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元最強勇者が転生したようです。  作者: ひつじ
序章 元最強勇者、転生
1/8

最強勇者の退屈

 

 「全く、退屈だ。」

 

 

 両手剣を片手でもち、地に横たわり、血にまみれた翼龍の上に立つ、その男は強かった。

 

 

「よっと。これで、龍族も殲滅。脆い……脆すぎる……古来から最強と言われていた種族もこんなにも簡単に……つまらない。」

 

 

 銀髪で容姿端麗(ようしたんれい)眉目秀麗(びもくしゅうれい)という言葉がが似合うのこの男は、幼少期より父に強くなることだけを求められていた。また、彼もそれに応え続けるように生きて来ていた。

 

 

 名は[シークハート・バナー]

 

 

 数年前、ひとりで魔王を討伐したことにより、一時期は勇者と(あが)められた。しかし、あまりの強さにより、その後、(ちまた)では怪物(モンスター)と呼ばれ()(きら)われていた。



 シークハート・バナーは誰もいないはずの場所に話しかける。

 

 

「……あぁ、そうだな。お前の言う通り、禁忌秘術の[精神存在転生(エキステンス)]でまた数百年後に目覚めるとするか。」

 

 

 [精神存在転生(エキステンス)]は、(ソウル)のみを残し、体を全て一から作り直し、転生する方法である。また、記憶に関しては、(ソウル)に直接、書き移す。

 その為、(ソウル)が新しく作られた体に適正拒否を起こした場合、(ソウル)を永久に失うことから、禁忌秘術とされているのだ。



一連の流れを想像し、ふぅ、と息をついた。そして

 

 

転移(ワープ)

 

 

 右手を前につきだし、そう唱えると同時にバナーの体を白い光の粒がつつみその場から姿を消した。

数秒後に屋敷の前にバナーは光の粒と共に現われる。

 

 

「カルル。来い」

 

 

 屋敷に向かい一声掛けると、中からさっと音もたてずに目の前に立った。

 

 

「お帰りなさいませ。バナー様。お食事の準備は出来ております。」

 

 

 そう、膝をつき(こうべ)を垂れるながら言うのは、カルル・ベルベット、純黒の髪、華奢な容姿に誰もが一度は必ず振り向くのではないかと、思わせるほどの美しさがある。




 彼女は魔王の娘でありながら、俺の屋敷に住まう、自分を慕う現メイドだ。勿論だが、経緯と事情を話せば長くなるがな。



 俺は屋敷に入りながら喋る、

 

 

「食事はいい。俺はこれから[精神存在転生](エキステンス)をする。今の装備品などはとっておいてくれ。数百年後にまた会おう」

 

 

 カルルは何も言わずにそのまま立ち、一礼をして、さっと屋敷へ戻った。




 屋敷の入り口すぐ側にある自室へと入った。着ている装備品を脱ぎ、一冊の本とチョークを取り出し、魔方陣を手早く描いた。さらに、そこに幾つかの装飾品、そして棺桶(かんおけ)を用意し、中へ入る。そうして中で目を閉じると意識が体と分離するのを感じ、深く眠りについた。

 

 

 

 

___________________________

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