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文化祭の君  作者: 獅童最
side 駒野凜 『凜と花咲き、君思ふ』
37/43

第12話 『作戦その一、偵察』

 *****


「佐々木くん、仕様変更対応してくれるって!」

「そっか……よかったね」


 工作室から戻るなり、いつもと変わらない満面の笑みで凜が告げる。

 けれど詩郎は、先ほどまでのみなみとの会話のせいか、どことない圧を感じて、曖昧に頷く。


「それじゃあ私、いったん着替えてくるわ。このあと先輩たちが来たら、全体稽古だし」


 そうあっさりと告げてから、仮縫いのスカートをたくし上げ、みなみは部屋を出ていく。


 それを見送ったところで、凜はくるりと詩郎に向き直り、その大きな瞳で、じっと見つめた。


「みなみ姫、なんか言ってた?」

「え……?!何かって?」


 不意を突かれた詩郎は、慌てて先ほどのみなみとのやりとりを思い返す。

 若干身を引き気味な詩郎を見つめながら、凜はすっと目を細めて、笑顔で続けた。


「みなみ姫、だいぶリラックスしてたみたいだから。詩郎くんが監督として、何か良いこと言ったのかなぁって」

「そんなことは……ああでも、駒野さんの解釈したオーロラ姫は、難しいけど演じていて楽しいって」


 言葉を探しながら言う詩郎に、凜はぱちりと目を瞬かせる。


「ふーん?でもそれ、書いたのは詩郎くんだよね。私は、ちょこっと翻訳しただけだよ」

「いや、でも……」


 きっぱりと言い切った凜に、詩郎は何と答えていいのか口ごもる。そんな詩郎をちらりと見てから、凜はくるりと身を翻す。


「さて、じゃあ私も。みなみ姫から衣装を受け取って、手芸部に戻るね。お針子の皆が、待ってると思うし」


 そして一度だけ振り向くと、また満開の笑顔で告げる。


「詩郎くんは、自己評価が低めだよね。謙虚なのは素敵だけど、もっと自分を認めてあげたら良いと思うよ。オーロラ姫みたいにね」

「えええ……」


 本格的に言葉を失った詩郎を置いて、凜は足取りも軽く部屋を出ていった。


 *****

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