目覚め
目覚めた場所は見知らぬ家の中だった。俺は大体、一、二歳程の子供のようだ。そう、認識した後に、誰かが家の戸を開けた。
「ただいま。フィア、帰ったわよ」
そう、言うのは、多分、俺の母だと思われる女性だ。つまり、俺のこの世界での名はフィアか、
……と言うか、先から感じるこの違和感はなんだ?
その違和感の正体は次の母親の言葉でわかった。
「あぁん、もぅ可愛いわ。やっぱり"女の子"を産んで正解ね」
あぁ、なるほど、そういうことか。女の体で産まれたからか、この違和感は体の違いでと言うことか
「でも、やっぱり、女の子だと、周りからの色々が、有るのよね髪の色もあるし……でも気にしてても仕方がないわね!よし!ご飯つーくろっと♪」
そういい、彼女は部屋を出ていった。
全く、疲れるものだな、この体も、だが、これでようやく俺の時代だな。
「この体で魔法が使えるか、試すとするか」
肩の力を最大限抜き、しかし、それでいても腕に魔力を集中させる。
「成長加速」
まだ覚束無い声で唱える、光が肩から体全体を包み込む、その光は大きくなっていく、
「成功した、か……ふぅ、少しは楽かな」
肩を回しながら、息をつく、近くにあった姿見で容姿を確認する。髪色は銀で、長髪、顔立ちは整い、全体的に柔らかさが勝る容姿。
「だが、魔法が苦手な俺がこんなにすんなり使えるとは驚いた。……まぁ、良い、屋敷に戻るか」
と、ドアを開けて出ようとしたその時だ、
「フィア……なの?……」
驚愕を顔に浮かべている母親は少しの沈黙も待たずして直ぐに近寄る
「え?え?……どういうこと、なの?」
理解が追い付いていない彼女は、だがしかし、真実を知りたげに問う、勿論答える意味はないが義理はある、体を出生してくれたのだからな
「俺…いや、私はシークハート・バナーだ。今まで世話をしてくれて感謝する」
目を瞬かせる。
「シークハート……バナー…?」
少しの沈黙のあとに、口を開いた
「聞いた事、無いわ」
「まぁ、そんな話はいいわ。あなたが成長したなら聖衛護高等学院に入学しましょう♪私、あそこに子供を入学させるのが夢なのよね♪」
彼女はお気楽にそう言う。
「そうか。それはいい、だが、私にはこれから行かなくてはならない所がある」
そして最後に一言
「ありがとう」
そう言い残し、返事を待たずしてそそくさと家を出た。
軽く十分程度で屋敷にたどり着いた。距離はだいたい十キロほどだと思われた。
俺が屋敷の前に立つと、大きな門が設置されていることに気づいた。
門の前にはガーゴイルの像が置かれていた。門を開け、中へ入ろうとすると背後からの殺気を感じ、右に跳びながら振り向く、するとそこに居たのは、この屋敷の妖精のメイド長のやマーナだった。
「何者だ」
と、刃物を突き立ててくる。俺は軽く微笑みながら、
「私だ。バナーだ。落ちつ……」
言い終わる前に顔の横にマーナが手に持っていた刃物が飛んできた。
「嘘をつくな。そう言って中に入ろうとした人間は何百人と居た」
可愛わしい外見とは裏腹な圧倒的圧力、いい心掛けだ。
「だが、私も、もう疲れた」
このままでは永遠に終わりそうになかったので、さっさと理解させることにするか。俺は右手を開き、上にあげる。そこから一気にしたに振り下ろした。それと同時にマーナも叩きつけられた。
「いい加減入れてもらうぞ?」
最期に少し睨む。不本意だが、しかたがない。
マーナは直ぐに頭を下げ、
「バナー様。申し訳ございません。この私めのご無礼をお許しください」
マーナはすぐに門を開け中へ迎え入れた。 扉の先では、彼らが頭を垂れて待っていた。
「おかえりなさいませ。バナー様」
あぁ、と短く返し、自室へ向かった。向かい合わせになるように座った。
「カルル、今の名前はフィアだ。これからそう読んでくれ」
カルルはニコッと笑い
「はい。分かりました」
その時、ふと、思い出した
「そう言えば、前の私だと、初級魔法すら出来なかったはずだが、何故か成長加速がすぐに使えたのだが、何か知らないか?まぁ、なぜ使おうとしただとかは」
少しの考え、すっ、と立ち上がり、棚から石英を取りだした。その石英を机に置くと、
「こちらに魔力をお込め下さい」
言われた通りに石英に向かい手をかざし、その手に魔力を込める。すると、透明だった石英は濃い紅色へと変化した。それを見たカルルは頷き、こちらを向き言った。
「予想どうりです。魔力粒子数値が、ざっと五、六十万程度になりますね。さらに、加護が前の肉体には五つほどでしたが、現在の肉体には2倍ほどの加護が付いています。あとは、適正魔法も全属性ですね」
しかし、カルルは、声のトーンを一つ下げて言う。
「ですが、落ち着いて聞いてくださいませバナ……フィア様。これは、"フィア様の力が解放されていた時の数値になります」
「……どう言うことだ。カルル」
カルルは土下座した。
「申し訳ございません。これは私の失態です。父が……魔王が、眠りについた瞬間、力の大部分を封印し、もちさってしまったのです」
魔王が……だと……しかし、魔王はもういないはず。
だが、過ぎたことだ。気にしていても仕方がない。
「まぁ、それはいいんだ、カルル。ここからはお前に少し相談事がある」
カルルの返事は、はい。の一言に変わった。
「聖衛護高等学院に入学をしようと思う」




