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第33話不幸せピッたしカンカン論
― 藤圭子という人生 ―
「十五、十六、十七と
私の人生暗かった」
藤圭子は、そう歌った。
暗い。とにかく暗い。
でも、その暗さが――
時に人の木陰になる。
「彼女の暗さがね、
人々の木陰になることもある。
……それはそれで、いいんですよね」
と、武田鉄矢は言った。
なるほど。
不幸せの美学。
これほど彼女に
ピッたしカンカンな言葉もない。
ところが――
藤圭子、歌のレッスンで
「節が合わん!」
……これがホンマの不幸せや!(笑)
なんのこっちゃ!
歌は人生背負ってるのに、
節は迷子かいな。
不幸な状況、
不幸な感情。
そこに美学があるって話やけど、
そもそも不幸に価値があるんか?
あるんです。
山ほどあるんです。
……タヌキか!!
なんやねん、カチカチ山かいな(笑)
でもな、
不幸を肯定するって話ちゃう。
浸れ言うてるわけでもない。
それを
乗り越えたり、
抱えたり、
学んだり、
噛みしめたり。
そこに
「不幸の美学」
いうもんが生まれるんや。
人は誰でも
不幸を知ってる。
普遍的に、
しみじみと、
逃げ場なく。
それを受け入れながら
生きていく。
それが人生、
ちゅうもんやろ。
藤圭子――
人生を丸ごと
背負ったような歌声。
重い。
暗い。
せやけど、
どこかあったかい。
……グッ。




