第50神 天界の会議
ここは天界。
『本日神会合部屋』とプレートが書かれた扉。
────通称、出雲会議。
ガヤガヤとした建物内では面妖な神々が屯していた。
『おいおい聞いたか、根の国の方でまた神が生まれたんだとよ』
『日本の八百万を超えていく勢いらしい』
面を被った姿をした神や、女の神、人型ではないものまで様々なものがそこには座している。
『守護者制度もやめていないと聞くではないか。昔の戦争は忘れたのか?』
『全くもって馬鹿らしいな。あれほどの被害を出しておきながら、その原因の権化である守護者をそのままにし、輪廻転生をさせるとは』
『神居、神無はどう考えても放っておくべき島ではなかろうに』
『口を慎めぇ!!!!』
バンっと強く机を叩く音ともに、全員の声が静まり返る。
『…今日、神無月でも無いのに集まってもらったのは他でも無い、神居・神無で起こっている悪魔事件についてである』
ざわ。
"……悪魔だと"
"悪魔は全て消えたのではなかったのか"
"また戦争が起こってしまう"
カンカン、と強く叩く。
『現在、日本やアメリカでもマガツヒが流行している。
これらは神居から飛び出した悪魔によるものではないか──と、長である蓮水から進言があった』
『やはり神居か!!忌々しい!』
喚く犬耳を生やした西洋の服を着た神が叫ぶ。その声に合わせてあちこちからも声が上がる。
『──時は一刻を争う。我々の力だけではもう手に負えない。
天使と天女に力を借り、「マガツヒ」を弱体化させる手助けしてもらうしかない』
司会の言葉に、小さな反感が散る。
『……しかし、彼らは我々神の命を一度ならず2度背いたではありませんか?
そんな裏切り者の力を借りるなど…天元様のお言葉といえど私はとてもじゃ無いが頷けない』
首のない神が疑問を呈する。
『そも、神居の者たちが悪魔を外に放ってしまったのなら神居の者たちがどうにかするべきでは無いだろうか。』
髪の長い女の神が扇子で顔を隠すように呆れた声を出す。
『神居と神無でも悪魔や落神が続出しているらしいじゃないか』
木の根が生えた神がため息をついた。
すると、その中で静かにしていた狐の面をつけた赤い髪の男が声を出した。
『強力な悪魔や妖怪を外に出さず留めているんだ。我々はむしろ感謝するべきではないか?』
『…カグツチ、だが悪魔を外に放ったことには変わり無かろう』
カグツチと呼ばれた男は面を被ったまま答える。
『……それに今年は奴が守護者となった』
『…奴だと、それは戦争を終結させた英雄のことか』
カグツチの言葉に首のない神が反応した。
『そうだ』
『もしやそのせいで悪魔が活性化したのではあるまいな』
『違う…とは言えないがそのおかげで食い止めることができる可能性があるんだ、喜ぶべきだろう』
『奴が生まれると災厄が転び、奴が守護者になると災厄が振り撒かれる…全くもって迷惑極まりないにも関わらずそれら全てを丸く収めて命を散らした男…』
『長の名と神の名を持つ青の英雄──────────────ハチス』
『喜ばしいのか落胆すればいいのか………いささかわかりにくい話だ』
『──だが、“あの時と同じ結果になるとは限らない”のではないか?』
『……事態は必ず好転するだろう。何せ今回の守護者たちは』
『最初の英雄達なのだから』
天界では、こうして神々の話が帰結した。
──そしてその“最初の英雄達”の一人が、
今、何も知らずに文化祭の準備をしている。




