【短編】No.3 柊小雪と竜胆の記録
竜胆は報告がてら、小雪の元へと向かった。ファイルを置いて、改めて眺める。
「これが最近の守護者の記録ですね」
「うーーーん…なかなか、あ…神無蓮くん?」
指を差してプロフィールの紙を一枚見る。
「ああ、そうですよ…とうとうこの子がなりましたね」
「……初代守護者、やっけ?本当にこの子が?」
「火雷様と風伯様を守護神としているなら、間違いないでしょうね」
「…うぅ複雑」
小雪の言葉に竜胆はため息をつく。
まあ、仕方ない…子どもが戦場に出なければならないのだから…。
一枚の紙を見て、少し固まった小雪に気づかないまま竜胆はファイルを触る。
「…守護者は今年ですでに50人を超えました」
「毎年多いがや…」
「神様の数だけ守護者がいるんじゃねえか?と俺は思ってます」
「ほんなら、神居の神様だけでも1万を超えるんに、すごいことになっちゃうねぇ」
「そのうちの30人が死にました」
竜胆の言葉に、笑顔が固まった小雪を無視して竜胆は続ける。
「ベテラン守護者も、この前の雨水で、何名か……」
「…ああ、そっか、そうやね…」
「小児科の貴方は知らないでしょうけど、守護課専門医としては何人も、何人も亡くなってるのを見てきましたよ」
「このこと、藤原さんは知っとるが?」
「ええ。存じてます。どうにか長生きさせられないかと幻治郎さんと模索してるようです」
「そっかぁ………」
ファイルの中のプロフィールを触り、このうちの、30人がすでに居ないことを知る。
記録として、残り続ける。
生きていた証はもはやこのプロフィールと、自分たちの記憶だけだ。
「…寂しいね」
「仕方ない、と俺たちは諦めるしかない」
「神無蓮くんたちは、生き残るがかな」
「生き残るでしょうね、きっと。それがまた世界の残酷さを物語っているようで、俺は嫌になりますよ」
「…そうやね」
眺めるプロフィールの中にある数名の欄にバッテンがつけられている。
死亡した証としてのバッテンは、どこか物悲しい。
「そういや今来てるらしいですよ、神無蓮」
「えっ、そうなんや?有名人に会うみたいでドキドキするねえ」
「そうでもないですよ普通の高校生です」
「娘と同い年ながよ〜よう聞いちょったき楽しみやなぁ」
「へえ、娘さんと………娘さん…?」
ガラッ。
扉の開く音。
「──お母さん」
ああ、通りで知ってるわけだ。七不思議で見たことのある、女の子がそこにはいた。




