【短編】 3p目 準備中の出来事2本
「例えばですけど、俺が貝を鳴らして、朝梨がランプを光らせたらどうなるんですか?」
「特になんもないぞ」
「なんもないんですか!?じゃあ朝梨、やる?」
玉さんの家で鷺沼さんとそんな話をしながら舞を踊るための小道具を触る。
朝梨に話を振るも、なんの返事もない。
「………朝梨?」
「わあ…おさかなきれー」
頭が疲れているらしい。
玉さんがどんどん朝梨の頭の上に魚を増やしていっている。なんて不思議な光景なんだ…。
「ちなみにそのランプ」
「…はい?」
俺からランプを受け取った鷺沼さんはランプをガランガランと揺らした。若干うるさい。
「…え、なになに、なんですか??」
「うわぁぁぁあ」
「え、朝梨の声!?」
振り向くと朝梨の上にジンベイザメがいた。
「うわぁああああ!!!」
「この中で鳴らすと出てくるらしい」
『ああ、わしが呼ぶ時、それ使うちょるからやな』
「玉さんのせいじゃないですか!!!!!!!!」
今日イチの大きな声が俺は出て、朝梨は気絶した。
◆学校にて。
「…るん、俺はこれを着たくない」
「一馬くん、いいよいいよ〜かわいいよ〜」
「俺の話を聞いてくれ、るん…」
すでにメイド服を着せられたビジュアルSSRの黒髪美少女がすごく嫌そうな顔をしてミニスカートを握っている。
「…服を渡されただけの俺よりも可哀想な奴いた…」
「何言ってんの蓮くん」
ぽん、肩を叩かれる。その声は俺に死刑宣告をしてくる女の声。
「蓮くんも、女になるんだよ」
「やだ!やだやだ!」
「ちなみに女は男になったから男女平等だよ」
「やだ!!」
「採寸するよ!ほら!」
「蜜柑、やめよ!やめよーーよーーー」
無慈悲な女こと蜜柑はスルスルと採寸をしていく。その時の真剣な顔は、ご令嬢らしく美しく見えた。やってることは採寸だが。
採寸を終えてさめざめと泣いている俺に、朝梨がウキウキした顔で誰かを連れてきた。
「これ桃梛ちゃん、ほら。164センチ身長あるから結構しっかり男の子っぽくない!?」
「…お、おぉ…すごい…男だ…」
「コスプレって、恥ずかしいね…」
ポニーテールをした桃梛が少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「いやでもすごい似合ってるよ桃梛、かっこいいじゃん」
「そうかなぁ…」
ふと、後ろを見るとポニーテール姿の桃梛に見惚れる龍牙の姿。
…お前、ポニーテールが好みだったんだ…。知りたくもない友人の好みの髪型を知ってしまい、文化祭準備は意図せぬ形で友人たちのあまり見ない顔をたくさん見るなぁ。と自然に思った。
『文化祭で着るのを見るのが楽しみだな』
『ね、蓮が可愛くなるの早く見たいなぁ』
俺は見たくないですけどね?なんで神様たちはこんなワクワクしてんの????
文化祭準備は着実に進んでいたのだった。




