第21神 プロローグ 噂は形になる
──この世界は空想上の生き物が生活圏内で過ごしている。
空を見上げればドラゴンがタクシーをしているし、ペガサスもタクシーをしている。
下を見ると小さな妖精が荷物を運び、前を歩けば神様が鳥居の上で寝ている。
しかしこれは神居の話。
では、神無では?
神無では科学と超能力が発展している。
道を歩けばロボットが。空を見上げれば大きな気球のような機械が。超能力で飛ぶ人たちもいる。
それでも空想上の生き物たちは生まれる。
──では、どうやってそれらは生まれるのか。
『…ねえ、知ってる?西城学園にもあるんだってさ』
『なにが?』
『七不思議だよ』
『全部知ったらダメだってよくいうやつだ』
『それがね、全部知っても死なないの。その代わり…』
『その代わり?』
『七不思議には一つ一つにルールがあるんだってさ』
『ルール?』
『一つ、質問をするときは気をつけないとダメ』
『二つ、質問には必ず答えないとダメ』
『三つ、歌声が聞こえたら音を弾かないとダメ』
『四つ、願いを伝えるときは簡潔に』
『五つ、少年に話しかけられたら振り向いたらダメ』
『六つ、上を見上げたらダメ』
『七つ、手をついたらダメ』
『なぁにそれ、一つ一つあるのー!?覚えきらんないよ』
『遭遇しなければ良いんだよ』
『えー、難しいよ』
『難しくないよ、ああ、ダメだよそこに手をついたら』
『え?……やだ、なにこれ……待って、離れな──』
ずるり、と吸い込まれる音がした。
『あ』
『……だから言ったのに』
『手をついたらダメだって』
『助け──』
────『噂』をするとそれらは形になる。
それは、この世界のどこにでもある話だ。
──この噂に、彼が関わることになる。




