顔は、あの太陽のように明るい満面の笑みを浮かべ、小さな手を大きく叩いている。
詩郎の物語に、最初に魔法をかけたのは、あの手だ。
それなのに今、彼女は魔法にかけられた観客の一人のような顔で、そこにいる。
それが何だかおかしくて、でもどこか彼女らしい気もして。
詩郎は誇らしげな笑みを浮かべ、部員たちとともに、舞台を後にしたのだった。
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