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【短編】No.5 竜胆の記録
新しい守護者との顔合わせをしなくてはならない。
これは、次に死ぬ守護者の顔を覚えるために、俺から言った。
「医師としてこれからの患者の顔を見るのは大切だろう」
最もらしい言葉を並べて、新しい守護者の顔を見る。
見覚えのない初めましてから、今日のような知り合いと会うことだってある。
──蓮。
俺はお前と会った時に、守護者になると思ってたよ。
夢を見たと聞いた時に。
守護者ってのは楽しいもんじゃねえよ。
死にたくなる日だってある。
…実際に死ぬやつだっているんだよ。
…ああ、ほら。
中に入って目にした守護者は過去に診た事のある人だった。
俺が入った時にはもう息は止まっていた。
ほら。
「…葬儀の手配を。それから、こちらからはできる限りのエンゼルケアを!」
何もできず無力になった同僚達に指示を代わりに飛ばす。
…ほら。
俺はこの顔を昔見たことがあるよ。
まだ幼い頃、医者になる前。
俺の頭をくしゃっと撫でて、笑った人だ。
今じゃ横になって静かに眠っている。
──ほら、な。
だから、顔合わせは大切なんだ。
俺の記憶に、また1人、誰かの死が刻まれる。
……忘れないために、覚えている。
それしか、できない。
これにて、記録は閉じられます。
それでも、物語は続いていきます。
次の記録で、お会いしましょう




