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昭和に出会った人たち  作者: 妻戸裕次


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32/43

第32話――ヤァ!ヤァ!ヤァ!とカブトムシ――**

ヤァ!ヤァ!ヤァ!

と、やって来た。


30分一本勝負、武道館へ。

世間はなんやかんやと大騒ぎ。


柔道家??

……誰やねん?


高校生だった僕のまわりで、

連れが一人、また一人、

ギターを持ち始めた。


教室の空気が

ちょっと浮足だつ。


そう、

「ビートルズ」や。


はっぴを着て

(ほんまにハッピーかいな)

ぶどうを持って

(それ、どこ情報やねん)

武道館へやって来たという。


なんやビートルズ!!

直訳したら

「カブトムシ」やないか(笑)


せやけどな、

人生がうまいこと転ばんとき、

壁にぶつかって

頭を抱えたとき、


そっと横におってくれたんは

あんたらやった。


「レット・イット・ビー

レット・イット・ビー」

――なんとかなるさ、なんとかなる。


昭和の真ん中で、

カブトムシは

ちゃんと歌ってた。


ありがとう、ビートルズ。


僕の青春と、

ついでに心も、

ええ具合に転がしてくれて。

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