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守護の記録  作者: ツギハギ
西城学園七不思議 幕間
59/61

第47神 守護者の在り方

鷺沼さんは足を組み替えて、腕を組んだ。


「守護者はどうやって選ばれるのか?霊力だけで選ばれるわけではない。これは、天命によって選ばれる」


「拒否権はあるが──選ばれた時点で、もう逃げられないことの方が多いがな」


鷺沼さんは少し間を置いて、続ける。


「天帝は守護者と守護神の組み合わせを相性で決める。

能力の適性や性格も含めてな」


相性で決めるって…そんなもんなのか天帝…。

天帝がどんなはものかもわからないが、そんな簡単に決めていいものなのか、と思わなくもない。


「お見合い…」


朝梨がつぶやく。鷺沼さんは苦笑いを浮かべた。


「まあ似たようなもんだろうな。そうじゃない例外は、神社が実家の人間だな。これは強制的にその神社の神が、その家の長子を守護者とする」

「あ、私のところはそうですね」


朝梨がそう言って笑う。


「私の神様──玉さんは私の実家を守ってくれてる神様なんだよ」

「へえ!」

「実家が海のほうにあるから、海の神様なの」

「蓮くんは?」

「俺はなんか昔から守ってくれてたらしいし多分守護神的なやつ?」


「それで、守護者に選ばれたかどうかの目印は夢だ。選ばれた人間は守護神に関する夢を見るんだよ」

「私海の夢見た!」


朝梨がキラキラした顔をする。

かなり綺麗だったと話してくれた。


「私の神様──美夜さんは愛と美の神様なんです。

…だから、なんかめちゃくちゃハートが飛んでた…」


それは…どうなんだろう。

思わず全員が想像するがいまいち想像がつかない。

話を戻そう。と鷺沼さんに言われた。

窓の外からオレンジの光りが、俺たちを照らす。


「これで守護者になるための準備ができる。

正式になるために契約をする。

もちろん契約をするかどうかはこちらの一存だがな」

鷺沼は微笑みながらソファにゆっくりと腰を沈めた。


「それから、ここからがお前達にとっては新情報だ」


「今いる守護者は全員輪廻を巡ってる。俺も、幻治郎さんも、お前らも」


鷺沼さんが静かに声を落としてそう言った。


「…輪廻を、巡る」


番人との戦いと自分の不甲斐なさに関しても同時に思い出した。

守られてたことは別に、いいんだ…。

でも、守ると誓ったのに、守れてない…。

まだ保護のままであることが俺は、すごく悔しい…。


鷺沼さんが言葉を続けた。


「神居の人間は元々輪廻を巡る構造がある。が、普通の人間は、前の生の記憶までは戻らない」

「…守護者は記憶を思い出す、?」



「そう。守護者は特別な位置にいる。輪廻に戻って生まれ変わった最初は記憶がない。

守護者として活動していく中で次第に思い出す。そういう仕組みだ」


ガイコツ先生が言っていた言葉と、番人で出した答え。




"守護者は何度でも巡り合う"




彼はそう言っていた。




「作り上げられた絆」


……やっぱり、偶然じゃなくて、何度も出会ってるってことか。


ポツリと呟く声は小さく、鷺沼さんたちには届いていない。




じゃあ、目の前のこの人達と俺は昔、会ったことがある。ということなのか。

それは、出会った意味があったってことなのか。

それとも、最初から決められていたってことなのか…。





「それから、守護者と神が契約する上での代償が、神と守護者は身体の連動があること」


鷺沼さんは視線を逸らして、言葉を続ける。


「で、感情は共有してないけど、怪我はできる。

火雷様たちに傷はできないけど痛みはあるんだ」


「これは、君たちが犠牲になっても神が生き残るようにできた機構だよ」


アルバートは憎々しそうにそう呟く。

朝梨が自分の神の気配がないことに気づき、慌てる。


「えっ…ほんとだ、待って…!玉さんの声がしない!」

「疲れて寝てるんだよ」

アルバートさんが即座に顔を歪める。まるで、神が傷つくのを嫌がるような顔だ。


……未だに、俺の風伯と火雷も声がしない…いつ、戻ってくるのだろう。

早く声が聞きたい。



…俺は、この神様たちに、負担をかけないようにするには、どうしたらいいんだろう…。

自分のことを大切に…?すれば、負担がかからないのか…?



