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昭和に出会った人たち  作者: 妻戸裕次


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第41話「アホの坂田に捧ぐ哀愁ラプソディー」

「アホと云われりゃ、快感、快感、文化会館…」

そう言い放った、その一言で

すべてを持っていった男がいた。


アホが代名詞。

いや、もはや称号。

アホ界の第一人者、堂々たる風格。


愚かでもない、

タワケでもない、

ダラでも馬鹿でもしっくりこない——


やっぱり最後は「アホ」で決まり。


アホが歩けば、

それはもう、アホ歩き。


アホが泣けば、

なぜだか笑える、アホ泣き。


泣いて、笑って、怒って、転んで、それでもどこか憎めない。アホを振りかざし、世を渡る。


アホ毛、アホたれ、アホンダラ——

言葉はどこまでも広がって、

気づけばみんな、少しだけアホになる。


アホ、アホ、アホの坂田。

歌にもなって、街に響いて、

誰かの心に住みついた。


生涯独身。

晩年はちょっぴり、しんみりして、さみしくて、さびしくて——

(どっちやねん、とツッコミひとつ)


それでも彼は、鳥を飼ったという。

その名も、やっぱり——アホウドリ。


笑いの奥に、ほんのり漂う哀愁。

それもまた、アホの美学。


ヨロシク哀愁。

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