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守護の記録  作者: ツギハギ
西城学園七不思議 幕間
60/60

第48神 黒い夢

黒い、黒い夢。

何もない、光もない。

ただそこにあるのは深い深い闇。

真っ暗な空間に青いマフラーが一つ。



「…マフラー」



七不思議の前にも見たマフラーと同じであることに気づく。

アルバートさんには気にするなと言われたがマフラーだけがある夢は気になるだろ。

取ろうと手を伸ばすと、青い蝶々がひらひらと目の前を飛んでいく。



前にも、同じことがあった──。




「起きろ!神無蓮!今授業中だぞゴラァ!」



ゴッと頭を叩かれるいい音共に俺の目覚めは覚めた。



「ッッダァ!」

「俺の授業で寝るたぁ、いい度胸じゃねぇか」


聖川が俺の席の前に立って眉間に怒りの筋。


「ゲッ!」

「そうかぁ、もう一発かぁ」

「うそうそ!最高!聖先生!」

「ったく、次はねえぞ」


脳天を叩くのは最近の教育で良くないって母さんがニュース見ながら言ってるのを聞いたが、聖川には関係ないらしい。ふざけんなマジで。痛えが。


──七不思議を終えて、日常に戻った。

風伯と火雷の、回復にはまだ時間がかかっている。




文化祭の話は明日やるらしい。

聖川が言っていた。

みかんたちがウキウキと何をするか話し合っているのを聞きながら、窓を眺める。


文化祭…も楽しみだがさっきの黒い夢に関して気になって仕方がない。

夢──番人がその夢はただの夢ではない、前世に関するものだ。と。

だとすれば、前世とか思い出したいと思わない俺に、こんなにも見せてくる理由はなんなのか。


……最近は夢を見る頻度が上がっている。




「…ってことがあってさ」

「黒い夢?なんかの暗喩かな」

「夢占い的なものだったりして」

「変な夢だねえ」

桃梛、朝梨にその話をすると、2人とも不思議そうに首を傾げる。

「だろ〜?もう意味わかんなくてさぁ」

「あちゃー、大変だ…守護者はよく夢を見るからねえ」

「私もよく見る〜」


桃梛の言葉に朝梨が、確かに!というように納得している。


──七不思議に行く前にあった、マフラーの夢を見てから、頭痛が少し増えたような気がする。


「頭痛もあるんだっけ」

「うん…」

「何かの警告だったりして」

「警告?」

「例えば、思い出したらいけないとか」


以前、見た夢で俺は思い出せ。と言われたことがあったのを今何故か浮かんだ。


「…そうなのかな」


ふと、廊下の隅で何かが目に入り顔を上げる。

青いマフラーをつけた、青い髪の男が一人。


ズキ


「あ、マフラー」

「え?マフラー?」


ズキ


「どこにもないよ?」


ズキ


なぜ、頭痛があるのか、何故あんな夢を見るのか。


「蓮くん?」

「…ぁ、授業始まるけど、俺頭痛いから保健室行ってくる」


「え!?大丈夫!?一緒に行くよ!」

「大丈夫!歩けるから」


2人の背中を押す。大丈夫だよと笑顔を向ければ渋々と2人は教室に戻って行った。

今日に限って、火雷と風伯がいない。

声を聞かせてはくれるがいまだに姿を見せてはくれない。


頭が割れるように痛い。膝をつき、息を吸う。


なんとなく、わかってしまった。


この頭痛は危険が迫った時の警告ではないことを。


桃梛が言っていたこととは逆なんだ。

思い出したらいけないのではない。


何か大切な記憶を、封印した鍵を壊している痛みなんだと

本能で理解してしまった。


膝をつき、頭を抑える。

「はっ、ふっ…」

汗が落ちる。目眩に両手もつく。



──何を俺は思い出してしまうんだ?


ズキ


顔を上げる。


さっきまでいなかったはずの場所に──


青いマフラーが、見えた。

頭が痛くて俯いてしまう。



「────おい!大丈夫か!?」

大きな声に、ハッと目が覚める。

「目の前で蹲るからびっくりしたじゃん、大丈夫?なわけないか」


「とにかく立てる?」

ほら、と手を差し出される。

同じくらいの歳の男の子。

フードを被っているからか顔はあまり見えない。

マフラーの男はは気づけば消えていた。



…こんな奴、いたか?



「いや…その、だいじょ…ぃっ…」


頭が痛い。なんだ?なんで、こんなに痛いんだ?

痛みがさっきよりもひどくなってる。 


「大丈夫、ねぇ?ふーん…」


頭痛がひどすぎて立つことすら困難な俺を目の前の男の子は、はぁ、とため息をつき俺の腕を肩に回した。


「全然大丈夫に見えないし。痩せ我慢なんてしない方がいいよ」

「す、すいません…ありがとうございます」


まるで────


「最初にすみませんって言うの神無でも一緒なんだ」


その言い方が、妙に懐かしくて気持ち悪い。



そう、まるでこの男が喋るたびに頭痛を鳴らしているような…。


「あ、保健室の場所俺知らないんだった」


「ねえ、保健室の場所どこかわかる?」

嫌な音を立てて、ドクンと心臓が脈打つ。



こちらを見た男の顔。


──こいつを、俺は知っている。


心臓が、一瞬止まった。


動揺から、声が裏返る。



「ほ、保健室は…こっち、です」

「ありがとう、ここに来た時方向音痴の女に道聞いちゃって、たどり着いたのついさっきだから、何にも分からなくてさ」


でもそれを、まだ悟らせてはダメだ。

なんでダメなのかわからないけど、でも、ダメだ。


「俺海外、あー…外から来たんだ。ここにわけあってさ」

「へ、え…」

「ああごめん、頭痛いのに喋りたくないよね」


ああ、いや。と曖昧に返事をする。


保健室に辿り着き、最初に来たのは乙女さんだった。

「おう、なんや蓮。よう来た、なぁ…」


乙女さんがこの男を見て目を見開く。

後ろにいたマリアンヌさんが俺を見て近寄る。


「頭が痛いんですか?こちらにどうぞ」


乙女さんとこの男が知り合いだと知って、さらなる頭痛。

目の前のマリアンヌさんを見て、涙。

もう情緒がめちゃくちゃで、嗚咽が止まらない。


そんな俺を見て3人が驚いて、慌ててベッドまで連れてかれる。


会えてよかった、生きててよかったって俺じゃない『俺』が言ってる気がする。




意識が遠のく感覚を覚える。

うと、と本能のまま目を瞑った。




夢の入り口で、誰かに呼ばれたような気がした。


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