鷺沼さんを見れば少し悲しそうに目を伏せていつも通りの顔をした。


「…そのための守護者専門医の竜胆さんだ。あの人は蘇生の力を持ってる。守護者の傷が治れば自然と神も戻ってくる。

あの人は何年やってても俺たちに怒ってくれる。諦めてくれないから、あの人は俺たちの医者をやってくれてるんだ」


それは、なんて優しい循環なのか。

だからと言って無茶をしていいわけではないけれど、そこが最後の砦だということなのだろう…。



玉さん大丈夫かな。と不安そうにしていた朝梨はすぐにうん。と頷く。


「いや、玉さんなら大丈夫なはず」

「切り替え早いな」

「玉さんの頑丈さは私よく知ってるんで!私が無理しなければいい話ですもんね!」


朝梨の強い言葉に俺まで前向きな気持ちになる。

この子には、ずっと言葉で救われている。


──そうだ。


俺が、無茶をしなければいいんだ。

大切…が、何かはよくわかってはないけど、怪我をしなければいい…。


「…俺も、あいつらがこんなことにならないように、これからは気をつけるって決めた」


俺たちの言葉に鷺沼さんが一つ頷いて微笑む。



…そもそもなんでこの話になったんだっけ…?と思いだす朝梨の横で俺はハッとした。

待って、確か、最初番人がなんで俺たちに守護者についてなぞなぞで問いかけた話から今この話に繋がってる。


「え、つまり幻治郎さんは俺たちに守護者制度を把握させるために、七不思議の任務を任せたってことですか?」

「うん、蓮の理解力の高さには助かるな。そういうことだ」

「え!なんでですか!?」


朝梨が驚きの声を上げる。

…俺たちが、無茶をしないため…?



「まぁ、第一に無茶をする初心者守護者たちへの、自分たちの神が傷つくことを経験させること。だろうな」

「…やっぱり…」

「うん、あとは…、

わんちゃん、お前らの記憶にヒビが入ったらラッキー。入らなかったら制度についてお前らは絶対に疑問に持つ」


「そんで俺やアルバートに聞く。俺たちはこうやって説明する機会をおそらく作るから、制度について知れてよかったね。……なのかもしれないな」

「なのかもしれないじゃなくて、彼は絶対そうなんだって。わかっててやってるんだぞ」


…だとしたら、とんでもない。少し背筋が冷える。

見えているどころの話じゃない。




「…俺たちの性格込みで考えてる、としたら俺たちの理解者すぎますね」

「流石は幻治郎さん…」



うんうん、と桃梛が頷く。

…かっこいい、でも怖いところもある。見えすぎているのは少し怖い。

すごいな、とかっこいいな…の両立を感じているとアルバートさんが叫ぶ。



「君たちほんっっと、彼に惑わされてる!おかしいだろ!?普通はおかしいって思う!なんでかっこいいって方向に舵切るんだい!?」

「大人ってああいうのを言うよな」

「NOOOO!広大、君もか!ああ…君もだったね…あーー、守護者ってほんと…」



呆れて項垂れるアルバートさんには悪いが、かっこいいだろ先読みできる大人。しかもスマート。

流石だ…と感動しているとコンコンと扉を叩く音。



「入っていいぞ」


入室の許可を得て入ってきたのは、島崎さんだった。


「代表…折いって話が…」

「人前では話しにくいか?」

「あ、」



チラリと俺たちを見て島崎さんは「みんなにも聞いてほしい」と言った。



「実は…」



「──春夏秋冬祭りの舞がわからなくてぇ!!」


嘆く島崎さんに、俺たち三人は首を傾げ、アルバートさんと鷺沼さんは、あー。と小さく声を出した。


「舞?なんで舞うんですか?アレって神居と神無の合同文化祭ですよね」

「ああ、そうだそれも言い忘れてたな。いつも最後になんか踊ってるだろ」

「踊ってますね」

「アレ綺麗だよねえ」

「花びらも舞ってて衣装もなんかすごい豪華で!」


桃梛と朝梨の女の子2人が楽しそうに話す。


「あの舞を受け持ってるのが守護者だ」

「え!?」

「おっじゃあちょうどいいじゃないか。君たち体が復活したら大地も入れて4人で舞の練習でもしなよ」

「ええ!?今年は俺たちも文化祭に参加するんですけど!?」

「俺だってするよぉぉ」



嘆く島崎さんに、ああ、神居と神無の学生は全員参加なのでそりゃそうか。と納得する。

が、そんなやる余裕ないですけど!と鷺沼さんを見ればにっこりと笑う。あ、これは断ったらダメなやつだ。そんなに長く一緒にいるわけではないが直感でそう思う。自分の笑みが固まる。



「この期間の任務は大人が全部担ってくれる。俺たち守護者の高校生が舞う。だから練習できる時間はあるぞ。みっちりするからよろしく」

「いやだぁ!」


守護者の仕事は誰かを守るものだけでなく、舞も舞うらしいと言う新たな情報も得たのだった。

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