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第39話ハタチワンのブルース
〜昭和歌姫、熟れず売れずも花と咲く〜
イタチで結婚?
なんでやねん、とツッコミひとつ。
ちゃうちゃう、誰がイタチやねん。
天井裏で新婚生活かいな、と笑いがひとつ。
そうや、ハタチや。
ハタチで嫁ぎ、ハタチワンでサヨナラ。
……ハタチワンて何やねん、
二十一の、ちょっと背伸びした別れ話。
幼き頃より、
見んよう見まねの民謡節。
耳で盗んで、心で覚え、
その声だけは、ほんまもん。
けれど世の中、そう甘ない。
彼女はまるで、硬いアボカド。
その心は――
熟れず、売れず。
(なんのこっちゃ、それも人生や)
二十八、再びの舞台へ。
今度は名前も風まかせ、
世間に問うた芸名あれこれ。
一位「玄界灘子」――荒波しぶきの演歌道。
二位「あきたこまち」――炊き立てのええ匂い。
どれもこれも、味がありすぎて、
笑うしかないやないの。
そして、あぁ――
真っ赤な口紅、夜を照らし、
赤いけだしが風に揺れる。
昭和の灯りが、ふっとにじむ。
売れずとも、ええやないか。
熟れずとも、咲く花がある。
彼女の歌は、今日もどこかで
誰かの心に、じんと沁みる。
たまらんね、この哀愁。
笑いと涙が、ええ塩梅や。
藤あや子!
――ヨロシク哀愁。




