【短編】1p目 島崎大地
これは、思い出の1ページです。
「出てって!」
投げつけられる皿、包丁、鋏。
痛い。
痛いよ、。
「かあさ」
「あなたにお母さんなんて言われたくない!!」
「私の子どもじゃない!誰よ!返して!!」
叫ぶ母の声に、違うよ、あなた以外に、誰が、居るの。
僕は、
ずる…。
手に違和感を感じて、手を見ると何やら葉っぱのような模様。
次第にそれは腕に。顔に。身体にじわじわと浸食していく。
「いや、いやぁ!化け物!!」
投げられる物が溶けていく。
なにこれ。なんだこれ。
こわい、
「おかあさん、やだ、なんで…」
なんで、いやだよ。
そんな遠いところにいないで。
「こないで!」
叫ぶ母の声にだんだん涙が流れてくる。
「うぁぁあああん」
なんで。
なんでなの。
【──俺の守護者を傷つけた馬鹿者は貴様か】
声が聞こえた。暗い、暗い影の向こうから。
「ヒッ…なに、もうなんなのよぉ!!!」
錯乱する母に手を伸ばす。
僕が居るよ。泣きながら手を伸ばしたら、誰かに掴まれた。
【良い】
出てきた人の姿に何故か見覚えを感じた。
僕はこの人を、知ってる。
なんで。
懐かしく感じるんだ。
【貴様】
母に指を差したその男は、目を見開き、いつもなら笑うのに、笑みを浮かべることなく告げる。
【この子は俺が貰い受けよう。お前のところでは無理なのであろう?】
「ひ、あ、あなた、誰なの、誰なのぉ!?」
【誰であるかなんぞどうでもよかろう】
【この子を傷つけたその罪、俺が貴様に与えてやる】
ぶわりと圧がかかる。
圧倒的な強者の空気、目の中の三日月が、丸くなっていく。
満月だ。
【貴様は二度とこの子に会うことはできない呪いをかけてやる!!ははは!はははははははははははははは!!!!!!】
暗い、影の向こうに引き摺り込まれた。
見えた先で、錯乱してたはずの母が、手を伸ばしたような気がした。
────きっと、気のせいだろうけど。
【うーむ、超能力が暴走したか】
「まぁ…毒の超能力ですか、危ないですねえ」
柔らかい声が二つ。俺を見る。
「あら、目を覚ましましたか?おはようございます。お名前を聞いてもよろしいですか?」
「……島崎、だいち」
「大地くん!ふふ、私はマリアンヌ・オリオール。マリアンヌと呼んでください、そしてこの人が…」
真っ黒い影の中から出てきたその人は、赤い目の中に三日月を飼っていた。
いつもなら布をつけているのだそうだがその時は、つけていなかったらしい。
【初めまして、大地。俺の名前は終。呪いの神様だ。
今日からお前を家族にする!!】
嵐のような宣言に、その日俺はこの人の家族になった。




