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二度も断罪されましたが死に戻りましたので、今度は愛する人を守ってみせます  作者: 今尾曜
第二章 二度目の人生

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「なるほど、そういうことか」


 すべてを聞いた後、ルーファスは両手を広げて椅子の背にもたれかかり、天井を見上げた。


「王妃と宰相か。いかにもあいつらのやりそうなことだ。俺だけならともかくクリスティアまで殺すとは、怒りではらわたが煮えくり返るよ。絶対に許せない。俺には記憶がない分、あまり実感が湧かないが、あなたはそうじゃないよな」


 ルーファスは苦しげに眉根を寄せてクリスティアを見つめた。


「前世の俺は最善の方法を採ったつもりだったのだろうが、そんな記憶を持ったままではつらかっただろう。すまない」


 本当のことを話していなくて申し訳ない気持ちでいたのはこちらなのに、いきなり彼のほうから謝罪されてしまい、クリスティアは驚いた。


「そんな、謝らないでください。前世の記憶があったからこそ今回は違う選択ができて、ここにこうして無事でいられるのです。わたしのほうこそ今まで黙っていてごめんなさい。いきなり前世の話なんかして信じてもらえるか不安だったのです」


「まあ、それはそうだよな。だけど、俺はきっとあなたの言うことなら何でも信じたと思うぞ」


「ほらね、ルーファス様はずっと変わらずあなたに甘い」


 モリスがげんなりした顔で肩をすくめるが、ルーファスはまったく気にしないどころか、肯定するようにうんうんと大きくうなずいた。


「記憶はなくても、何か感じるところはあったんだろうな。何も知らなかったのにいきなり契約結婚なんて持ち掛けられて、それでも断らなかったあの時の俺を褒めてやりたいね」


「あっ、それは申し訳なかったと思っています。他に良い案が思いつかなくて……」


 真っ赤になってうつむくクリスティアの横で、モリスが驚いたような声を上げた。


「契約結婚? なんですか、それ?」


「ああ、その件については後でクリスティアとゆっくり話し合うから、モリスは何も気にしなくていいよ。俺たちは正式に婚約しているから、何の問題もない」


「……わかりました」


 まぶしいほどの笑顔で圧を掛けられ、モリスはうなずくしかない。


「まずいのは、身内に裏切者がいるってことだな」


 打って変わった険しい表情で、ルーファスが言う。


「騎士団が俺を追って王都に来るよう指示を出したのは誰だ?」


「あの当時、お父上はすでに亡くなっておられましたから、騎士団はルーファス様か団長のナサール卿の命令しか聞かないはずです。ただ、ナサール卿が独断で騎士団を動かすとは思えません。謹厳実直なお人柄ですし、ルーファス様のことも辺境伯にふさわしいと心から認めておられました。あの方が裏切るとは思えません」


「そうだな。卿は良くも悪くも命令に忠実だ。あの状況で辺境騎士団が王都に入れば反逆を疑われるかもしれないが、それでも来たということは、誰かが俺の命令だと卿に偽りを告げたのかもしれない」


「もしそうだとしても、誰が偽の命令を届けたのか、特定することは難しいですね」


「ああ。だが、このまま何もしないわけにはいかないだろう。騎士団の中に裏切者がいるとなれば、おちおち魔獣討伐にも行っていられないぞ」


「あっ」


 思わず声をあげてしまい、ふたりがそろって驚いたようにこちらを見た。


「ごめんなさい、少し思い出したことがあって。ゲオルグ様が次に魔獣討伐に行かれるのはいつになるのでしょうか?」


「確か、五日後だったと思うが」


「前世で魔獣討伐に行かれたゲオルグ様が亡くなられたのは、もしかして今ぐらいの時期だったのではありませんか?」


「そうでした」


 モリスもクリスティアが言わんとするところを理解したようで大きくうなずいた。


「あの時と違って今回はルーファス様がこちらにいらっしゃるからうっかりしていました。同じことが起こってもいけませんから、ゲオルグ様はしばらく討伐に行かれないほうが良いのでは?」


「ちょっと待ってくれ、話が見えない」


 ルーファスが慌てたように口をはさんだ。


「前世で父上が亡くなったとは聞いたが、まさか魔獣にやられたというのか?」


「はい。背中に爪で切り裂かれたような傷があり、毒まで受けていたので、同行した治癒師も手の施しようがなかったと。幾つかの部隊に分かれて行動していてワイバーンに襲われたと聞きました」


「部隊は全滅したのか?」


「いいえ、重傷者はいましたが、他に死者は出ていないかと」


「不自然だな。ワイバーンは手強いが、父ならひとりでも倒すことができるはずだ。奇襲を受けて全滅したのならともかく、亡くなったのが父だけというのがどうにも腑に落ちない」


「今はまだ起こっていないことですから、騎士たちに話を聞くわけにもいきませんね」


「あいまいな情報では、討伐に行かないよう父を説得するのも難しい。いっそ、俺がこっそり後からついていくか。何かあったら助けることもできるしな」


「それはあまりにも危険でしょう」


「そうですわ、誰が裏切っているのかわからないのに。ルーファス様まで襲われてしまうかもしれません」


「大丈夫。魔法師を何人か連れていくから心配しなくていいよ。警戒される前に裏切者の正体を突き止めたいが、まあ、今回は父上の命を守ることを優先するさ」


     *


 ルーファスとモリスはひそかに魔獣討伐についていく準備を進めている。


 クリスティアにも調べたいことがあった。


 前世でカミラはリリアナが神官を使ってクリスティアの情報を得ていたと言った。


 今世のリリアナはそれほどクリスティアに関心を持っていないだろうが、カミラとのつながりもあるし、もしかしたらまた同じことをしているかもしれない。


 今は辺境伯の屋敷に神官たちが出入りしていないから、何か情報を得るとしたら使用人たちからだろう。


 クリスティアは辺境伯の許可を得て、執事と侍女長を呼んでもらった。




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