【短編】No.2 雨の守護者の記録
「かわいい〜俺の奥さんとまなちゃーん!ただいまー!」
「きゃぁ!お父さん!やめて!」
「もぉ〜あなたったら」
かわいい娘とかわいい妻をまとめて抱きしめる。
ああ、幸せだ。
「明後日はまなの誕生日だから、豪華なケーキ買ってきてやるからなぁ」
「やったぁ、待ってる!」
「待ってなさい」
『任せよ』
「神様もよろしくお願いしますね」
妻とうちの神と娘と。幸せの塊だ。
「ケーキ買ったし、プレゼントもオッケ!」
『ふふ、まなはすごく喜ぶな!』
「なー!」
笑いかけると神が固まった。鋭い視線で雨水市を見る。
ああ幸せの崩れる気配だ。
『マガツヒがいる』
「!急いで対処するぞ!」
雨水市は俺の生まれでもある大切な市だ。
────勝った。
でも、身体から血が止まらない。
ああ、目の前がぼやける。
「…すい、すいどこだ」
『我は……ずっと、お主のそば、に…おるぞ』
途切れる神の声に連動代償を思い出す。ああ、久しぶりに大怪我を負ったから、こいつもしんどいんだ。
買ったばかりのプレゼントが、道路の端に転がっている。
包装紙が破れて、中身が少しだけ見えていた。
今日、誕生日なのになぁ…。
俺はまた、あの妻とあの子よりも先に、逝ってしまうのか。
さようなら、人生。
すまないお前達。
「………一緒についてきてくれるか、すい」
腹の穴が空いた身体を発見した誰かが通報したのか周りが慌ただしい。だんだん目は見えなくなり体も動けなくなってきた。仕方ない。仕方ない。
『もち、ろん…だとも…』
我らは永遠に。
…守護者とは、ままならないものだなぁ。
それでも、あの街が好きだった。




